天山の巫女ソニン 江南外伝 海竜の子

著者 :
  • 講談社
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感想 : 35
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  • / ISBN・EAN: 9784062181655

感想・レビュー・書評

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  • 2016.12.30
    もうすぐ読み終わっちゃう。寂しい。

    クワンは好きなタイプだなぁ。
    セオとこんな絆があったとは。
    優秀で賢いセオが参謀についてすごくよかった。

    王家のきたないやり口に腹が立つ。
    裕福なクワンと叔父貴、母が非業の死を遂げて、どん底の生活に堕ちたクワン。
    本人は火であつい男だが、おのれの無力にどれほど落胆しただろう。

    欲がないのがいい。

  • クワンも、イェラもなぜソニンに惹かれるかなんとなく分かる本でした。
    2人ともとても純粋でまっすぐ。
    クワンが大人たちに翻弄され利用されていく様子は、見ていてもどかしかったです。

  • 20160429

  • 江南の美しく豊かな湾を統治する「海竜商会」。その有力者サヴァンを伯父にもち、何不自由なく幸せな日々を送っていた少年・クワン。ところがクワンの落とした首飾りがきっかけとなって、陰謀に巻きこまれていく。多くの人の心を引きつける江南の第二王子クワンの絶望と波乱に満ちた再生の物語。

  • 巨山の王女イェラと比べるとクワン王子は直情型で思慮が浅いように思う。まあ、それを補うのが人を惹きつける天性の魅力と片腕になるセオでしょうが。それにしても王妃一派は何とかならんものか。本編でも王妃のその後は語られないままだし、どうか「ざまぁみろ」なその後を書いて欲しい。

  • 本編でも一種独特の魅力を放っていた隣国江南の第二王子クワン。  「第二王子」というポジションの割には決して幸せそうではなかった王子の幼少期から本編に至るまでの日々を描いた外伝でした。  クワンの右腕ともいうべきセオとの出会い、そして彼がクワンに献身的に仕えるに至るまでのお話はなかなかに読ませるものがあったと思います。  同じ故郷で暮らしながらも、その故郷に対する想いの乖離による2人の衝突の場面が描かれているのが、物語に一層の深みを与えていると感じました。

    同時に、本編ではソニンを引き抜くためにセオが語った、クワンの妹、リアンに起こった災難はどうやら作り話ではなく本当のことだったことがこの外伝で判明。  本編では「作り話も大概にしろ!」のクワンの一言でうやむやになってしまった感があったけれど(でも、その話が本当であればこそのクワンのソニンに対する毒薬製造命令という点で妙に説得力はあった)、やっぱりというか、案の定というか、本当のお話だったのですね。

    それにしても、江南の王様はしょ~もない!!   国内の摩擦を避けようとするあまりに、対抗できる彼の力が「鈍感力」とでも呼ぶしかないような対応で、結果、多くのことを動かしているのが自分の利益を害するものに対しての感性だけは鋭い王妃のちょっとした一言(命令とは呼べないどちらかというと独り言に近い呟き)と、それを耳にして勝手に動く重臣たちの思惑ばかり・・・・・とは。  もっとも、そうであればこその「三国中の最弱国」とも言えるのかもしれません。

    それにしても本編ではどちらかというと「謎の集団」的な描かれ方をしていた「海竜商会」だけど、実は江南国ではかなり真っ当な商社 兼 水産加工会社だったんですねぇ。  たまたま根は恐妻家の江南王がクワンの母(海竜商会の大ボスの妹)にちょっかいを出して子供まで作っちゃったばかりに、この組織のみならず彼らの本拠地だった地方そのものがとんでもない災難に見舞われることにもなっちゃったわけだけど、本来なら国を富ませる最先鋒だったはずなのに・・・・・と思うと、ここでも江南王の無責任さというか無能さが強調されているような気がします。 

