イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策 1

  • 講談社
3.40
  • (9)
  • (11)
  • (16)
  • (7)
  • (2)
本棚登録 : 183
感想 : 22
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062140096

作品紹介・あらすじ

米国の国論が変わった。アメリカの政策を歪めてきたのは誰か?

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 2023年10月7日
    ハマスによる大規模攻撃の直後
    バイデン大統領が言った
    「アメリカはイスラエルとともにあり、確実に支援していく」


    参照
    https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20231128/se1/00m/020/041000c

    なぜ米国はイスラエルを支持するのか?

    米国は最大のユダヤ系の人口を持つ国
    調査会社『Statista』によれば
    米国のユダヤ人 730万人>イスラエルのユダヤ人 718万人

    米国のユダヤ人の成人人口に占める比率は2.4%
    比率からすれば極めて少ないが
    ユダヤ人の持つ影響力は極めて大きい

    政界では
    下院議員435人のうち28人がユダヤ人
    上院100人のうち10人がユダヤ人

    バイデン政権の閣僚にはユダヤ人が多い

     ブリンケン国務長官
     コーエンCIA(中央情報局)副長官
     ガーランド司法長官
     ヘインズ国家情報長官
     クレイン前主席補佐官
     イエレン財務長官

    スタッフを含めれば、その数はさらに膨らむ

    ユダヤ系ロビーの影響力も強い
    最大のロビー集団は
    「イスラエルのためのキリスト教徒連合(CUFI)」
    400万人以上の会員

    政治的に活発なのは
    「米イスラエル公共問題委員会(AIPAC)」
    その資金力は全米ライフル協会に匹敵

    同委員会は選挙で親イスラエル候補に積極的に政治献金し
    反イスラエル派の候補者を攻撃することで知られている


    法曹界でもユダヤ人の存在が目立つ
    現職の最高裁判事9人
    うちユダヤ人判事はケーガン判事1人

    最初のユダヤ人判事は
    ウィルソン大統領に
    1916年に指名された
    ブランダイス判事

    ブランダイス判事以降、49人の判事が誕生
    そのうちの8人がユダヤ人

    連邦裁判所や弁護士、検事を含めれば
    その数は極めて多いと推測される

    メディアも親イスラエルの傾向が強い
    情報紙『AXIOS』は
    「主要な米国のメディアは歴史的に中東で緊張が高まるとイスラエル側に立つ」
    と指摘している。

    ガザ地区の一般市民を巻き込むイスラエルの攻撃は国際的な批判を浴び、特に病院への攻撃は国際的な反イスラエル運動に火をつけた。
    ハマスの攻撃をテロ行為と断定し、軍事支援を約束したバイデン政権は国際社会で、“道義性”を問われ始めている。
    パレスチナ問題の解決策を示すことができず、バイデン政権は出口のない泥沼に踏み込んだのかもしれない。

    (中岡望・ジャーナリスト)
    週刊エコノミスト2023年11月21・28日合併号掲載

    ----------------------------------------------------------

    現代では
    アメリカ国民のおよそ4分の1を占めるエヴァンジェリカル(福音派)が
    イスラエルを支持

    Wikipedia
    福音派(ふくいんは、英語: Evangelical、エヴァンジェリカル)
    福音主義(ふくいんしゅぎ、英語: Evangelicalism)

    福音派プロテスタントは
    プロテスタントを神学や信仰の姿勢によって比較分類する際に用いられる用語

    米国・英国をはじめとする英語圏を中心として
    自由主義神学に対抗して
    近現代に勃興した
    聖書信仰を軸とする神学的・社会的に保守派のムーブメント

    福音派自身による簡潔な定義は
    「福音に献身する者」
    「聖書は神の霊感によって書かれ、誤り無い神のことばであるという、聖書の十全霊感(聖書信仰)を信じるすべての教会」と定義される。

    この聖書信仰は「福音派全体の恵みの絆」と呼ばれる。

    組織としては
    世界福音同盟
    日本福音同盟
    日本プロテスタント聖書信仰同盟
    などが代表的であるが、無所属単立の福音派教会も存在する。

