- Amazon.co.jp ・本 (154ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062181181
感想・レビュー・書評
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生きる力は自分自身の中から汲み出すしかない。生きるということは、経験、知識、感性を統合してわたしという意識を作り続ける作業なのだろう。なかにし礼さんは、癌とわかった時、失われてしまいそうな自己を取り戻すために真っ直ぐに自分自身と向き会うことができた。それまでの生き方がそのまま病気を治癒へ向かわせる力となった。医師のお仕着せ、おざなりの治療法を拒否し、自分自身を救った。誰もがこんなに強く生き抜くことはできないだろう。
医療は、マニュアル化、ガイドライン適応に凝り固まりつつある。正解とされる治療をレシピ通りにすることが医療の常識になっている。なぜか? 一人の医師の乏しい経験、知識だけを持って、患者の治療を行うことが危険だという考えからだ。膨大な情報を整理してマニュアルが作られるので、医師はそれを信じるしかないという状況におかれている。しかし、マニュアルの最大の欠点は、思考停止状態を作り出してしまうことだ。目の前の患者さんとは向き合わず、マニュアルに当てはめたモデルとして処理することしかできなくなっている。
医師の態度からこの危険性を即座に嗅ぎつけたなかにしさんの嗅覚は、満州からの引き揚げの過酷な経験なくしては持ち得なかったと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
満州からの引き上げ、そして自身のボーダーレスな創作活動は常に心臓病との闘いの中にあった。死は身近な友人、そして罹患したがんも身のうちの友なのだ。
それまで読んできた文学(カフカなど)、哲学などが自分を救う。なぜ生きるのか、生きる力がある限り、治療のパターンに組するのではなく、探して、生き抜くのだ。再生の歓喜にめぐりあえたことの強さを知る闘病記。 -
陽子線治療が普遍的にみんなに効くのか興味がある。
でも保険が効かないのがイタい。だから300万円はかかる。
これこそ命も金で買えるってことか。 -
自分を信じる信念。
でもお金が大事。 -
-25/03/10
奇跡の生還への喜びは体験したものにしか分からないのだ。行間にその喜びが埋められている。がんに関するドキュメンタリー話としては、よくできている。 -
学ぶべきは、人の意見に左右されない自分作り。明日は無いと思い、今日を生きる。
でも、作者は好きになれない。