- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062099585
作品紹介・あらすじ
奇蹟の船はたったひとりで戦い誇り高く死んだ。われわれが平和と繁栄のうちに葬り去ったもの。弥勒丸は日本人の良心そのものだった。老人は五十年余の沈黙を破り、悲劇の真相を語り始めた。極限の愛と死を描く巨編、感動の結末へ。
感想・レビュー・書評
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「蒼穹の昴」が面白すぎて期待しすぎたせいか、ちょっとガッカリしてしまった。
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戦時中に台湾沖に沈められた豪華客船「弥勒丸」引き上げのお話だけど…。
どうもプロットが破たんしていて、伏線の回収もできず、なんとかエンドマークを付けた感がありありの作品でした。
どうせなら焦点を絞ったコンパクトな作品にするか、弥勒丸を引き上げるまで、もしくは引き上げを断念するまでをしっかり描いて欲しかった…。
浅田作品は大好きなんだけど、これはちょっと…ってお話でした。
残念! -
物語は意外な結末へ、終戦直前の様々な人生を載せて弥勒丸は最後の航海へ。船上で流れるシェエラザードの調べが哀しく、美しい。50年の苦しみを背負ってきた老人が語る真相と失われたロマン、そして救うために努力した誇りと虚しさ。海底からの引揚げの意味が全く変わり、人の生命の大切さ、人間としての尊厳が一番大切であったことを知らされる結末でした。『彼女』と呼ばれる優美な弥勒丸の魅力がシェエラザードの甘美な旋律と共に脳裏に残りました。最近はどうも沈む船に関係した本が多いようです。昨晩は日曜洋画劇場で、やはり沈没の話である「ポセイドン・アドベンチャー」をしていましたので、見てしまいました。
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太平洋戦争末期の阿波丸事件を題材に,人間の良心とは何かを問いかけてくる作品です
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レビューは上巻でまとめて。
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些末(?)なことに捧げられた2000人の命
大局を見失うことの恐ろしさ
「ただ従え」という軍令・盲信
船男としての誇り・覚悟
戦記物には必ず「上官が白と言ったら黒いカラスも白いのだ」理論が出てくる。戦争ってそういうものなのだろうか。 -
後半になるほど引き込まれました。長編の奥底に流れる、シェラザードというタイトルも納得。浅田次郎さんの作品をもっと読んでみます。
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5月6日読了。「その瞬間」に向け、過去の時間が大きく動き出す・・・。運命、という言葉で片付けるにはあまりに人為的に過ぎる軍部の決断にそれぞれに苦渋・葛藤を覚えつつ手を貸してしまった男たちの抱える思いの深さが、貴婦人・弥勒丸への愛情の深さとあいまって初めて見えてくる。「現在」を生きる人々に完全に決着がついてないという気もするが、謎の中国人・宋の意外な正体と、次郎得意の終盤の独白調にある職人芸にただ浸って感動するのが正しい読み方か。読み終わりとりあえず、うまいパンが食べたい。
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宋英明が宋英明になるまでの話も読んでみたい。