    現在、世界的に福音派の教条として広く認められているのは
    「ローザンヌ誓約」

    教会史と神学からは、16世紀の宗教改革にルーツを持つ

    カトリック主義(教会主義的・典礼主義的)に対する
    福音主義的、福音主義者という呼称

    福音派の代表的神学者
    J・I・パッカーは
    「福音派とは使徒的キリスト教を継承し、証しする者」
    と定義する

    福音主義とか福音派というとき
    信仰的自由主義に対して
    福音主義

    エキュメニカルなグループに対して福音派

    という意味で使っている。

    つまり
    聖書は誤りない神のことばであると信じ
    基本的教理を保持し
    伝道と教会形成に励んでいる者たちのこと


    米国長老派教会(正統長老教会の設立者)の牧師・神学者
    ジョン・グレッサム・メイチェンの定義によれば
    「自由主義神学(リベラリズム)自体がキリスト教ではない」

    キリスト教プロテスタントにおける世界的な教派を超えた運動
    福音の本質は
    イエス・キリストの贖罪を信じることと
    その恵みのみによる救いという教義であるという信念を持っている

    福音主義者は
    救いを得るためには回心や「新生」の経験が重要
    神が人類に啓示したものとしての聖書の権威(聖書信仰)
    そして福音伝道(キリスト教のメッセージを広めること)の重要性を信じる

    この運動は
    18世紀から19世紀にかけて
    イギリスとアメリカで起きた大覚醒によって大きな盛り上がりを見せた

    その萌芽は
    17世紀に遡り
    改革・長老派教会(カルヴァン主義)
    イングランド国教会内のピューリタニズム
    ルター派内の敬虔主義
    フス派・再洗礼派・敬虔主義派などが合同したモラヴィア兄弟団(特にニコラウス・ツィンツェンドルフ監督とヘルフートの共同体)

    イングランド国教会の司祭であった
    ジョン・ウェスレーによる
    オランダ改革派教会内の非主流派であった
    アルミニウス主義に立脚したメソジスト運動など

    さまざまな教派的・神学的流れがその基礎となっている。

    特に
    ジョン・ウェスレーをはじめとする初期のメソジストたちは

    第一次大覚醒の際にこの新しいムーブメントの火付け役となった。

    現在、福音派はプロテスタントの多くの教派に存在し
    また特定の教派に属さない様々な単立教会も存在している

    福音主義プロテスタントのリーダーや主要人物としては

    ジョン・ウェスレー
    ジョージ・ホワイトフィールド
    ジョナサン・エドワーズ
    ビリー・グラハム
    ビル・ブライト
    ハロルド・オッケンガ
    ジョン・ストット
    マーティン・ロイドジョンズ

    などが挙げられる。

    2016年時点で
    世界の福音派
    6億1,900万人と推定されており

    クリスチャンの4人に1人が福音派に分類される

    アメリカは、世界で最も福音派の割合が大きい国

    アメリカの福音派は、
    同国の人口の4分の1を占め
    唯一最大の宗教グループである

    福音派は、プロテスタントのほぼすべての教派に存在し
    特に
    改革・長老派教会
    バプテスト教会
    ウェスレアン派(メソジスト、ホーリネス教会)
    ペンテコステ派
    カリスマ派の教会に多く見られる

