海賊とよばれた男 下

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062175654

感想・レビュー・書評

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  • 下巻は昭和23年以降で、国岡商店が石油製品の小売から元売に進出し、既得権益を侵されることを恐れる内外の同業者から数々の仕打ちを受けながら、妥協して楽な道に進むことなく、自由競争のあるべき道などの原理原則を曲げずに危機を乗り越えていく。社内の反対論や慎重論も押し切る店主の国岡鐵造の英断は、数々の成功をもたらす。そのハイライトが日章丸によるイランからの石油製品の輸入で、当時は大事件だったに違いない。
    上巻から下巻まで、かなりのページ数だが、スペクタクルな転換で飽きることなく、一気に読んだ。

  •  1945年8月15日、敗戦を告げられ誰もが日本の将来を憂えていたとき、「日本人がいるかぎり、日本が亡ぶはずはない。」そう信じて疑わない男がいた。彼の名は国岡鐵造(てつぞう)、石油会社「国岡商店」の社長その人だ。
     約千人の社員の殆どは海外、しかも二百名弱は軍隊に召集され生死もわからない状態の中、鐵造は残った社員たちを前に再起を誓う。他の民間会社や工場の殆どは閉鎖され、国岡商店の主力となる石油も全く手に入らず、幹部たちは人員整理を勧めるが、鐵造の出した答えは誰一人辞めさせないというものだった。

     作者の百田さんが、はじめて主人公(実際は出光佐三)を知った時驚いたように、この本を読んで何という人物が日本にいたんだろうと何度も何度も驚かされました。幾度も窮地に立たされ、突出した人物だけにやっかみから何度も足を救われ、矢面に立たされ……しかし、個人の利益より国の将来を優先、困った人を見過ごさないという姿勢を貫き、おごらず、常に従業員のことを親身に思いやる。なかなかできることではありません。
     戦後、多くの人が途方に暮れる中、日本の将来を信じて尽力されてきた人たちがいて、今の日本があるんだなと思わず胸が熱くなりました。

  •  2013年度、第10回本屋大賞を受賞。そして2016年冬に全国で映画上映予定・・・絶妙なタイミングで読破する。この物語は民族系石油会社、国岡商店の店主、国岡鐵造の一代記である。戦後、焼け野原から再出発をする国岡商店が社員数千人の大企業と成長するサクセスストーリーは読んでいてスカットする。

     戦後、日本企業は生き残りをかけ外国資本を受け入れることで、石油によって外国に支配されかねない状況が現実のものとなる。「石油のために戦争を始め、石油がなくて戦いに敗れ、今度は石油によって支配られる」この状況に断固戦いを挑む男が現れる。そしてその勝負に男は勝のである。

     昭和32年、中国旧満州国の中で油田掘削が開始されるニュースが入る。戦前の出来事であれば歴史が違うものになっていたかもしえれない。

  • 石油という側面から近代史を事細かく学ぶことができる良い本です。二転三転する社会情勢とそれに対して主人公たちが知恵を集め、大胆な奇策で切り抜けていく様子は迫力があって楽しめました。ただ、戦後の復興の部分は単純に歴史の教科書を読んでいるかのような単調に感じてしまうな部分があったので、そこは少し退屈してしまいました。
    主人公、国岡鐡造の生き様は上巻に続いて変わらず魅力的で、私も見習っていきたいと思いました。本の中では鐡造が主役でメジャーの石油会社は敵扱いだったけど、次はメジャーからみた本も読んでみて自分なりの歴史観を持ちたいと思う。

    May. 13, 2015

  • 国岡鐡造さん、今の時代に生きていて欲しかったと心からそう思う。こんなに強い日本人が居たことを同じ日本人として誇りに思えるくらいだ。国岡鐡造さんが生涯を終えた二年後に自分が生まれた。自分は生きて何がしたいのだろう。

  • 下巻はドキドキワクワクの連続そして涙あり(^^)自分も国岡商店の一店員なら、店主と共にどこまでも‼p(^^)qという熱い気持ちになる(*^^*)特に日彰丸がイラクへ行って、帰ってくるところは手に汗握る(・・;)改めてこの時代の創業者って凄いなぁ‼と感じた(;゜∇゜)

  • 時に命をかけるような信念の強さの源泉は何なのだろう。

    小さい頃に味わった貧しさなのか、目の前で繰り広げられるまさに目を逸らしたくなるような出来事なのか?
    もしその答えが分かれば現代はもっと変われるはずだと思う。

    若者たち含めて昭和回帰するのは単なる懐かしさや真新しさとは少し違っていて、人間としての人間回帰なのではないだろうか。

  • 企業に飛び交う数々の名言を、素直に解釈し編集すれば、この主役のような生き方になるだろうか。人間尊重と、功利主義は矛盾する哲学ではないのか。勿論、出光興産にも利益主義という考えはあった。ただ、店主たる出光佐三は、経営判断の一つ一つに筋を通し、優先順位を付け、感情量溢れ迫力のある命を下してきたのだろう。その優先順位は人間愛と呼び変えられ、社員は、人間愛に付いてきた。即ち其れを人間力とし、カリスマと呼ぶのかも知れない。

    石油を巡っての国家間の思惑、企業間の陰謀は根深い。人民を支配し、国家を支配するのは何か。軍事や物資獲得における判断は、良心よりも利益が優先される。そこには人種差別も生まれるし、強きが弱きを挫く事もある。戦争の根本もここにあるだろうが、共産主義はファシズムと混同され、失敗した。ここに新たなイデオロギーを生みだすべきなのだろう。その前提となる、無限資源の解放を待つ限りである。

  • 私が入社したばかりのとき、部下が動いて上司が責任をとるのが社会だと思っていた。しかし今、平気で部下を売る上司を良く見かける。とても悲しい。人の上に立つ人にはこの本を読んでもらいたい。クニオカを見習ってもらいたい。日本人の心を持ってもらいたい。人情味溢れる男、格好よすぎる。こんな仕事人について行きたい、私もなりたい。

  • いくつかのエピソードからでも出光さんご本人は実際に豪胆な興味深い人物だったんじゃないかなというのは伝わるんで、作者さんの題材選びのセンスは素晴しいんだと思うんです。

    でもあまりにも各登場人物の描写が浅いというかワンパターンな上ものすごい自己都合解釈も散見され、ノンフィクションではない、小説として読んですら嘘くさく感じてしまいました。

    以下はほんの一例
    ・出てくる数少ない女性像がものすごく類型的。こんな“都合のいい女”ばっかり描かれても…
    ・普通にブラック企業なのに“喜んでご奉仕する従業員像”乱発で殆ど新興宗教。戦後の日本の高度成長がそのような精神論に支えられた一面は否めないとはいえ、描写が極端すぎる。
    ・「驚いた」「感動した」「苦悩した」といった言葉を裏付けるしっかりとした心理描写が殆どないので、全然リアリティーがない。 

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著者プロフィール



「2022年 『橋下徹の研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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