木工少女

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 154
感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062168533

作品紹介・あらすじ

1年間限定で山奥の学校に引っ越してきた少女と木の触れ合いを叙情豊かに綴る、坪田譲治文学賞作家の最新作。

感想・レビュー・書評

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  • 親の都合や思惑の中で生きざるをえない子どもの立場は窮屈だ。だけれどその中でもがきながらもやがて自分の場所を見つけていく若さゆえの柔軟性がまぶしく描かれている。主人公はぶっきらぼうでかわいらしさゼロだけれど、読むにつれてその素直でないところに好感が持てるようになった。

  • きのう読み始めて、きのう読了。少し久しぶりな濱野さん。
    軽快に切れがよく、でもそれだけでなく。美楽の率直さと小心さに、わかるわかる、と思う。年上との付き合いは、相手が年上であるぶん楽なところがあるけれど、同い年との付き合いは、その甘えがきかないぶん厄介。でも、年上がときに「オトナの事情」を持ち出す一方、同い年は多くが「ふりまわされる側」としてあって、ただの友情だけでない妙な深さのつながりが、とぐろを巻いている。閉鎖的な山のなかで、より鮮明にみえるそれは、でもきっと、東京だろうと都会だろうと、どこにでもどこかしらにあるものなのだろうな。うっすらと、巧妙に潜伏しているのだとしても。
    気持ちのよくなる素直さを、良しととるかどうか。

  • 小学六年生の女の子から見た、田舎の話なので、どうも文体が取っつきにくかった。
    なぜ美楽が木工に惹かれたのかが、分かりづらいのが難点。
    でも、没頭できることができたことが切っ掛けで、世界が、周りが変わってくるというのは、分かる。
    本当は自分が変わったということなのだけど、気づくまでには時間がかかるというのも、納得。

    林業のこととか、田舎のこととか、含まれている題材は結構深い背景があるので、長さの割に、読み応えはあった。

  • 特定ジャンルにスポットを当てた映画原作の、典型的な作品だと思った。(実際読んだことはないけど)

    プロットが
    ①主人公が別の環境から登場する。新しい環境になじめない
    ②何かのジャンルに出会う
    ③それをきっかけに人間関係が変わっていく(場合によって恋愛もある)
    ④ある時何らかの大きなイベント(しかもタイムリミット付)があり
    主人公または一緒に仲間たちが一生懸命取り組む
    ⑤イベント達成の障害が立ちはだかる(この作品には無いが)が、何とか乗り越えて
    大団円。
    と解釈しやすかった。作品としても読みやすい。主人公が言葉遣いや考え方(幼さが見えない)が小学生らしからぬが(笑)

  • 前半はいまいちピンと来なかったが、後半になるにつれ盛り上がってくる。続編も書けるんじゃないかな。
    いろいろ木を加工しているシーンが好き。

  • 一年の期間限定で田舎で暮らすことになった美楽が木工と出会い、人々との交流を深めていく話。可もなく不可もなくさらっと読める作品。東京という帰る場所がある美楽と村の大企業の娘との温度差、抱えるものの違いに少し胸が痛くなる。2013/047

  • 小学6年生のちょっとひねた女の子が1年間の田舎暮らしをする。少女の成長と友達との関わり、周りの大人との関わりを爽やかに読ませる。子供に読ませたい。

  • こういうタイトルに惹かれる。「鉄のしぶきがはねる」とか、あと気になっているのが「園芸少年」。なんでかなあ。
    読み始めたとき、小説とはいえ主人公の言葉遣いが気に入らなかったが、だんだん作者のメッセージが伝わってきて、読後感は爽やかだった。ラストがもうちょっと、先まで(卒業式のようすとか、見楽が東京に発つときまで)描いて欲しかった。

  • 木を磨くことに魅了される気持ちはすごくよくわかるな。
    それから木のにおい。木屑。
    でもちょっとスナック菓子食べ過ぎです。

  • 表紙からイメージされる印象を裏切らない、あたたかくやわらかな物語だった。父親の仕事の都合で、1年という期限つきで、東京から周りにコンビニひとつなく、あるのは山と森と空だという、ど田舎に引っ越してきた美楽。1年限定ということで、学校でも特にクラスに馴染もうともせず、友達も作ろうとしない美楽だったが、家具職人のゲンさんと、木工との出会いによって、変化が訪れる。親でもなく、先生でもない、1対1で自分に向き合い、影響を与えてくれる大人との出会いが素晴らしいと思った。

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著者プロフィール

熊本県に生まれ、東京に育つ。『フュージョン』でJBBY賞、『トーキョー・クロスロード』で坪田譲治文学賞を受賞。主な作品に『トーキョー・クロスロード』(第25回坪田穣治文学賞受賞)、『この川のむこうに君がいる』『with you』(ともに青少年読書感想文全国コンクール課題図書選出)、『石を抱くエイリアン』『南河国物語』『Mガールズ』ほか、「レガッタ! 」シリーズ、「ことづて屋」シリーズなどがある。

「2023年 『金曜日のあたしたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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