戯史三國志 我が糸は誰を操る

著者 :
  • 講談社
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062169356

作品紹介・あらすじ

だれも知らない三國志、始動。

感想・レビュー・書評

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  • 三国志ファンとしては、新たな切り口の作品となれば、読みたくなる。

    今回は、かつて曹操の軍師、その後呂布の軍師となった陳宮が主役だが、残念なことに彼が曹操を裏切る動機に、説得力がない。
    また、彼の生き方の芯となるものにも共感できない。

    また、呂布の人物像は新しいものだが、さほど魅力的ではない。

    三国志の面白さの一つの核は、登場人物の生き方の熱さ
    だろうと思うが、本作にはそれは少なかった。

    残念
    (でも、次作の程普の巻も読むよ)

  • 三国志には珍しい一人の人物に焦点を当てたヒューマンドラマ。
    三国志ものの大半は視点や舞台があっちこっちに飛ぶ上に各国の人物がうじゃうじゃ出てくるので、視点を主人公一人に絞ったこの本は三国志初心者や初めての人にも読みやすいと思う。
    地図や登場人物紹介もついているし(ただし初心者にとっては結局ただの暗号かもしれない)。

    で、その視点を誰に絞ったかというと、主人公はなんと陳宮。
    三国志の中ではどちらかというと「敗者」の立場にいる陳宮の生き方は生真面目で不器用。
    親友・曹操の元から離れ、愛する陳琳を失って、どんなに追い詰められても、なんとか策を見出して解決しようとする。

    しかし呂布はアホーで余計なことばかりするわ、陳宮の企みもなかなか上手くいかないわで、あまりの崖っぷちっぷりに歯痒くなることも。
    そのなかで曹操のキャラクターはずば抜けて魅力的でした。
    曹操がかっこいいほど「なんで曹操を裏切っちゃったんだよー」という想いも強くなって悲しくなる。

    ところで曹操や呂布、劉備などのキャラクター達に「これで筆者が『蒼天航路』読んでなかったら嘘だろう」ってくらい蒼天らしさを感じた。作者が好きなのかな。

  • 陳宮!!!!!
    格好良すぎるぜっ。
    曹操様をして友と言わしめ、その名だたる幕僚たちをして敵わないと言わしめたその智謀。
    不器用な反面、一度志のため策のため己を殺すと決めれば、冷徹に成し遂げてしまう。
    鮮やかで苛烈。
    呂布の描かれ方に納得がいかないけれども、陳宮の生き様は好好!

  • もともと三国志にはあまり詳しくはなかったのだけど、読み始めたら一気読み。今まで単純に「曹操は嫌なやつ、劉備はカッコイイ」と思っていたうつけものさを猛反省… 曹操!ごめんなさい!あなたがこんなにステキなヤツだったなんて。そして劉備!もっとがんばれや! 若き日の曹操の熱い思いと強い心にやられました。今までなぜこんや嫌なやつにみんな従ってるんだと不思議でしたけど、これを読んで納得納得。 吉川永春さん!ありがとう!新たなる三国志ワールドここに誕生。

  • 沢山の作家さんが描く「三国志」書く人によっていろいろ見方・考え方があって面白いですね。
    それほど「三国志」という物語は話・人物ともに魅力的だということなんでしょうね。
    この本の主人公は陳宮。
    曹操から呂布に乗り換えた軍師。
    物語の序盤でいなくなってしまうし、乗り換えた。という事実があまり良いイメージがなかった人物。
    しかし、しかし!この陳宮は格好良い。曹操、もっと格好良い(笑)ただし悪食だけど(爆)
    陳宮と曹操、この2人のシーン全部良い。
    だから最後の会話が余計に切ない。
    呂布の元に行ってからの陳宮は「こんな筈では…。」の連続。自分の信念が自分をがんじがらめにして動けなくなった様な感じ。あのまま曹操の元にいれば…。と「たら・れば」を思ってしまう。
    戦いの場面はあっさりめ。しかし策略がふんだんに飛び交うので面白い。頭脳戦って読んでて疲れるけれど止められない。
    この本の呂布は北方版の呂布が好きな人は多分「えー!」って思うかもしれない。なんなんだ、こいつは?という状態…。
    私は肥満な童卓、任侠な人・劉備に違和感を感じ、「夏侯惇」の呼び名をどうしても「かこうじゅん」と読んでしまう。
    つくづく私の中では吉川英治&横山光輝が根底にあるんだなと認識してしまった本だった。

  • 「三国志」に詳しくない私だが
    いいこともあるんだなと思った。
    何せ、先がどうなるのか全然知らないのである。

    だから、夢中になって読んだ。

    現代のサラリーマンにも通ずる処世術みたいな、
    テンポがよくて読みやすい。

    陳さん、張鈴のことには命がけだったのに
    妻子やお母さんのことはあっさりしちゃっているんだな~
    と、ちょっと女性目線で思いました。(笑)

  • これは珍しい陳宮が主役の三国志。曹操との出会いから陳宮の終焉まで。
    あまり良いように書かれることの少ない陳宮だけれど、裏切りというより志のために「転職」と思えばありそうだ。
    ここに書かれている曹操は爽やか系で好感が持てる。
    劉備の渡世人口調が面白いので、劉備側の誰か視点の話もあればいいのに。
    陳宮の最後の曹操とのやり取りはちょっと感動的で心に残る。
    わかりやすく読みやすかった。

  • 久しぶりに夢中で読めた。


    なんと言っても主人公が陳宮広台。

    そこくるかー!!って感じ。

    呂布や曹操に隠れてあまり目立たないけれど物語の主人公として取り上げてみると

    中々に読み応え有る一冊になっていた。


    陳宮と言うとなんとなく、主君に恵まれないというイメージ。

    しかし、あの曹操を自ら裏切り苦しめ最後には泣かせるほど惜しませた人物は早々いないのではないか。
    そう思うと呂布に隠れてしまう陳宮広台。なんとも惜しい人物である。

    まぁ、呂布自体が頗るイレギュラーな人物だから仕方ないっちゃ~仕方ない。
    初めは曹操についていた訳だからその偉大さ恐ろしさを知っていながらも裏切り呂布につく。

    まともな考えじゃふうつ出来ないだろう。なにせ呂布だし・・・。


    きっとかなり志の高い人だったのだろうなぁ。

    命乞いをすればきっと助かっただろうに。それをしないのだから・・・。

    今までにない陳宮像を読ませていただきました。

    そして曹操がカッコイイのはポイント高いです。

  • 陳宮を主人公にした後漢末期小説。呂布の性格付けに驚いてしまった。

  • まだ、69ページ。面白いと思う。読売新聞の書評で「我が槍は覇道の翼」をみつけて、読みたくなって、先に刊行されたこちらを読んでいる。陳宮のお話。

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著者プロフィール

吉川永青
一九六八年東京都生まれ。横浜国立大学経営学部卒業。二〇一〇年「我が糸は誰を操る」で小説現代長編新人賞奨励賞を受賞。同作は、『戯史三國志 我が糸は誰を操る』と改題し、翌年に刊行。一二年、『戯史三國志 我が槍は覇道の翼』で吉川英治文学新人賞候補。一五年、『誉れの赤』で吉川英治文学新人賞候補。一六年、『闘鬼 斎藤一』で野村胡堂文学賞受賞。近著に『新風記 日本創生録』『乱世を看取った男 山名豊国』などがある。

「2023年 『憂き夜に花を 花火師・六代目鍵屋弥兵衛』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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