腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062129985

感想・レビュー・書評

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  • 小劇場で演劇を見ている感覚。
    登場人物は「普通にはいない人たち」。
    たとえば「誰でもいいから殺してみたかたった」みたいな、私には理解できないタイプ。

    読んでいてとても面白い。
    わかりやすいのでどんどん進む。
    25歳でここまで描ける有希子さんは天才とも思う。

    でもラストが…
    これを「どんでん返し」と褒めたたえる読者が多いけど
    私にはダメです。
    まず共感する部分がまるでない。

    そして他の方の感想を読んでも
    どこにも書かれていないのが不思議だから
    もしかしてまた私が一人で勘違いしているんだったら
    誰か教えてほしいのですが

    あの映画監督は全く存在しない人なんですよね?
    妹のなりすましなんですよね??
    手紙の消印を見れば一目瞭然なのではありませんか???

    映画化されているそうなので、
    DVD見てみましょうか。

  • ジクジクドロドロの最後の爽快なオチが素敵

  • 期待したけど

  • 狂った2つの家族の話。
    田舎におけるしがらみ。

    事故で両親が死に田舎に集められた
    自意識過剰な売れない女優である長女。
    彼女は自分が特別であるという思い込みが強く、容姿がいいという以外、他人より優れているもののないように思われるが自信がとにかくあるのだ。
    高校生の女の子。
    彼女は姉がどうしてそんなに自意識過剰なのか気になりその姿を観察し漫画にした。
    そのことで姉から酷い仕打ちを受けている。
    DVが日々行われてる夫婦。
    夫は姉妹の兄であり奥さんは義姉。
    DVに関してはコミニュケーションの一環っていう書き方があったけど不快。それをコミニュケーションの一部として受け入れる夫婦の形の意味がわからない。


    やっぱり。やっぱりあいつはあたしの価値も分からないようなクズだった。あいつはしょせん生きていても仕方のない男だった。クズはクズ同士で楽しくやればいい。死ぬほどどうしようもない、自己満足の思い出作りをずっと。

    「人を苦しめていることに気づかない善意ほどタチの悪いものはない」

    唯一無二の存在。あたしじゃなければ駄目だと。あたし以外は意味がないと。あたしだけが必要だと。誰か。あたしのことを。あたしを。特別だと認めて。他と違うと。価値を見出して。あたしの。あたしだけの。あたしという存在の。あたしという人間の。意味を。価値を。理由を。必要性を。存在意義を。今すぐ。今すぐに。



    特別な人間なんかいないし、価値を見出してもらうより自分で価値を見出したいけど他人から見出してもらうことを望んでしまうのが人間なのかなぁ。

  • 自己愛が異常な姉澄伽、そんな姉を観察してマンガに表現する欲求に抗えない妹清深

    登場人物全員が狂気じみてて、ありえないんだけど田舎の閉塞感の描写が上手いからリアルでこういう人達いる気がしてしまう

    澄伽の暴走でみんな不幸になるかと思ったけれど、最後にどんでん返しがあったもののスッキリしないまま終了

    勢いのある文章で一気に読んだけどホラー小説のような読後感だった

  • タイトルにインパクトがあり、前々から気になっていた作品、ふと手に取る。

    舞台でのストーリーが本になった経緯なんだね。賛否有りそうな作品だが、舞台も見てみたいと思った。

    売れない女優が田舎に帰ってきて、兄や妹と掛け合いながら進むストーリー。

    強烈な感情の表現方法が渡の心には刺さったな。主人公の中に私を見てしまう。

  • 自分は他人よりも優れている!と信じてやまない澄伽は東京に行く資金を集めるため、高校生のとき売春をしていた。
    澄伽の日記を盗み見た清深は、姉のこれまでの行動をホラー漫画にして投稿し、雑誌に掲載され、村の人たち全員に澄伽の売春を知れわたらせてしまう。
    心の拠り所を探す澄伽は義理の兄、宍道とも寝てしまう(両親は再婚で、連れ子だから二人に血の繋がりはない。これは近親相姦になるのか!?)。

    両親が交通事故で亡くなり、東京から帰ってきた澄伽は清深に辛く接する。過去に澄伽と交わってしまったという負い目がある宍道はそれを止めないし、自分の嫁とも交わらない。

    東京での活動を続けるために金を無心したい澄伽と、仕送りするのは厳しいという宍道。
    そんなとき文通相手の映画監督からオファーをもらい、有頂天になった澄伽は清深のことを許す。しかしその映画監督は清深のなりすましで、清深は姉の自尊心を弄び、またしてもそれをホラー漫画にしていた。