    これがもうちょっと覇気のある王様だったら、その国を富ませる集団との結びつきをもっと有効に使う手だても考えられただろうに・・・・・と思わずにはいられません。  もっとも、王様が海竜商会に近づいたのはそもそもその類の思惑があったからなのかもしれませんけどね。  で、結局、正妻である王妃とその取り巻き連中を御すことができなかったが故の悲劇なのでしょう、きっと。

    そういう意味ではやっぱり諸悪の根源は王妃とその一族・・・・ということにもなるんでしょうけど、その身勝手さ、考えの浅はかさでしょ~もない王妃様なんだけど、どこか憎めないんだよなぁ、これが。  もちろん国に限らず集団のリーダーとして仰ぎたくないタイプであることは明白なんだけど、実に人間臭いというか、フツーっぽいというか・・・・。  読んでいて常に感じるのは



    「ああ、いるいる、こういうタイプ・・・・・  特に見た目が可愛い子に多いタイプ・・・・・」



    っていうことだったりします(苦笑)。  まあ、一般人にいるこういうタイプの女性は家族とか恋人といったその人を取り巻く小さな集団が、半ば自主的に振り回されるだけだし、それが他の人に大きな影響を与えるわけでもないから、まだいいようなものの、これがなまじ「王妃様」であり、国政で権力を震う一族の娘だから話がややこしくなるわけですが・・・・。

    この外伝を読んで、クワンはある意味で本編で想像していたとおりの人物だったことを確認したにすぎなかったけれど、セオの成長期を見ることができたことが大きな収穫でした。  自分にはないものばかりを持つクワンに対する少年期特有の対抗意識、そしてそれを乗り越えた後に初めて培われていく2人の絆に♀である KiKi には踏み込めないある種の「男の友情」を垣間見て、ちょっぴり感動してしまいました。

    最後に・・・・・

    このシリーズ、中身も悪くないけどやっぱり装丁が素晴らしい!!  KiKi は元々昨今の、特にYA系やファンタジー系の本の漫画チックなイラストには嫌悪感に近いものを感じてしまうタチなんだけど、この本はその点、文句のつけどころがないくらい素晴らしいと思うんですよね。  アジアンテイスト・ハイ・ファンタジーのお手本にしたいぐらいのセンスの良さを感じます。  このシリーズは文庫も出ているみたいだけど、単行本で揃えたいと思わせる「何か」を放っていると感じます。

  • クアンの武勇伝ばかりでなく
    つらい時代のエピソードも

    シリーズは、終わってしまったけど
    リアンの事も含めて幸せになってほしいです

  • クワンの過去
    おじさんやお母さん、妹、セオ…
    クワンのことをおもう人たち…人の繋がりって大事

  • 【図書館本】久しぶりのシリーズだったのでキャラ相関ほとんど抜けてたのが残念。けど、クワン好きだったので彼の過去話は嬉しかったし、楽しく読めた。ますますクワンが好きになった!
    でも正直なところ、これを読んでから本編に入りたかったかも。勿体ない事をした……。
    とりあえずこのシリーズはこれでおしまい。それなりに楽しいシリーズだった。

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著者プロフィール

1969年、福島県南相馬市生まれ。2002年、「橋の上の少年」で第36回北日本文学賞受賞。2005年、「ソニンと燕になった王子」で第46回講談社児童文学新人賞を受賞し、改題・加筆した『天山の巫女ソニン1 黄金の燕』でデビュー。同作品で第40回日本児童文学者協会新人賞を受賞した。「天山の巫女ソニン」シリーズ以外の著書に、『チポロ』3部作(講談社)、『羽州ものがたり』(角川書店)、『女王さまがおまちかね』(ポプラ社)、『アトリと五人の王』(中央公論新社)、『星天の兄弟』(東京創元社)がある。ペンネームは、子どものころ好きだった、雪を呼ぶといわれる初冬に飛ぶ虫の名からつけた。


「2023年 『YA!ジェンダーフリーアンソロジー TRUE Colors』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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