    歴史的源流の一つは信仰復興運動、第一次大覚醒にあり
    新生(ボーン・アゲイン、Born again)の強調
    キャンプ・ミーティングによる伝道活動

    自覚的な回心の経験を持つ「新生した者のみが真のキリスト教徒」とし
    伝統的主流派の信徒を
    「信仰の冷めた形だけのキリスト教徒」と規定する


    福音派の特徴
    英国の学者
    ディヴィッド・ベビントンは
    「福音派は、四つの顕著な特徴によって、正統派と識別される」としている。

    ① 回心主義
       個人的にイエス・キリストを受け入れる信仰によって
       変えられなければならない(ヨハネ3:7)。

    ② 行動主義 - キリスト教信仰、特に福音伝道の実践。

    ③ 聖書主義 - 霊的生活の中心としての聖書(聖書信仰)。

    ④ 十字架中心主義 - キリストの十字架とそれがもたらした幸いの強調


    広義のプロテスタントとも見なされうる
    聖公会のうち
    「アングロ・カトリック」とも呼ばれるハイ・チャーチでは
    ローマ・カトリックから受け継いだ(ともすれば現代のローマ・カトリックよりも古式を残す面すらある)、非常に伝統的な典礼様式を守っているが、神学的あるいは社会的な問題に対する理解においては逆にリベラル傾向である場合もある(「伝統的」でありながら「非保守的」な例)。
    他方、ハイ・チャーチの対義語でありプロテスタント的な要素が強いロウ・チャーチと呼ばれるグループでは、その逆のケースもある(ロウ・チャーチといえども基本的には「中道の教会」を自認する聖公会の範疇内であり、他のプロテスタント諸教派に比べれば伝統的な面が多い)。

    東方教会における「伝統的」との違い

    東方教会(正教会・東方諸教会)は
    神学的枠組みや歴史が西方教会とは多分に異なるため

    福音派と自由主義神学といった議論の軸そのものが存在せず

    従って「福音派」も「リベラル派」も存在しない

    西方教会で福音派と言った場合には「保守的」「守旧的」との表現と共に語られる場合もあるが
    東方教会の文脈で用いられる「保守派」は福音派とは全く別系統の概念である


    日本基督教団
    エキュメニカル派(世界教会協議会系)として福音派から区別される

    聖公会
    元々教会政治におけるローマ教皇からの独立を企図して成立した聖公会は
    ローマ・カトリック的な典礼を重んじる「ハイ・チャーチ」と
    福音主義的な神学を重んじる「ロウ・チャーチ」
    そしてそれらの中間的でリベラルな傾向の「ブロード・チャーチ」
    が混在している。

    信者数
    2011年現在
    全世界のキリスト教徒のうち13.1%が福音派である。

    2018年現在
    アメリカ合衆国では全人口の22.5%が福音派であり
    カトリック(23.0%)や
    特定の宗教を信仰しない人たち(23.1%)
    と同じぐらいの割合










    https://www.foreignaffairsj.co.jp/articles/200801_mead/

    Review Essay
    エルサレム・シンドローム
    ――イスラエル・ロビーの力はなぜ過大評価されるのか

    ウォルター・ラッセル・ミード 米外交問題評議会 シニア・フェロー

    Jerusalem Syndrome

    Walter Russell Mead
    米外交問題評議会(CFR)シニア・フェロー。
    専門はアメリカ史、外交、国際政治経済、宗教と外交政策など。

    「アメリカがイスラエルに尋常でない物的援助と外交支援を行っているのはおもにイスラエル・ロビーの働きかけの結果であり、このように漫然と無条件の支援を行うのは、アメリカの国益に合致しない」。両国共通の戦略的利益や価値観が形骸化してきているにもかかわらず、アメリカがイスラエルと同盟関係を維持しているのは、そうした空白をイスラエル・ロビーが埋めているからに違いない。これがミアシャイマーとウォルトが『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策』で言いたかったことなのかもしれない。だが二人は、ワシントンの特定の路線が、イスラエル寄りの政治活動の結果なのか、アメリカの政策や戦略的利益の関係を考慮した結果なのかを区別せず、間違った判断を下しているし、そもそも「イスラエル・ロビー」とは何かを明確に定義していない。




    聖書で「乳と蜜の流れる土地」とたたえられ
    十字軍やナポレオンの遠征などの舞台にもなってきたパレスチナ

    16世紀以降は、オスマントルコ帝国の一部として
    アラビア語を共通言語とし
    イスラム教徒、キリスト教徒、ユダヤ教徒が共存していた

    19世紀末、ロシアでのユダヤ人の迫害を背景に
    ユダヤ人のパレスチナ移住が盛んになり
    ユダヤ系資本によるパレスチナの土地の買い占めが始まる。

    ヨーロッパで差別や迫害を受けていたユダヤ人の間で
    パレスチナに民族国家建設をめざすシオニズム運動が始まる。


    ★イギリスの三枚舌が諸悪の根源

    第一次世界大戦中
    イギリスは
    戦争資金を調達するため

    ① バルフォア宣言
    ユダヤ人コミュニティに協力を仰ぎ
    「パレスチナにユダヤ国家建設を支持する」と書簡を送る

    ② フセイン・マクマホン協定
    オスマン帝国からの独立をめざすアラブ民族主義を利用し
    メッカの太守フセインに対し
    イギリスへの協力の代わりに
    「アラブの独立支持を約束する」という書簡も送る

