- Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062141253
感想・レビュー・書評
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「言い寄る」の続編。
人もうらやむ大財閥の御曹司と結婚して3年。あんなに自由だった乃里子の生活は一変して不自由なものに。自分をとても愛してくれている夫、自分も夫を愛している…なのにお芝居が必要なのはなぜ?
ドキドキした。小説を読んでいて「あれ、これ私のことじゃん!」なんて思うことは滅多にないのだが、この本はズバリそうだった。ドキドキ、はドキドキワクワクでもなく、ときめきのドキドキでもなく、冷や汗が出てくるようなドキドキ。乃里子と私なんてキャラクターとしては全然かぶるところがないのにこのリアルさはなんなのだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
年下の男は厄介な愛玩動物だった。
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「言い寄る」の続編。
なんだろうこの「わかる」感は。
腑に落ちるんだけど、だからそれから逃れることはできないのだよね。 -
この小説が書かれたのは昭和51年。すると、1976年が舞台か…。
女性の立場がまだまだ低く、貞操が問われた時代。
現代にあてはめてみると、主人公の夫はとんでもないDVストーカー男。
田辺先生の文体が軽くて、かつ品があるから、悲惨な感じを受けにくいけど、これはそうとうな話ですよ。
この小説の前作「言い寄る」でも思ったけど、主人公の乃里子は、浮気がばれて、恋人剛にめちゃめちゃ暴力受けてたのに、意外と彼女がそれを容認してたのに、衝撃を受けた。
乃里子は当時としてはそうとう進んでる女性として描かれてたのに、それでもなお。
その暴力男と、今作では結婚してたことにびっくり。
男の暴力が容認されていた時代の物語だなあ。
それに、剛は浮気三昧なのに、男はよくって女は駄目って、どうどうと書かれてあるんだもの。
いくら財閥の息子だからってさあ…。
時代性を感じてしまいました。
そういう女性差別的なものに一石を投じる意味でも、田辺先生は、乃里子を離婚させちゃったんだろうなあ。
でも、こういうカップルって、現代にもいくらでもいる。平成の世になっても、DV男は幅をきかせてる。ホント、許せない。 -
主人公の人は、さばさばした性格で、とてもさっぱりしていて気持ちがよかった。自分は何を望んでいるのか、どの程度の犠牲の上にそれは成り立っているのか、しっかりと自分で見極め、理解して生活を送っているのが、安定感があってすっきりしていた。
本の内容が、主人公と旦那さんの生活、お金持ちの旦那さんの家族の人物関係の描写、主人公が私的にかかわっている男の人の話でほぼ終始していて、それがくるくると繰り返されてばかりなので、途中で飽きてしまった。
またもう一度読み返そうとは、今は思えない。読了は断念です。 -
相変わらず日本語が綺麗。
好きなんだけど、相手に合わせてるうちに、なんとなく息苦しくなっていく感じがうまく表現されてると思う。 -
7/27読み終わり。
剛との結婚生活が書かれたお話。
読み終わって、別に心に何か残る訳じゃないけど一気に読めた。
私なら剛の様なワガママボンボンは3年も我慢出来ないなぁ。 -
美々以外に女ともだちがいないから、
ともだち感覚で
相談したり頼ったりしたい気持ちから
中杉さんに近づいているところもあるように感じた -
まるで友人の話を聞いているかのように感情移入して一気に読んだ。
ふとしたきっかけから、それまで保ってきた防波堤のような壁がモロモロと崩れていくかんじ、前のようにしようとしても、もうどうにもならないかんじ、だましだましや芝居けが出来てた頃が遠くのキラキラした湖を見るような、でももうそんな日なたになんかとても届かない日陰にいる感じが、痛いくらいに味わえた。
それにしても、今年88歳になる田辺聖子さんの、50代の頃の作品というのがおどろき!少しも色褪せず、古さを全く感じさせない。うちの祖母と同い年だなんて信じられないわ。