不恰好な朝の馬

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062134941

感想・レビュー・書評

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  • 普通の「恋」「愛」って、こんなふうに、なんか後ろめたくて、静かに人の心の中に波風を立たせるものなのかな。いや、普通じゃないのかもしれない、恋愛だから。

  • 連作短編集。
    シリアスな内容も含まれているが、全体的にとぼけた雰囲気で笑ってしまう場面が多かった。
    読後感よし。

  • 短編集?と思いきや、それぞれが別の人物を主人公とした物語でうまく繋がっている。

  • 短編が、少しずつリンクしていく。
    夫婦の不和が・・・気持ちが少し重くなる。
    そんなもんなのかなぁ、って気もするけど。
    最後の結婚が、救い?

  • 連作短編集。陰のある人間関係。
    ちさの雰囲気が好きなので
    「額縁の犬」と「初夏のペリメニ」がいい。裏表のような。

  • 大きな団地付近を舞台にした連作の短編集。
    少しずつ歪んでいて、現実味がなくて、
    なのに、自分にも同じところがあると思えてしまうお話。

  • 連作短編集、のような。小粒ですが、今までで一番好きかも。

  • 09/10/13 読了

  • 面白かった。
    こういう、みんながちょっとずつおかしいけど、結局誰も憎めない、どこか笑っちゃう毎日、みたいな、井上さん独特の雰囲気好きです。
    関係ないけど、本文で登場したペリメニがおいしそう。今度作ってみよう・・・

  • 昨年出て今年4月に読んだ『誰よりも美しい妻』以来の、ほぼ1年ぶりの荒野さんの新刊。発売が延期され、タイトルが改題されて、やっと今月手にすることができた。とても荒野さんらしい連作短編集だ。

    帯の言葉を借りながらまとめると、<夫の恋をもう許さないことに決めた妻>「不恰好な朝の馬」(「早朝オペラ」を改題)、<その夫と恋人の奇妙な旅>「鹿田温泉」、中学教師と生徒との禁断の恋「クリームソーダ」、<その教師の妻のあたらしい習慣>「スケッチ」、<決して帰ってこない男を待つ女>「額縁の犬」、<その女が忘れられないもう一人の男>「虫」、そして書き下ろしの、その女が待つ男の妻の小さな秘密「初夏のペリメニ」、以上7編が収録されている。(収録順不同)

    ここでまず強く言いたいのは、上記の要約は、帯の文句も含め、便宜上どういう話なのかを最短でまとめたにすぎないため、この本の雰囲気をほとんど伝えきれていないということ。これらの表現から得られるイメージのような、ドロドロしたいやらしさはまったくない。逆にすがすがしさすら感じる。

    連作短編集なので、舞台となっている場所は狭い。同じ地区、同じ団地、同じ喫茶店である。登場人物も共通していて、それぞれの話の主人公は違えど、別の話で出てきた彼、彼女があちこちで出てくる。各人物が、角度を変えてちょろちょろ登場するのが楽しい。

    そしてそれを書いたのが荒野さんだからなおさら、そこで営まれている日常生活を垣間見ているようで、そしてその日常の中で起こる個人個人の心の機微が絶妙に描かれていて、おもしろいのだ。

    荒野さんの描く「女」は、いつも潔くかっこいい。妻も愛人も。そして「男」は、バカだ。女が自分の気持ちを整理してゆくさまと、それに気づかない男。だから女であるわたしは読んでいてスッキリする。自分の気持ちまで落ち着いてくるから不思議だ。待ちに待っていた荒野さんの新刊は、気持ちよく楽しく読めた。

    ちなみに一番好きなキャラは、近藤。あの性格、憎めないんだよねぇ。近藤とハルオのコンビがいい。笑ってしまう。

    読了日:2006年11月22日(水)

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著者プロフィール

井上荒野
一九六一年東京生まれ。成蹊大学文学部卒。八九年「わたしのヌレエフ」で第一回フェミナ賞受賞。二〇〇四年『潤一』で第一一回島清恋愛文学賞、〇八年『切羽へ』で第一三九回直木賞、一一年『そこへ行くな』で第六回中央公論文芸賞、一六年『赤へ』で第二九回柴田錬三郎賞を受賞。その他の著書に『もう切るわ』『誰よりも美しい妻』『キャベツ炒めに捧ぐ』『結婚』『それを愛とまちがえるから』『悪い恋人』『ママがやった』『あちらにいる鬼』『よその島』など多数。

「2023年 『よその島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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