- Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062178808
感想・レビュー・書評
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生き別れのふたごの少女。ふたりに秘められた力。ダムに沈んだ村と、そこにあった秘められた儀式。などなどワクワクする要素がぎゅっと詰まっています。
ひと昔前の少女まんがを思わせる展開に心を奪われました。なにせ、身寄りのない少女が、謎の富豪の養子候補として別荘に呼ばれるという、いかにも! な幕開けですし。そういう仰々しさは扱いいかんによっては寒々としたものになりますが、この作品ではまず酒井駒子による表紙絵が、その仰々しさを受け止める入り口として作品を盛り立てる役割を担っています。あとは僕がこの手の物語が好きだから、余計に楽しめたというのは大きいでしょうが。
ファンタジーを土台にホラーで味付けし、SF要素に繋がるエンターテインメントの幕の内弁当的な作品です。本を読むことが面白くなってきた頃合いにオススメしたいですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
養護施設で育った美月(みづき)と、たった一人の家族だったおじいちゃんを亡くしたばかりの月明(あかり)を、養子にと申し出てきた老婦人がいた。
老婦人の出した不思議な条件に、二人の出生が合致していたのだ。
老婦人の湖畔の家で初めて対面した二人は、お互いの持つ不思議な力に戸惑いながら、謎の多い老婦人が二人を選んだ理由を探り出す。 -
面白かった。
なかなかどうして悪くない。
23:30に読み始めてスルスルと読み進み2:50に読み終わった。
大口真神をアマゾンで検索して出てきたので購入した。
この著者さんは本書が初めて。
自身の出生を知らぬ主人公、ダムの底に水没した村、狼信仰。
このキーワードで読む前から期待値は上がっていました。
カバーイラストからシリアス、ダーク、ヘビィな印象を持っていたが読み始めると、あらら?案外ライトなのかしら、と思うほど軽快に話は進んでいく。ちょっぴり設定の糊付けがくどいなと感じる部分があるが、逆に言えば伏線や物語の設定を丁寧に説明してくれていたので(あれ?あの人はなんて発言していたっけ?)などとページを遡ることはなかった。
二人の主人公が物語をグイグイと引っ張っていくので、緊張感のあるシーンがあっても電車の窓から見た景色みたいに過ぎ去って行きます。テンポが良いのでページをめくる手が止まらず読み終わってしまった。
読んでて一番興奮したシーンは物語終盤にあります。ネタバレだから伏せますけど臨場感と雰囲気が良いです。説明したいけれどごめんなさい。書きたい感想がネタバレになってしまうからこれ以上書けない!
あかりの服の文字には思わず吹き出しました。お気に入り。
ビンとラベルから重厚な味を想像していたが、いざ飲んでみたらスッキリ飲みやすい、このお酒なかなかどうして悪くないじゃない、そんな読後感を体験しました。 -
児童ファンタジーとして良くできていると思う。酒井駒子さんの挿し絵も雰囲気に合っていて良い。楽しく読めた。
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すごい話だった。全体的に悲しみに覆われているけれど、読み進めずにはいられなかった。
養護施設で誰にも心を開かずに育った美月(みづき)と、お寺のおじいちゃんに拾われて愛されて育った月明(あかり)。二人で出生の謎を探っていく過程はドキドキした。その秘密は暗くて悲しくて、ちょっと怖そうだったから。
でも、冷静で聡明なみづきと、明るくて行動的なあかりの対比は楽しい要素だった。
最後はやっぱり悲しくて、涙が出てしまった。
みづきとあかりには、湖月荘での記憶は残っているのかな? 残っていて欲しい。せっかく絆が生まれたんだから。 -
名古屋が誇る児童書専門店、メルヘンハウスさんにて完全なるジャケ買い。酒井駒子さんの描く哀しげな双子らしき少女の表紙がきれいで、手に取らずにはいられなかった。
双子の少女の物語って神秘的で好きです。離れ離れにお互いを知らず、全く異なる環境で育った 美月と月明、どちらも月にまつわる名前が付けられている。そして、二人とも不思議な力を持っている。
里子に招かれた二人が不思議な別荘と、ダムの底に沈んだ村、神社、の女主の秘密を少しずつ知り、自分たちの出生の秘密に気づきいてしまう…
こういう、日本の文化が背景になったファンタジーっていいですね。中学生くらいのお嬢さんにもおすすめしたいです。 -
とても雰囲気がしっかりしている物語だった。
世界にほころびがないというか・・・
表紙の絵にふと気持ちがひかれて、そのまま物語の世界に入っていけた。
無数にのびた可能性の枝から、最終的に選ばれた未来も、これで良かったと思えるもので、うん。良かった。 -
富安陽子が得意な「ふしぎなもの・こと」をめぐる、女の子ふたりの「出会い」の物語。作者のなまえを見ずに読みはじめたら、富安陽子の作品だとは最後まで気がつかなかったかもしれない。これまで読んできた彼女の作品とは雰囲気が異なり、「おもい」ファンタジー。酒井駒子の装画も「おもさ」を伝えている。対象年齢も主人公の女の子ふたりと同じ中学生以上からだろうか。