魔球 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 7017
感想 : 530
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  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061849310

感想・レビュー・書評

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  • 1988年初版。フォローさせていただいている方に紹介してもらった作品。とても良かったです。著者の作品は好きです。読み終えたばかりだと言うことを差し引いても、一番好きかもしれません。著者が30歳くらいの作品。もちろんサスペンスなんですが、青春小説の部分もあるような。主人公の武志に感情移入をしてしまいました。いくつもの謎がページを読み進めるうちに解明されてゆく。もちろんサスペンスは、そう言うものですが。この作品は謎の解けるのが本当に終盤まで分からない。昭和39年が舞台というのも、なんだか懐かしく思います。面白かったです。

  • 全く先が見えない、予想もつかない、メークドラマが私は大好き。
    どれ程に実力があって、
    敵う者など無い、と誰もが認める強豪が相手だとしても、
    『球』の行方だけは最後の最後までわからない。

    九回二死満塁。
    ピッチャーの手を離れた瞬間、その『球』にどんな奇跡が起こるのか?
    序章からぎゅっと心を鷲掴みにされてしまった。
    すでに物語の中心である、
    ピッチャーマウンドに立っている天才『須田武志』は
    眩しいほどの光を輝き放っている。

    東野さんは、
    ここからどんな魔球を魅せてくれるのだろう?
    そう期待し始めた途端、
    天才が死んでしまった。

    筋書きの無いドラマが好き、と言いながら、
    まさか、ここで主人公級のエースの存在を失うなんて予想だにしていなかった。

    序章はスカッと晴れた爽やかなゲームで上がった幕であったが、
    読み終えてみると、
    ぽつり、ぽつりと振り出した雨が、
    最後にはどしゃぶりにでもなっていた様な、
    あまりにも悲しい結末。

    することがなくて、
    でも、何か考えたくて、
    表紙をじっ…と見つめ続けていたら、
    『魔球』のなかに潜んでいた
    『鬼』を見つけてしまった。

    (こいつが、真の犯人じゃないか?)

    私はそう思う事にした。

  • こういう作品も書いてたんだなぁ。
    切な苦しかった。
    武志が気の毒で。
    そして何も殺さなくったっていいじゃないか、と。

    グローブ事件も、武志じゃないと思ってた。勘違いかなんかじゃないかと。
    でも、ラストでの、約束に拘泥するという点が語られたら、まぁ、わからんでもない、という…


    作品としては、やっぱり、素敵ですよ。
    東野さん。

    ただ、舞台をわざわざ昭和39年にした意味はあったのかなぁ。
    王さんとか野球界を語りたかったのか?
    違うよなぁ。
    同じ時代を描いたものとしては、奥田英朗の罪の轍が秀逸だから、あの作品ほど時代を描いてはいないから、なんであの時代を舞台にしたのか。物価も現代の感覚的だったしなぁ

  • まさかの展開。
    一途な想いとも言えるし
    でも狂気を感じるところもあり・・・。
    読後は複雑な気持ちにもなりました。

    • GOTOさん
      すごくわかります。
      殺害方法がなんとも言えない
      すごくわかります。
      殺害方法がなんとも言えない
      2021/02/03
  • 野球をあまり知らなくても楽しめる作品だった。殺された被害者が残したと思われる「魔球」とは一体何なのか、読み進めるほどに真実に近づいていく面白さがあった。ただ真実はあまりに悲しく無念な気持ちで読了した。

  • 元野球部としては、感情移入しながら読むことができ、とても面白かった!
    野球に青春を捧げた武志の覚悟、背負うものの重さ、恵まれない環境など、その全てを表すような弟の一言がなんとも切ない、、

  • ミステリーとしてはもちろんだが野球球児の青春小説としてもとっても面白く、一気に読んでしまった!読み終わったあとはなんだか切なくなってしまった!

  •  まったく関係がなさそうな爆破事件と、高校野球部員の殺人事件とのつながりの上手さは、初期作品でもさすが。初期の中でも名作。
     武志は、一歩踏み間違えればサイコパスが開花して、人生が転落してしまいかねない危うさがあったが、真っ直ぐな弟・勇樹と母親、野球の才能のおかげで踏み留まってこれていたんだろう。思い詰め過ぎるのも良くない。勇樹たち家族はお金がなくても、武志が生きていてくれることを望んだだろうし、家族に迷惑をかけないために弟にトラウマ級の後処理を頼むなんて、青くて痛すぎて切ない。

  • がむしゃらに頑張る人は美しくて儚い。その内容が正しくてもそうでなくても。強い自分でありたい。

  • 弟がお兄ちゃん大好きなのが余計辛い
    いっそ兄弟仲悪かったら救われたかもしれない
    だって大好きなお兄ちゃんの最後の頼みだったからやりたくなくてもノコギリで肩を切り落とすなんて絶対辛い…俺は野球弟は頭いいから東大目指してるんだって…
    魔球誕生由来も痛みに耐えてる時の産物って知ってねぇ?最後に怒涛に畳み掛けてくるところがボロ泣き案件でした…
    辛いけどとても名作だと思います。

著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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