天使のナイフ

著者 :
  • 講談社
3.82
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本棚登録 : 1319
感想 : 266
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062130554

感想・レビュー・書評

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  • 満足充足感で、読後の心は満たされる。伏線という脇役が揃い踏み、見事な演出と活躍で舞台を盛り上げる。ミステリーとして秀逸だけではなく、犯罪事件に真っ向から向き合い罪と贖罪そして少年法の意味を我々に問いかける。明日は我身、今日の加害者は明日の被害者と、悲しいかな、犯罪が身近を闊歩する時代の呟く言葉に耳を傾ける時、置かれた状況立場で正鵠を射ても、裁きに正解はありうるのだろうか?十年以上前に書かれた内容が現代でも違和感無く感じる程、世は殺伐としているのは単に思い過ごしか。

  • 結末はまったく予想できませんでした。推理小説としてもよし、少年犯罪の加害者、被害者視点の小説としてもよかったと思います。最初の頃の主人公の行動にちょっと無理というか、共感できない点があったのが残念です。子供がいたらあそこまで自分で行動できるかなと。。。

  • 江戸川乱歩賞受賞作との事だが、凄い作品だ。緻密にストリーが計算され、これでもかこれでもかと言うぐらい予想外の展開が続き、最後の最後まで、翻弄させられた。扱っている内容に、少年犯罪の復讐の連鎖があり、あまりにも暗く重い。そして、日本では法が、犯罪被害者の家族について全く考慮されていない事実をまた認識する形になった。

  •  作品解説:生後5ヶ月の娘の目の前で惨殺された妻・祥子。夫・桧山貴志は耳を疑った。犯人は、13歳の少年3人。4年後、犯人の少年の1人が殺され、桧山は疑惑の人となる。少年たちの事件後を追う桧山に付き付けられた、信じがたい真実、恐るべき過去――。更生とは何か。本当の贖罪とは何なのか。少年法をめぐる論争の死角に迫るとともに、“読み出したら止まらない”ミステリーの醍醐味を両立させた、選考委員も絶賛の話題作。
     第51回 江戸川乱歩賞 受賞作

     前半部分において魅力的な「謎」が出てこないため、読み出したら止まらないというほどのものではないが、中盤から一気に「謎」「謎」「謎」のオンパレードが続くので、途中で読むのを止めないように。
     ミステリーを楽しむ要素の一つに犯人探しがありますが、この作品ではもしかするとそれほど重要視されていないかもしれません。そのかわり、終始一貫して現れるテーマの「贖罪」は取り扱いに優れており、深く考えさせられるものがある。
     少年犯罪を扱っており、その手の作品に嫌悪感を持つ方もいるとは思いますが、是非最後まで読んで「贖罪」のあり方を考えてみてください。

  • 「贖罪」とはなにかを考えさせられる1冊。
    加害者も被害者も表裏一体なのかもしれない。
    どちらにもなり得る可能性を秘めている。

    2005年 講談社

  • 図書館で借りた本。
    ある日突然少年3人組に妻を殺害された桧山は、加害者が少年だというだけで罪に問えないことに疑問を持ち、ついメディアで殺意を表現してしまう。しかし残された幼い娘のために、平穏を取り戻して生活していたころ、桧山の近くで加害少年のうち一人が殺害されるという事件が発生した。アリバイのない桧山は容疑者として疑われている中で、他の加害少年も殺人未遂と殺人事件の被害者になっていく。

  • 第51回江戸川乱歩賞受賞作。
    読んだと思っていたのに読んでいなかったみたい。はは。
    刑事もの、少年事件を扱うことが多い作家さんだと思うけれど、思い入れがあるのかな?
    とても難しい問題だと思う。子供だから、発達の途上だからぜひとも更正をと思う反面、善悪の区別くらいつくだろうと思ったり。特に、殺人ならなおさらそう思ってしまう自分がいる。
    被害者家族のやるせなさ。どうしてあげたらいいのか。少年犯罪だったとしても、希望すればせめてどのような推移をたどったかくらい伝えるべきではないのか。何も知らせないこと=更正の障害にならないということなの?

  • 2005.10

  •  桧山貴志の妻、祥子が生後五か月の愛美のベビーベッドの上に覆いかぶさるようにして、殺された。
     犯人は、中学1年生3人、つまり13歳の少年だった。
    その頃の少年法では、13歳は逮捕されない。
    14歳未満の少年は刑事責任能力が無い為、補導されることになり、児童相談所の判断で、更生させる施設におくるか、家庭裁判所での少年審判にかけられるかを決める。
     しかし、結果はどちらにしても、更生になる。
    どんな凶悪犯罪を犯しても、14歳未満であれば、罪に問われない。
     被害者にしてみれば、やり切れなさすぎる。
    何の罪にも問われずに、法律に守られて、生きていくことが出来る犯人に対して、最愛の妻を亡くした桧山の心が痛い。
     徐々に明かされていく真相の中で、祥子が殺された原因があまりにも予想外なのにはびっくりした。
     そして、それを裏で手引きした犯人には、全く予想がつかなかった。
     とにかく、憎悪は憎悪を呼び、殺人が又殺人を呼んでしまう悪の連鎖が辛かった。
     2年間かけて書いた最初の小説で、これだけ巧妙なミステリーを書いた薬丸岳を私は凄いと思う。
     

  • ある少年犯罪につながる人間関係……。読み始めた時にそこまでとは思わず、ラスト近くで次々に明らかになるつながりに、「え~っ!」となった。読みやすい文章で
    どんどん世界に引き込まれていく。面白かったです。

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著者プロフィール

1969年兵庫県生まれ。2005年『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2016年、『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞を受賞。他の著書に刑事・夏目信人シリーズ『刑事のまなざし』『その鏡は嘘をつく』『刑事の約束』、『悪党』『友罪』『神の子』『ラスト・ナイト』など。

「2023年 『最後の祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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