ジークフリートの剣

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062164535

感想・レビュー・書評

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  • 2019/5/9
    久しぶりに深水さん。
    オペラ知らな過ぎて評論家の文のところで睡魔が。
    それ以外は謎めいた占いや登場人物のやり取りも面白く読んだ。
    オペラ歌手はなかなかのゲスやけど、芸術家は芸術に秀でてたら仕方ないと基本的には思う。
    残念ながら私が芸術を評価できないので、身近にいたら嫌だけど。
    探偵役もいいけど、読んでる間Twitterにいてはる彼の熱狂的なファンの人が頭にちらつくw
    最後の終わり方がいい。バッサリ終わった。

  • ラストの嫌がらせがまるで『ガラスの仮面』の泥まんじゅう事件みたい…世界的音楽祭のスタッフが本番でそんなことするか?恋愛部分が尻切れとんぼに。今は恋に浮かれた主人公だけど、彼女が医師の仕事を捨ててまで彼に尽くす人間とは思えない。同じく芸術家でも、自分で作り出す美術系と、作曲家の残した楽譜を表現する歌手や演奏家はちょっと違うか。むしろ役者に近い?

  • 知識が無いのでオペラパートが読みづらかったものの、とにかく美しいラスト!

  • ミステリーをいう感じはしないまま、オペラ中心に話は進んで行く。
    オペラについての薀蓄がうっとおしかったが(あまりその知識がないので)どんどん引き込まれていった。

  •  まさに「芸術ミステリ」。帯にあるとおり。本格ではない。

     メフィスト賞のやつ、未だにタイトルを正確に覚えられない。「ウルチモ・トルッコ」な。「ウルティモロッコ」って脳内変換されてる。あれはまだ普通のミステリだなーって思ってたので、そっち系をなんとなく期待してたんだけど、思った以上に芸術だった。ていうか、本格ではなかった。
     こういう系統をどう言えば良いのか分からないし、分類に意味があるかって言われたらどうだろう。まあひとに説明はしやすくなるからまるで無意味ってことはないと思う。「芸術ミステリ」っていうカテゴリがあるのかな?
     社会派ではないんだよなぁ。ミステリはミステリなんだけど。ガチ本格ではない。うん、おもしろかったよ。
     一つのテーマにそって話が展開していって、ラストにきっちりとオチがある。筋としてはとても好みですが、本格好きにはもう一歩味が足らないかなぁって感じです。
     ただ、伏線はいろいろと綺麗に回収されているので、物語としての完成度はとてつもなく高い。素晴らしい。
     メインに据えられているものはワーグナーの楽劇、『ニーベルングの指環』。ネタ元も何も知らない状態なので、「へーそうなのかー」って思いながら読んでました。一応楽劇を検索して聞きながら読んでみたけどな。まあ、ドイツ語分からんしな。
     最後、何に対して「恐れ」を抱いたのかなぁ。亡き婚約者の想いなのか、あるいは主人公が逃げ続けてきた茫洋とした寒天みたいな「世界」に対してなのか。
     抜粋。


    娯楽産業と違って芸術は、真実を示すものでなければならない。この世界では愛が必ず勝つとは限らないことを、努力した善人が報われて幸せになるとは限らないことを、示すものでなくてはならない。


     芸術って、なんだろうね。

  • 恋人が死んだ。
    オペラ歌手の主人公は、世界デビュー直前だった。
    不謹慎にも、恋人の死を悲しむ暇もなく、恋人の友人といい仲に。
    生前の彼女と訪ねた占い師のもとで告げられた、言葉の意味が最後にわかるー
    別段面白くはないのだが、「美人薄命」の読者は、あの占い師の元気なころの姿に、何ともいえない切ない気持ちになるだろう。

  • オペラの知識があれば、もっと想像力をふくらませて物語に入れたのになー
    ラスト、そう来たか!

  • その作品は夢のようにしなやかで、鋼のように勁い。
    確信する。ミステリは深水黎一郎を待っていた──有栖川有栖
    “舞台”は謎とともに華麗に展開していく。
    最高の「芸術ミステリ」。

    「あなたは、幸せの絶頂で命を落とす」
    世界的テノールである藤枝和行が念願のジークフリート役を射止めた矢先、婚約者・有希子は老婆の予言どおりに列車事故で命を落とす。ジークフリート同様に“恐れを知らず”生きてきた和行だが、愛する人を喪った悲しみのあまり、遺骨を抱いて歌うことを決意した。そして和行の前に現れた美女――。
    今年度「本格ミステリ大賞」候補作家の渾身作

    私にもっと歌劇に対する興味・関心があったなら、と思わざるを得ない作品。
    最終章まで非常に地味~な感じなのだが、その人の胸中を想うと何とも言えなくなる。

    ミステリ :☆☆☆☆
    ストーリー :☆☆☆☆
    人物 :☆☆☆
    読みやすさ:☆☆☆

  • オペラについての説明が多かった。かみくだいて書かれてはいるが、私には難しく、頭に入ってこなかった。ただ舞台に関わる登場人物たちのかけひきや野心は面白かった。先に読んだ同じ著者による「美人薄命」に出ていた人物の謎がとけたのですっきりした。

  •  ラストでやられた。解剖学的な知識を忘れて読むことを勧める。
     世界的テノールの藤枝和行が世界的に難しいオペラの役であるジークフリートを演じるまでのことを描いた小説。
     詰め込まれた様々な芸術の薀蓄、色男だからといって調子に乗っている和行のプレイボーイぶりが不愉快で作者に文章力が無ければ投げていた。だがラストの衝撃のための準備と思えば、それらを忘れて傑作と言いたい。
     途中で現れる芸術探偵が推理を披露するが物語の大きな流れの一部と化していて、ミステリの看板を掲げるよりはミステリ読みも楽しめる小説とした方がしっくり来る。

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著者プロフィール

1963年、山形県生まれ。2007年に『ウルチモ・トルッコ』で第36回メフィスト賞を受賞してデビュー。2011年に短篇「人間の尊厳と八〇〇メートル」で、第64回日本推理作家協会賞を受賞。2014年、『最後のトリック』(『ウルチモ・トルッコ』を改題)がベストセラーとなる。2015年刊『ミステリー・アリーナ』で同年の「本格ミステリ・ベスト10」第1位、「このミステリーがすごい!」6位、「週刊文春ミステリーベスト10」4位となる。

「2021年 『虚像のアラベスク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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