終戦のローレライ 上

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (462ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062115285

感想・レビュー・書評

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  • 今更有名作を読むという暴挙。
    だけれどもこの作品がなぜ有名なのかは
    わかった気がします。

    描写が生々しいのよね。
    特にこの物語のカギとなるある人物たち。
    彼らはある種特殊な力を持っています。
    だけれどもそれはある国の「鬼畜な策」によって
    生まれた産物だったわけで。

    その鬼畜さはその人物たちに刻み付けられた
    2つのものでわかることでしょう。
    (1つはまあ消せるけどもう1つは無理)

    そして、終盤にはあの描写があります。
    そう、ある潜水艦が防げなかった
    あの描写が…

  • あらかじめ敗北という選択肢を持てなかった戦争。茶番と括るにはあまりに重すぎる戦争。日本民族の消滅を回避し、この国にあるべき終戦の形をもたらす。ナチスドイツによる人種改良実験の偶然の産物である特殊能力に目覚めた「彼女」とその兄の「黄色いSS」。二人の残酷な運命は読んでいて心が痛みます。戦利潜水艦伊507の乗組員との出会いは二人にどんな影響を与えたのか。そして気になるのは浅倉大佐の動きですね。おそらく下巻で明らかになるのでしょうが、何を考えているのか掴めない奴です。彼のミステリアスな魅力もまたいいんでしょうね。

  • 再読。前半部分は若干退屈だけどローレライが本格的に絡むトコから読む手が止まらなくなる。また、これだけ登場人物が多いというのに一人ひとりのイメージが結構明確に想像できるっていうのもこの分厚い福井さん作品の特徴だと思う。「どうせ兵器になるしかないのなら、私はいまなりたい」というパウラと、ソレを艦員一丸になって止めるために全力を尽くすシーンといい、上巻だけでも読みどころたっぷりでした

  • 古本で発見し、只今世界に入り込み中。
    まだまだ謎だらけですが、ページをめくる手がとまりません^^

  • レビューは下巻です。m(__)m

  • 長い、じっくり描かれている。なかなか、進まないのがもどかしいがおもしろい。下巻、どうなるのか楽しみ。

  • 再読。

    有りえない潜水艦で、有りえないローレライを回収する上巻。

    ベテラン軍人(ロートルとも云える)に少年兵たち。
    そして紅一点には不思議な少女。(Zガンダムのフォウか、エヴァンゲリオンの綾波レイ・・・と云った所か)
    ガンダム好きには堪らない設定に展開。
    たとえ理不尽な戦場であろうと、少年たちの成長にはグッと惹きつけられてしまう。

    SFミステリで終始するのかと思えば、ちゃんと戦争に対する作者の姿勢も貫かれているようなので下巻が楽しみ。

  • 1艘の潜水艦のお話。フランス生まれだったが、ドイツに乗っ取られ、日本へ亡命。乗員は第3国へ脱出し、日本人乗組員にて再生され、いまひとたびの航海へ乗り出す。ドイツ敗戦後、秘密兵器を所持していた為、しつこくアメリカ潜水艦に狙われる。生き残る為に秘密兵器を海中投棄し、脱出。秘密兵器には、乗組員の妹が乗っていた。機密の為、妹が乗っているとも言えず、日本軍に回収を急かす兄。又、その兄弟は日本人の祖母を持っており、風貌は日本人に酷似していた。その為、本国ドイツでは疎んじられ、様々な苦労を重ね、生きる道を模索し、兵器として生きる道を見つけた。「恐怖を感じないようにする為には、自らが恐怖そのものになるのだ。」その戦争もドイツの敗戦で終わったかに見えたが、兄妹はその身を隠す方法を模索し続ける。そうしなければ、兵器としての業を背負い続けなくてはならないからだ。クルーとして乗り込んでいても、常に疎外感を持つ兄。
    日本人乗組員と出会い、感化されていく兄妹。回収作業、出会い、開けっ広げな、幼稚な精神性に厭も応も無く巻き込まれて行く。純粋ならそれでいいのか疑問は残るが、他国に侵略された事の無い国民性、一度も外国に負けた事がない当時の日本人に感化されたのか。
    上巻の締めはしつこいアメリカ人を沈め、帰港する。日本は敗戦まであと少し。時間は無い。イ507の運命や如何に?

  • 戦争中の潜水艦を舞台にした物語。SF・ファンタジー的な要素が濃いかな。現実に抗い、自らの「矜持」を貫こうとする人たちの姿を描いている。

  • 土壇場での人間の生に対する執着ってすごい。

    続き読もう。

著者プロフィール

1968年東京都墨田区生まれ。98年『Twelve Y.O.』で第44回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。99年刊行の2作目『亡国のイージス』で第2回大藪春彦賞、第18回日本冒険小説協会大賞、第53回日本推理作家協会賞長編部門を受賞。2003年『終戦のローレライ』で第24回吉川英治文学新人賞、第21回日本冒険小説協会大賞を受賞。05年には原作を手がけた映画『ローレライ(原作:終戦のローレライ)』『戦国自衛隊1549(原案:半村良氏)』 『亡国のイージス』が相次いで公開され話題になる。他著に『川の深さは』『小説・震災後』『Op.ローズダスト』『機動戦士ガンダムUC』などがある。

「2015年 『人類資金(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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