    ③ サイクス・ピコ協定
    同盟国であるフランスと
    戦争終結後は分割するという協定を秘密裏に結ぶ

    戦争終結と英仏同盟国側の勝利により

    パレスチナとヨルダンはイギリス
    レバノンとシリアはフランス
    の委任統治領に

    イギリスが
    アラブとユダヤ双方に対し相反する約束をしたことが
    二つの民族主義の衝突の原因となる


    1930年代以降

    ナチスによるユダヤ人迫害の嵐が吹き荒れ
    第二次大戦後
    凄惨なホロコーストの事実が世界に衝撃を与える

    シオニズムの主張が力を持つように

    1947年
    国連は
    パレスチナの土地にアラブとユダヤの二つの国家を作る
    「パレスチナ分割決議」を採択

    パレスチナに古くから住む多数のアラブ系住民に43%
    新しく移住してきた少数のユダヤ系住民に57%
    の土地を与える

    これに対し
    アラブ系住民とアラブ諸国から猛反発が起こる

    パレスチナを統治していたイギリスは
    アラブ民族主義とシオニズムの対立の激化になすすべなく撤退

    アラブ・ユダヤ双方の武装対立と緊張関係のなか

    1948年
    ユダヤ側はイスラエル建国を宣言

    その11分後に
    アメリカ合衆国は
    世界で初めて、イスラエル建国を承認する

    イスラエル建国宣言を受け
    第一次中東戦争(1948年~1949年)勃発

    70万人のパレスチナ人(パレスチナに住むアラブ系住民)が居住地を追われ
    ヨルダン川西岸地区や
    ガザ地区
    ヨルダン、シリア、レバノンなど近隣諸国に逃れる

    住民がいなくなった町や村は完全に破壊されるか
    ユダヤ系住民が住むようになる

    一方で
    難民となったパレスチナ人は
    難民キャンプの粗末なテントや洞窟などで困窮を極める

    国連総会は
    1948年12月
    決議194号を可決
    「故郷に帰還を希望する難民は可能な限り速やかに帰還を許す
    望まない難民には損失に対する補償を行う」
    とした。
    しかしイスラエル側は社会的・政治的不安定を招くとして
    一貫してこれを否認

    1950年
    国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が設立され
    パレスチナ人への簡易住居の建設
    教育や医療といった基本的なサービスの提供を開始

    1967年

    イスラエルとアラブ連合(エジプト・シリア)の間で
    第三次中東戦争が勃発

    この戦争で圧勝したイスラエルは
    ヨルダン川西岸地区と
    東エルサレム
    ガザ地区
    シナイ半島
    ゴラン高原
    を軍事占領下に置く。

    国連安全保理事会は
    決議242号を採択

    イスラエル軍の西岸及びガザからの撤退を求めるが、
    イスラエルは拒否

    軍事占領下で、パレスチナ人の基本的人権は保障されず
    難民キャンプでは基本的な生活インフラも整備されず
    生活環境は劣悪なまま放置される

    1970年代に入ると
    イスラエルによる西岸・ガザ地区への「入植地」建設の動きが強まる
    1990年代までに
    25万人以上のユダヤ人が入植

    1987年
    パレスチナ人の不満が爆発

    ガザ地区の難民キャンプから
    「インティファーダ」
    と呼ばれる反占領闘争が広がる。

    デモやストライキ、子どもの投石、
    イスラエル製品の不買などの抵抗運動は世界中に占領の実態を知らせ
    イスラエル国内でも、占領の是非に関する議論が起こる

    1993年
    ノルウェーの仲介により
    イスラエルのラビン首相と PLO(パレスチナ解放機構)のアラファト議長の間で
    「西岸及びガザで5年間のパレスチナ暫定自治を 開始する」
    という暫定合意条約(オスロ合意)が
    米国で調印される。