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    エジプト土産の呪いの人形や、玩具の「引っ込むナイフ」、超能力の件などなどが最終的にもう一度登場して物語が終わるあたりは、これぞ伏線回収!という感じで、見事だった。「引っ込むナイフ」がここで出てくるのか!一本取られたぜ!と思わずにはいられなかった。

    自分を特別な存在だと思い込むあまり超身勝手な行動をとり続けてきた澄伽と、それを面白がってホラー漫画にしてしまう清深。二人の描写も凄まじかった。
    澄伽の膨らみ続けた自尊心は痛いというよりも、悲惨さすら漂っていた。映画監督の手紙は、もしかして待子さんが出しているのでは……と思ったけど、哀れな姉を面白がり続けた清深のしわざで、どうしようもないくらいに笑えた。

    これは喜劇なのか。悲劇なのか。わからないけど、姉妹二人のドタバタ劇だったように思う。

  • 終始、舞台か演劇かみてるような感覚。


    主人公のすみかは到底理解できない自意識過剰な人間。
    その周りの人たちにも感情移入は難しかった。

    前半??となる伏線のような部分が、後半読み進めるうち回収されていき面白かった。

  • お姉ちゃんがとにかく気が狂ってるが、出てくる人、皆、狂っとる。
    タイトルが良い。

  • 映画で気になっていたので、読んでみました。
    本谷さん自身になぜか惹かれるので、作品は読んでみるものの なんかアタシには伝わりにくいです^^;

  • 演劇出身の作者。だから、なのか、キャラクターの色付けは濃く、舞台も、たまたまかもしれないが、少人数で出来る構造で出来上がっている。一つのことをキッカケに、大きく事態を急変させていく雪だるま式の物語。
    田舎の狭さに加え、閉塞的な物語、更には湿った泥濘む様な重みのある内容。全体としては200ページにも満たない薄さだが、無駄を排除して十分に完結している。いくつかの人を中心に置いたストーリーを展開したり、結局のところ、全てがタイトルに集約されているのが良い。登場するメインに当たる人物は皆、腑抜けている。

  • 2014年11月2日読了。
    すげえ話。パンチに押されてぐいぐい読んだ。

  • 演劇出身者らしく極端な性格を持った四人が織りなす物語。

  •  2004年11月10日~14日「劇団、本谷有希子」第8回公演「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」@青山円形劇場の後に発行された小説です。
     2004年の公演は未見ですが、昨年9月にNHK-BS2で放映されたときに、エアチェックしていました。
     公演の「腑抜けども・・・」、小説の「腑抜けども・・・」、それぞれに独立の作品、別物として、それぞれに魅力があることが分かります。
     また、小説を読んだ後に、再度、公演を観てみると、初見の時とは違う観方ができました。

    ストーリー 
     うだるような夏の暑さに閉じ込められた山間の集落、赤戸前村。
     ここで一組の中年夫婦が道路へ飛び出した猫を庇い、ダンプに轢かれ死亡した……。両親の訃報を受け、東京から六年のあいだ音信不通だった長女が和合家へと帰って来る。
     「あんた、本当は二人が死んだことも漫画のネタになると思って喜んでるんでしょ?」
     おびえる次女にそう微笑む長女。困惑する新妻の待子が夫の穴道から厳守するよう誓わされた一家の掟は次の三つだった。

     『一つ、長女の澄伽には何があっても逆らってはいけない』
     『一つ、次女の清深には決して心を許してはいけない』
     『一つ、長男の穴道に一切の恋愛感情を抱いてはいけない』

     やがて自由にふるまう澄伽によって、和合家の日常は大きく歪み始める。
     それぞれの思惑が交錯し、空回り、事態は一層の泥沼へと嵌まり込んでいき───。

  • 映画を先に見たのですが、原作もなかなか。
    ただ映画があれだけ濃い内容量だったのに対し、原作は少々あっさり。原作つきの映画って殆どが原作の内容を削られる作品ばかりだけど、この作品は補足されてく映画だったなぁ、と。さそれは作者が劇作家であり演出家であるからなのかと思う。一応本として出来上がったけど、そこには演出が必要で、つまりこの本は台本の延長線上である、と私は思います。
    上から目線だけど、とても可能性が感じられる作品だなぁ、と思いました。

  • 不思議な感覚。圧倒される内容。
    緻密な文章で、頭の中にリアルに広がる世界。
    作者が劇団を旗揚げした人だし、
    その劇団でも上演されたから、
    これは本を読むより、そのものを見た方がいいと思った。
    映画にもなったから、今度見てみたい。

  • 映画をそのまま思い出す。

  • 題材やポップさだけじゃなく、描写力がすごい
    1979年生まれでこの技術は嬉しい
    澄伽:不幸が女優としての自分を高める
    待子:不幸ありきの幸せ。「水は砂漠で飲んだ方が美味い」
    清深:?

