醜聞の作法 (100周年書き下ろし)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062166829

感想・レビュー・書評

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  • まあ、面白かったんですけど、この時代に設定した必然性がよくわからない。

  • ●・・・・・・・さとうせんせいはなにか改心でもされたんでしょうか。
    噂で人々をコントロールする物語と書くとすごーく底意地悪そうなのに、なんだかたわいもないお話だぞ? いやいや佐藤亜紀がこんな素直な小説を書くわけがない、ちゃんと読めばきっとどこかにえげつない毒が!
    でもなんと言うことでしょう、これなら古典を好む上品な50代にも勧められるわってあら??

    ●大衆の好みを読んで煽ってお望みどおりの世論をつくった上できっちりきれいに火消しする弁護士先生を、とかく炎上させるだけさせといて放置する昨今の方々は御見習い下さい。
    なんか見落としてる気のするあまりうっかり再読しそうだがしない。

  • かなり年上の好色な金持ちの男と意に染まない結婚をさせられそうになったうら若い女性。その結婚から逃れるためにパリ中に噂を流す…という粗筋を見て、面白そうだと手に取りました。
    書簡形式でさくさく読めるし、実際面白かったです。
    ただ、なんか物足りないというか。両手のひらに乗る大きさのガラス細工の完璧な球体みたいな、綺麗でキラキラしてて繊細で完璧なんだけど、あくまで両手の中におさまるサイズでひねりがない。
    次はこうなるんだろうな、と思うとおりに進んでいって、とても綺麗にまとまった話だなぁと。
    意外な黒幕を作るとか、動機に一捻り加えるとか、そういうカタルシスを期待して、期待が消化されないまま終わったのが残念でした。

  • 2011/4/24購入
    2011/5/30読了

  • 日常逃避という点では軽く読みやすく楽しく読み終えました。

  • 「毒」があるから、面白い。

  • 日常を想起させるものを受け付けにくい気分の時もある。今がそういう気分の時であることは敢えて断るまでもないだろうけれど。では現実から逃れるつもりなのかと問われてみると、それを明確に否定するだけのはっきりとした感情もない。しかしどこかから聞こえてくる。Life is going on. 自分はいつもと変わらないように仕事をし、そしてやはり本を読む。これまでと同じ日常を繰り返すことで変わってしまったことをなかったことにできるとでも思っているのだろうかと、自分でも少し訝しく思いつつ。

    佐藤亜紀は、自分の知る限り、現実逃避をしているという責苦を負わずに現実の世界と遠く隔たった世界を歩き回らせてくれる数少ない作家であると思う。非現実的な世界を(時にそれは現実の世界に瓜二つであったりもするけれど)面白く読ませてくれる作家は他にもたくさんいると思うけれど、今この時点の現実の世界からは遥かに遠く隔たった世界であることは明らかなのに作り物のような胡散臭さが漂ってこないという点で、佐藤亜紀のエンターテイメント性は割と素直に受け入れることができる。現実の世界ではないけれども、現実的でない世界という訳ではない。

    それは随分と緻密な計算と息の流れを滞らせることのない文章によるところが大きいのだと思う。「醜聞の作法」は佐藤亜紀のそんな文章術のようなものを、巧みに作中人物の言で語らせようとする小説だと思える。一般大衆という、誰もが自分のことではないと思いつつも実はしっかりとそのカテゴリに分類されてしまうだろう人々。彼らに対して文章を為すということの意味を、皮肉とさえ思える形で描いてみせた巧みな本でもある。

    人の心とはなんて操られ易いものなのか。そして操っていると思っていた者もまた、そのプロットに振り回されてしまう定めなのだということが、読む者に突きつけられる。ああ、現実を思い起こさせるものを受け付けないなどと言ってみても、やはりどこかで今の現実と本の中の言葉は勝手に結びついてしまう。恐らく言葉というものは「絶対的な意味」のような固定した何かを示すことが叶わないものなのだ。そういう思いが強くなる。

    言葉に乗せられないように。話に釣られないように。佐藤亜紀のこしらえる精巧な作り物に対して拒絶反応が起こらないのは、ひょっとするとそんなメッセージが意識下に伝わってくるからなのかも知れない。Life is going on, whatever things happen to you. Listen to only what your heart will tell.

  • まあ、情報操作のお話ですね。

  • 弁護士事務所のサラリーマンがペン一本で、噂を武器に大貴族と渡り合う。
    それはそれだけでなかなか胸がすくけれど、清純な美少女が好色狒狒爺に捉まらないかとハラハラもするけれど、最後はもっと勧善懲悪であって欲しかったな・・・・。

  • やられた。やっぱり敵わないな。続き物にならないのかな

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著者プロフィール

1962年、新潟に生まれる。1991年『バルタザールの遍歴』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞。2002年『天使』で芸術選奨新人賞を、2007年刊行『ミノタウロス』は吉川英治文学新人賞を受賞した。著書に『鏡の影』『モンティニーの狼男爵』『雲雀』『激しく、速やかな死』『醜聞の作法』『金の仔牛』『吸血鬼』などがある。

「2022年 『吸血鬼』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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