    しかし
    パレスチナ難民問題や国境の確定などについては
    暫定自治の時期中に協議されるとして
    解決は先送りに

    1994年以降
    ガザとヨルダン川西岸で
    パレスチナ自治が開始される

    外国の援助による難民キャンプのインフラ整備も徐々に進む
    しかし
    細分化された「自治区」の多くは依然としてイスラエル軍の占領下に
    自治政府の腐敗や非効率性が、パレスチナ経済の発展を阻害

    一向に変わらない状況への強い不満を背景に
    武装組織によるイスラエルへの攻撃が続く

    イスラエル側は激しい報復措置とさらなる自治区封鎖を行う
    多くのパレスチナ人が刑務所に収容され
    入植地の建設はさらに活発になる

    2000年
    PLO アラファト議長とイスラエルのバラク首相による
    キャンプデービット会議
    が不調に終わる

    同年、イスラエル右派のアリエル・シャロン元国防相が
    一団の武装集団を引き連れてエルサレムのイスラム教聖地を強行訪問し
    パレスチナ人の怒りが再燃
    (「第二次インティファーダ」のはじまり)

    イスラエル側は重火器を投入して一般市民を攻撃
    パレスチナ側では自爆攻撃が相次ぐ

    2001年
    イスラエルでシャロン政権が誕生

    2002年4月
    パレスチナ自治区への武力攻撃がかつてない規模で開始される
    多数の非武装市民が犠牲に

    2000~2005年の間の衝突による死者
    パレスチナ側3,339人(うち子ども660人)
    イスラエル側1,020 人(うち子ども117人)

    2005年

    ガザ地区からイスラエル軍・入植者が撤退
    しかし
    同地区は依然イスラエル軍に包囲され
    封鎖が続く

    2007年の選挙結果によって
    ガザに
    それまでのPLOではなく
    イスラム政党ハマス主体の政府ができて以降
    封鎖は更に強化される

    2008年
    2012年
    イスラエルによる大規模な軍事侵攻
    多数の一般市民が犠牲に
    人や物資の移動も制限され
    ガザ地区では深刻な物資不足や生活環境の悪化
    経済・社会活動の停滞が起きる

    2002年から
    西岸地域では巨大な「隔離壁」(西岸とイスラエルを隔てるコンクリートや鉄条網の壁)建設が開始される
    隔離壁は
    1949年の停戦ラインを超えて建設され
    ユダヤ人入植地や入植者専用のハイウェイも組み込まれたため

    パレスチナ自治区は飛び地状態に

    国際司法裁判所は
    隔離壁がパレスチナの自治を阻害し、生活圏を分断するものであり
    国際違反と裁定を下すが
    壁の建設は続行され
    西岸は取り囲まれ、人々の移動が制限される

