迷子石

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062165983

作品紹介・あらすじ

見習い医師・孝之助は、趣味で版画絵を描いている。「富山の薬売り」が売る薬に付けるおまけ絵だ。絵で小遣いを稼ぐ、宙ぶらりんのおまけ者のつもりが、偶然、富山藩の存亡に関わるお家騒動に巻き込まれる。江戸家老の大陰謀を国許に知らせねば。そこで孝之助が思いついたのが版画絵を二枚使った巧妙な細工だった-。見習い医師は、藩を救えるか。本格派時代小説作家の、ミステリー時代長編。

感想・レビュー・書評

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  • 富山藩の御家騒動。
    おまけ絵で秘事を江戸から国許に伝える。
    人が死に過ぎた。
    父親を謀殺されてそんなに冷静でいられるか。

  • 引きこもりの医師見習いが、父親にかけられた嫌疑を晴らし、友を救おうとするお話。




  • うーん。
    一番報われないのは友人の順也じゃないかぁ。という読み終わった時にぼやくことなる。
    いろんなことから逃げて隠れて生きている孝之助。そんな孝之助が父の死と父の汚名、父の信念に触れて成長する、みたいな話。
    主役がどうにも煮えきれないのでイライラ(笑)
    なんだったら町医者になってくれた方がすっきりしたよ。

  • 孝之助もモラトリアム。最近の若い男の侍の話はこんな感じが多いのか?ぐずぐずと決められないけれど人がいいから周りが助けてくれる。そして何とか自分の力を発揮して、事件が解決。読後感はいい。
     富山藩と孝之助、村岡が迷子か。

  • そこそこ…悪くはないけど…かな。
    帯の煽り文句に期待しすぎました。
    というか煽り過ぎです。
    映画館で予告みて、わくわくし過ぎて本編外した気分…。

  • 梶よう子さん。
    薬草園が舞台の時代もの、好きだったので、手にとる。
    今回は見習い藩医が主役。
    どちらも時代ものでも、ただの侍の斬ったハッタ(はったってなんだろう)でなく職業ものっぽいが、そーゆー設定が好きなんだろうか?
    読む方としては、そーゆー職業の人もいるんだなーっと。
    ちょっと専門っぽいとこも読めて、なんだかプラスαで楽しめる気分。

    さて、主役の孝之助はやさしすぎるほどやさしい心持の気弱な青年。
    持っているものは確かなのだからもっと自信を持てばいいのに、
    過去に受けた心の傷もあり、どうも周りの目を気にし過ぎておどおどと
    しがち。
    あーゆー、他人からすればちょっとした一言ってのが意外とぐさりと刺さっていつまでたっても抜けない、とゆーのは結構あることだと思う。
    少々引きこもり気味の日々を送っていたものの、なにやら不穏な気配。
    気がつかぬまに権力闘争に巻き込まれ父が殺される。
    それがかつての友の手によるものだった。

    迷子石、最後にそのタイトルの意味が知れるが、
    案外、簡単に人は迷子になってしまうのかも。
    思わぬ道に入り込んでしまって、順也のようににっちもさっちもいかなくなってしまうこともあるかもしれない。
    皆が皆標を見つけられるとはかぎらない。
    大切だった友の笑顔。
    くだらない人の欲で、失われたもの。
    怒り、はあるのだろう。
    でも孝之助にはそれよりも哀しみの方が大きいのかも。
    そして何もできなかった自分の無力。
    権力を持つものと持たない者、その差は歴然とあって、持たないものは
    ただ頭を下げていることしかできないこともある。
    それでも、真実を。救えるものなら救いたい、と
    すくみそうな気持ちに鞭打ちつつがんばる孝之助はすごいなあっと思う。

    絹代さんが考之助に、お父上は認めてくださっていたのですよ、と言う
    シーンが好き。
    そこで、ちゃんと自分に向き合おうとする孝之助も。
    他人の痛みがわかる、いいお医者さんになるだろうなあ。

    表紙の青年は多分孝之助なんだろうが、ちょっとイメージ違うなあ。
    なんか、強面じゃん。
    前読んだ薬草園ものみたいな感じの方があってると思う。

  • 副業で富山の薬売りがおまけに付ける版画絵を描いている
    技量はあっても自分に自信のない見習い医師が
    お家騒動に巻き込まれる。
    この主人公、うろうろと思い迷ってばかりですが面白く読みました。

  • 「医師」というよりは、「絵師」のほうが自分には似合っているのではないか、偉大な父の背中に隠れるように過ごしていた若き見習い「医師」が、藩の内紛に巻き込まれながら、己の道を模索する。
    「迷子石」とは、彼の心境を表しているのかもしれませんね。

  • 江戸詰の富山藩士・孝之助。優秀な藩医を父に持つ彼は、蘭学・漢方を身につけながら、優しさと同時に気の弱さを漂わせ、医師として軽んじられる毎日。植物を写し取る絵の才から、富山の薬売りのおまけの版画の下絵を描いてもいることから、「おまけ医者」などとまで言われてしまう。そんな彼が、藩のお家騒動に巻き込まれ・・という話なのだが、孝之助の持つ人の良さ+穏やかな冷静さが好ましく、さくさくと読まされてしまった。また、彼の周りの、幼馴染たち、父、薬売りの惣吉、など魅力ある人物描写もよかったし。ネタばれです。ただ・・・黒幕たちが、大事なところで、一度ならず自らの悪事をぽろっと漏らしてしまう、という展開の仕方はちょっと安易すぎるような。せっかく面白かったのだから、そこの詰めをもっとリーズナブルなものにしてくれるとよかったのにな。

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著者プロフィール

東京生まれ。フリーランスライターの傍ら小説執筆を開始、2005年「い草の花」で九州さが大衆文学賞を受賞。08年には『一朝の夢』で松本清張賞を受賞し、単行本デビューする。以後、時代小説の旗手として多くの読者の支持を得る。15年刊行の『ヨイ豊』で直木賞候補となり注目を集める。近著に『葵の月』『五弁の秋花』『北斎まんだら』など。

「2023年 『三年長屋』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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