  • いっきに読んでみたけどなんかちがう。この作者の小説『生きてるだけで愛』と共通してるのはラストの疾走感だけ。
    ずっとダラダラしてて最後だけ
    引き込んで駆け抜ける感じ、
    なにかちがう(._.)

  • 未熟な人間が醜くもがき、それでもなぜか美しい。人間の人間くさい部分がきれいに描かれている。

  •  ううう。読んでいて苦しい作品だった。
     3人の兄妹、宍道、澄伽、清深が主人公。両親が交通事故で無くなり、葬式のために東京から澄伽が戻ってくる。
     まぁそれぞれ強烈なキャラクターで、読んでいる側が引く。しかもネガティブな方向に強烈なので、途中読み進めるのが苦しくなってくるという具合。
     もともと、舞台だったものを小説化したとのことなので、強烈ぐらいが舞台としては良いのかも、とも思ったりするのだけれど、小説だとつらいなぁ。
     ということで、あまり良い印象ではありませんでした。

  • 面白くて、怖くて、一気に読みました。
    登場人物みんな個性的で、そして怖い。
    最後のどんでん返しが良かった!
    本谷有希子さんの人を惹きつける力、すごいです。

  • タイトルに惚れた。
    1人1人の個性が立っていたのが良い。
    誰を主人公においても面白いと思います。

  • 『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』読了。
    自分は特別だと思っている姉、そんな姉を観察する妹、妹を守ろうとする兄、最悪の少し上の人生の兄嫁、全員強烈でそして痛々しい。
    確かに姉は面白いけど妹のした事が一番怖い。
    タイトルがとても素敵。
    映画も観てみたい。

    ♪世界が終わる夜に/チャットモンチー

  • タイトルがかっこいい。
    登場人物がみんないろんな意味で異常で、強烈で、濃い。
    それでいて舞台は閉塞感漂う田舎。
    環境といい、家族といい、すべて絶妙なバランスで成り立っていたところ、そのバランスが中から崩されていく感じ。
    自分は特別な人間だと信じて疑わず絶対的自信を持って女優を目指す姉、それを観察し表現したくなってしまう妹。ある事件から姉を恐れている感じの妹。その妹の後半部分の突き落とすような絶望を与える言動が衝撃的です。最後までテンション高くエネルギーが溢れてます。嫁が実は一番すごい人なのかもしれない。
    生きてるだけで愛のほうが好きだったな。★4にしようかどうしようかという感じ。

  • 面白かったー
    「コインロッカー•ベイビーズ(村上龍)」を読み返そうかな。

    図書館にて。

  • 最後の方の「……あ、ない!」っていうセリフが凄く違和感というか、なんか受け付けなかった。そこだけ。
    映画も見てみようかなって思った。

  • 間違った自意識の怖さ。
    人間って怖すぎる。

  • 凄いうにゃ、ってなる終わり方で、全体的な話の作りもそれで?みたいなかんじだったんですけど、
    兎に角宍道と待子がツボ。此の関係がツボ。
    この二人の遣り取りというか、そういうのがもっとあったら嬉しかったなー、とおもいます。これだけでもう星5つつけていいくらいに。
    何となく主題がぼやけているような印象は、ありましたね。
    結局は妹頭オカシイ。姉も頭オカシイ。っていう感じで。
    現代的な小説ではあると思います。
    描き方もですけれど、登場する人物も。
    特に清深ちゃん。えげつないなあ。
    自分は特別な人間って思い込むのもなかなか難しいし、清深ちゃんが妹でさえなければまだマシな人生だったんじゃないかな、とおもいます。
    きっと清深ちゃんは待子さんのこととか、宍道さんのこととか平然とマンガで書いちゃうんでしょうね。
    正直待子さんには本気でしあわせになってもらいたかったのですが、残念でした。

  • 自分は特別な存在だと勘違いしてる姉にふりまわされる家族の話
    最後が衝撃的だった

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著者プロフィール

小説家・劇作家

「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

本谷有希子の作品

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