    2012年
    パレスチナの国連へのオブザーバー加盟が圧倒的多数で承認され
    パレスチナは国家としての存在を認められる

    2014年
    国連パレスチナ連帯年とされる

    しかし、パレスチナの状況は大きく改善されてはおらず
    パレスチナ人の独立・平和への強い願いはかなえられていない

    2014年夏
    再びイスラエル軍によるガザへの大規模な軍事侵攻が勃発
    450人の子どもを含む、 2,200人以上の人々が犠牲に

    2021年5月
    11日間にわたって空爆が続き
    民間人や子どもを含む
    約2,500人が死傷

    イスラエル国内では
    パレスチナとの和平や交渉を望まない人が増え
    排外的な政治がますます強まる

    イスラエルとパレスチナという
    二つの独立国家が隣り合わせで共存するという構想は頓挫して
    展望はみられない


    1947年11月国連パレスチナ分割決議採択

    1948年5月イスラエル独立宣言・第一次中東戦争勃発、難民の発生

    1967年6月第三次中東戦争勃発・イスラエルが東エルサレム、ヨルダン川西岸、 ガザ地区、ゴラン高原を占領、新たな難民の発生

    1982年6月イスラエル軍によるレバノン侵攻

    1987年12月ヨルダン川西岸地区とガザ地区でインティファーダ(抵抗運動)始まる

    1991年1月湾岸戦争、湾岸諸国でのパレスチナ人の迫害

    1993年9月PLOとイスラエルが相互承認(オスロ合意)・パレスチナ暫定自治協定調印

    1994年7月ガザ・エリコでパレスチナ自治政府が活動を開始

    1995年9月暫定自治拡大協定調印

    1996年1月パレスチナ評議会選挙実

    施2000年9月第二次インティファーダ始まる

    2002年ヨルダン川西岸地区で分離壁建設開始

    2005年1月パレスチナ自治政府議長選挙実施

    2005年8~9月ガザからイスラエルの入植者・軍撤退、ガザ封鎖開始

    2006年1月パレスチナ評議会選挙実施、ガザでのハマスの支配が強まる

    2006年7月第二次レバノン戦争勃発

    2008年12月イスラエル軍のガザ侵攻

    2011年 ~ 2013年シリアでの民主化運動・内戦の激化、シリアのパレスチナ難民がレバノンに流出

    2012年11月国連総会がパレスチナを「オブザーバー国家」として承認

    2012年12月イスラエル軍のガザ爆撃

    2014年7月イスラエル軍のガザ攻撃

    2018年5月トランプ米大統領が、米大使館をテルアビブからエルサレムへ移転

    2018年8月米国、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)への拠出金停止

    2020年1月トランプ米大統領「新中東和平案」発表

    2021年5月イスラエル軍のガザ攻撃

    参照
    https://ccp-ngo.jp/palestine/palestine-information/

  • ふむ

  • MJ7a

  • 1

  • [ベンチ裏の「最強」]米国議会や行政府、さらには出版業界に至るまで、「イスラエル・ロビー」とされる存在が幅広い影響力を誇っていると提起した作品。その内容から、アメリカやイスラエルを始めとして、国際的な議論と関心を巻き起こしました。著者は、シカゴ大学教授のジョン・J・ミアシャイマーとハーバード大学教授のスティーヴン・M・ウォルト。訳者は、御自身でも多数の著作を出版されている副島隆彦。原題は、『The Iseael Lobby and U.S. Foreign Policy』。


    本書で指摘される「イスラエル・ロビー」の役割や、筆者の主張、そして出版後に巻き起こった賛成・反対こもごもの反響をひっくるめて、政治とは闘争の場なんだなと改めて確認させられました。「イスラエル・ロビー」の影響力の大小はさておき、日本ではなかなか巷間に知られていないロビー活動がどのようなものかを考える上でも有益な作品かと思います。


    また、この作品を読む際には「イスラエル・ロビーが強い」→「米国の国益が損なわれる」ではなくて、「米国の国益が損なわれているのはなぜか」→「イスラエル・ロビーが強いから」という方向に主張の方向性が構成されている点を留意する必要があると思います。それ故に、著者両名の本当の関心はアメリカの国益(及びそれにほぼ必然的に関連することになるイスラエル)とそれに見合う外交政策の再定義ではないかと感じました。

    〜もし<イスラエル・ロビー>が現在のように強力でなければ、米国の中東政策は大きく違ったものになっていただろう。もしくは<イスラエル・ロビー>が違ったアプローチを米国政府に求めていたなら、米国の中東政策は異なったものになっていただろう。結果は米国の国益により適ったものとなっていただろうし、イスラエルの国益にも適ったものとなっていたに違いない。〜

    訳者がなんで本作を訳したか(あとがきで記されています)も要注目かと☆5つ
    (注:本レビューは上下巻を通してのものです。)

  • 何故アメリカは、テロ戦争の矢面に立ってまで、イスラエルを支援し続けるのか、暗黙知のように語られない謎について、丁寧な説明がなされている。

    イスラエルという国家の、戦時下とは言え非人道的な活動や、アメリカ政界におけるイスラエルロビーの隠然たる影響力。彼らの支援なしには、議員の当選がおぼつかない現状。

    ただ、これだけの説明をするのに、これ350ページを越える分量がいるの?と。扇動的な週刊誌のゴシップ記事がいいとは言わないけど、冗長な説明に疲れ果ててしまった。まだ下巻があるの?さすがに読む気がしない。

