- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062130554
感想・レビュー・書評
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満足充足感で、読後の心は満たされる。伏線という脇役が揃い踏み、見事な演出と活躍で舞台を盛り上げる。ミステリーとして秀逸だけではなく、犯罪事件に真っ向から向き合い罪と贖罪そして少年法の意味を我々に問いかける。明日は我身、今日の加害者は明日の被害者と、悲しいかな、犯罪が身近を闊歩する時代の呟く言葉に耳を傾ける時、置かれた状況立場で正鵠を射ても、裁きに正解はありうるのだろうか?十年以上前に書かれた内容が現代でも違和感無く感じる程、世は殺伐としているのは単に思い過ごしか。
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結末はまったく予想できませんでした。推理小説としてもよし、少年犯罪の加害者、被害者視点の小説としてもよかったと思います。最初の頃の主人公の行動にちょっと無理というか、共感できない点があったのが残念です。子供がいたらあそこまで自分で行動できるかなと。。。
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江戸川乱歩賞受賞作との事だが、凄い作品だ。緻密にストリーが計算され、これでもかこれでもかと言うぐらい予想外の展開が続き、最後の最後まで、翻弄させられた。扱っている内容に、少年犯罪の復讐の連鎖があり、あまりにも暗く重い。そして、日本では法が、犯罪被害者の家族について全く考慮されていない事実をまた認識する形になった。
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作品解説:生後5ヶ月の娘の目の前で惨殺された妻・祥子。夫・桧山貴志は耳を疑った。犯人は、13歳の少年3人。4年後、犯人の少年の1人が殺され、桧山は疑惑の人となる。少年たちの事件後を追う桧山に付き付けられた、信じがたい真実、恐るべき過去――。更生とは何か。本当の贖罪とは何なのか。少年法をめぐる論争の死角に迫るとともに、“読み出したら止まらない”ミステリーの醍醐味を両立させた、選考委員も絶賛の話題作。
第51回 江戸川乱歩賞 受賞作
前半部分において魅力的な「謎」が出てこないため、読み出したら止まらないというほどのものではないが、中盤から一気に「謎」「謎」「謎」のオンパレードが続くので、途中で読むのを止めないように。
ミステリーを楽しむ要素の一つに犯人探しがありますが、この作品ではもしかするとそれほど重要視されていないかもしれません。そのかわり、終始一貫して現れるテーマの「贖罪」は取り扱いに優れており、深く考えさせられるものがある。
少年犯罪を扱っており、その手の作品に嫌悪感を持つ方もいるとは思いますが、是非最後まで読んで「贖罪」のあり方を考えてみてください。 -
「贖罪」とはなにかを考えさせられる1冊。
加害者も被害者も表裏一体なのかもしれない。
どちらにもなり得る可能性を秘めている。
2005年 講談社 -
第51回江戸川乱歩賞受賞作。
読んだと思っていたのに読んでいなかったみたい。はは。
刑事もの、少年事件を扱うことが多い作家さんだと思うけれど、思い入れがあるのかな?
とても難しい問題だと思う。子供だから、発達の途上だからぜひとも更正をと思う反面、善悪の区別くらいつくだろうと思ったり。特に、殺人ならなおさらそう思ってしまう自分がいる。
被害者家族のやるせなさ。どうしてあげたらいいのか。少年犯罪だったとしても、希望すればせめてどのような推移をたどったかくらい伝えるべきではないのか。何も知らせないこと=更正の障害にならないということなの? -
ある少年犯罪につながる人間関係……。読み始めた時にそこまでとは思わず、ラスト近くで次々に明らかになるつながりに、「え~っ!」となった。読みやすい文章で
どんどん世界に引き込まれていく。面白かったです。