腐敗性物質 (講談社文芸文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061975637

感想・レビュー・書評

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  • 【新歓企画】ブックリスト:「大学一年生のときに読んでおきたい本たち」
    現代詩入門の書として。あまり詩を読んだことがないひとにおすすめしたい一冊です。ひとくちに現代詩と言っても、じつに多様な作風・方向性がありますが、田村隆一はその中でも、比較的「意味」の詩を書くひとであり、そういう点ではわかりやすいと思います。有名ですが、「帰途」という詩には、ぜひいちど触れてみてほしいです。【S.S.】

  • 2011.01.27 読了

  • やはり現代詩はこれが頂点だと思う。

  • 現代詩の種。

  • 0629-0630
    /////
    《一篇の詩が生れるためには、/われわれは殺さなければならない/多くのものを殺さなければならない/多くの愛するものを射殺し、暗殺し、毒殺するのだ》(「四千の日と夜」)現代文明への鋭い危機意識を23の詩に結晶化させて戦後の出発を告げた第一詩集『四千の日と夜』完全収録。『言葉のない世界』『奴隷の歓び』表題詩「腐敗性物質」他戦後詩を代表する詩人田村隆一の文庫版自撰詩集。

  •  繃帯をして雨は曲っていった 不眠の都会をめぐって
     その秋 僕は小さな音楽会へ出かけて行った 乾いたドアにとざされた演奏室 固い椅子に腰かける冷酷なピアニスト そこでは眠りから拒絶された黒い夢がだまって諸君に一切の武器を引き渡す 武装がゆるされた 人よ 愛せ 強く生を愛せ

     ドアの外で 新しいガアゼを匂わせて雨は再び街角を曲り 港へ 薄明の港から暗黒の海へ 星かげなき幻影の世界へ
     唇は濡れた やがて僕の手は乾いた さよなら 女は僕とすれちがって出ていった ドアの外へ ひとりの背の高い男が雨に濡れながら僕を待っている 生きるためにか死ぬためにか ドアを隔てて僕らは弾丸を装填する
     祝福せよ 孤独な僕らにも敵が現われた 鏡の中で僕の面貌は一変する 鳥肌たつ生のフィクション! ドアの外へ 不眠都市とその衛星都市 七つの海と巨大な砂漠 夏のペテルスブルグから冬のパリへ 女は激烈に唄った まだ愛してる まだ愛してる そして東京 秋! 世界は僕の手で組み立てられ アンテナの下で夢みている この時 ソナタ形式による覚醒の一瞬間を 諸君自らに問うがいい……あたしは願う 死ぬことの自由を 拍手が起りはじめた 僕は椅子から立ち上る 母さん!

  • うわあ…もう…現代詩への気持ちが溢れすぎて、読みながら震えた。「四千の日と夜」はもう圧巻でしょう。言葉の引力、世界を構築していく力に圧倒されて…
    詩人だ。厚かましいこと承知で言いますが、憧れます、ほんとうに。

  • 重厚な詩もたまにはいいですね。

  • ことばなんかおぼえるんぢゃなかった。

  • 訳者の部類としたら最高

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著者プロフィール

福岡大学 人文学部

「2019年 『公認心理師 実践ガイダンス 2.心理支援』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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