  • 同じ事ばかり
    米国がなぜあんなことばかりするのかは解っていい

  • イスラエルはテロとの戦いにおいてアメリカにとって有益なパートナー。
    イスラエルロビーの目的は椅子れるの主張をアメリカ国内で広めること。さらにイスラエルの利益になると信じる方向に、アメリカの外交政策が決定されるように影響を与えることも彼らの目的である。
    アメリカはイスラエルについて大恩人。
    イスラエルとあまり親密な関係を持つことはアラブ世界との関係を壊し、ソ連が中東で影響力を入手できるチャンスを与えてしまうことであった。
    社会の風潮をイスラエル寄りにすることが重要。

  • 理論展開が非常に丁寧で隙がない。
    主張が書きっぱなしになっておらず、
    必ず意図するところを細かく説明している。
    読者を程よくリードしてくれるため内容を無理なく理解でき、
    問題がどこにあるかをスッキリ把握できる良書。

    イスラエル/パレスチナ関連の本を読む際に必ず現れる
    イスラエルロビーについて知りたいのであれば、
    読んで損は無いと感じた。第二部も楽しみ。

  • イスラエル•ロビーⅠ』ー書評
     「私の外交政策における最優先課題は米国を守る事だ」と日本の政治家が言えばどうなるか?おそらくその人物は激しい批判に曝されるはずだ。しかし、米国内ではことイスラエルになると話は別だ。イスラエルを守る事に関し、政治家はしばしば誰が最もイスラエルに忠実かを競い合う。米国の中東での対外政策は『親イスラエル』に極めて同調的だが、その背後には強力な圧力団体としての<イスラエル•ロビー>の働きがあるのだ。
     
     本書は米国における偉大な国際政治学者二人がが米国社会でのタブーに挑んだ書として論争を巻き起こした。紆余曲折を経て出版された本書が興味深いのは、至極論理的で冷静なリアリストの立場からの提言にも関わらず、この本が「反ユダヤ主義」との批判を受ける現実かもしれない。この事実は、逆説的ながら筆者らが指摘するように、<イスラエル•ロビー>の常套手段であり、対イスラエル政策に対して、言論空間が極めて狭い「米国社会の闇」を浮き彫りにしているといえる。
     Ⅰにおいて、戦略性や人道性などからイスラエルの支持を無条件に要求する言説を批判的に検討し、一貫した親イスラエル政策が論理的でなく米国の利害を蝕み始めている事に懸念を表明する。そして、なぜ小規模なユダヤ社会を代表した<イスラエル•ロビー>が合法的プロセスを経て、不釣り合いな影響を与えうるかをその組織力から説明する。Ⅱでは、イラク戦争などの事例から、<イスラエル•ロビー>の言説が、いかに米国の中東における対外政策を規定するかを具体的に説明する。驚くべきは、イラク戦争がイスラエルの安全保障の観点からなされたものだという主張か。
     『親イスラエル』言説に見る「神学的」で「人道的」な論調に対し、米国の利益を最大化するために採りうる手段を提示し、新たな議論が成されるために提起された書である。  

    評価—☆4
     上下で優に600ページを超える本書だが、文体について非常に平易に書かれている点が良く、論理展開に一貫性があり、専門用語は無く非専門家にも分かりやすくなっている。直接的に扱っている内容は、政治学上の利益団体(圧力団体)という狭い範囲の対象であるが、それにとどまらない内容の濃さがある。米政治及び外交政策の決定過程を描いた学術本であり、また米国社会のタブーとしてのイスラエルに関する言論空間(言論の自由)を広めるための挑戦的書でもある。
     フクシマでも明らかになったが、学者がしばしば、権力に都合のいい内容を書く事が多い中、出版された経緯(当初米国では論文を掲載出来ず、最初に英国で論文発表された事)や本書によって被る圧力(既に反ユダヤ主義のラベルを張る勢力が多数いる点)を考慮するとそのスカラーシップに敬意を与えるべきだろう。

全22件中 1 - 10件を表示

ジョン・J・ミアシャイマーの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
サミュエル・ハン...
ヴィクトール・E...
スティーヴン・D...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×