- Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062188616
作品紹介・あらすじ
初代キンドル開発者にして、電子書籍の基準を創った天才の独白。
紙の本をそのまま最初から読む時代(Reading 1.0)から、デジタルの特性を活かした電子書籍を堪能する時代( Reading 2.0)へのシフトは、単に読書の世界や出版業界のみならず、人間の思考や社会構造までも大きく変化させていく。
Amazonや GoogleでReading 2.0の土台を築いた人物が初めて明かした、
未来の世界像。
以下は作者が本書で言及する予言の一部です。
●2016年頃には、電子書籍が消費者全体の半数に普及する
●それぞれの本に専用の辞書が組み込まれる
●いずれは電子書籍の中古販売も実現する
●秘書機能が電子書籍に導入される
●電書は読者や作者が集まるチャット・ルームになる
●家庭から本棚がなくなる
●「本を所有する」という概念自体がなくなる
●読書は「娯楽を体験する」形に変わっていく
●脳に直接訴えかけるような読書形態が生まれる
●ハイパーリンクで世界中のすべての本がつながる
●「読書用フェイスブック」が生まれる
●映画や音楽も「1冊の本」の一部となる
●これからの作家にはデータ分析能力が求められる
●出版業界の構造が大きく変わり、販売店が力を持つ
感想・レビュー・書評
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作者は Amazonキンドルの開発者である。読者家であり、四千冊の蔵書を所有していたそうだ。本書は10年前に出版されているが、いくつかの”予言”が書かれている。一部を紹介してみよう。
● 2016年頃には、電子書籍が消費者全体の半数に普及する
●「本を所有する」という概念自体がなくなる
●読書は「娯楽を体験する」形に変わっていく
●ハイパーリンクで世界中のすべての本がつながる
●「読書用フェイスブック」が生まれる
20 24年現在、いくつ的中しているだろうか? グーテンベルクの活版印刷が始まって以来数百年、「紙の本」の文化は未だ廃れていないと思われる。
いま学校では一人一台のタブレット端末が配布されている。デジタル教科書も登場してきた。これからの世代は電子書籍とそのリーダー端末に対して抵抗が無くなるだろう。
そして今般見かけるに、電車の中で本を読んでいる人は非常に少なく、スマホでSNSを眺めている人が多い。紙の本では他者とつながれないのだ。これからは「文化のデジタル化」が進んで行くのだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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Kindle開発チームに居たエンジニアの人が書いた本は面白かった。グーテンベルク以来の画期的な発明を産み出したチームの中に居た人だからか臨場感が伝わってくる。
O著者紹介
ジェイソン・マーコスキーJason Merkoski
アマゾン社でキンドル開発(第1、第2世代)の極秘プロジェクトに現場責任者の一人として携わる。プロダクト・マネージャー、エンジニアリング・マネージャー、プログラムマネージャーなどを歴任した後、同社では初となるキンドルのエバンジェリスト(伝道者)も務めている。1972年ニュージャージー州生まれ。マサチューセッツ工科大学で理論数学とライティングを学んだ後、卒業後は小説執筆に打ち込む。2005年にアマゾンに入社、すぐにキンドル開発チームへ。アマゾンを退社後はグーグルのシニア・プロダクト・マネージャーに転身、2013年には新しいタイプの書籍検索サイト企業BookGenie451を設立、創業者兼CTO(最高技術責任者)として活動中、ITやEコマースの分野での職務経験は20年に及び、今日の電子書籍の発展に大きく貢献。趣味はハンモックに揺られながらの読書。
やがてマサチューセッツ工科大学(MIT)に入学した私は、当初は物理学を専攻する。宇宙の仕組みに興味があったからだ。しかしその後、数学は宇宙だけに留まらず、もっと普遍的な学問であることを知り、私は専攻を変えることにした。数学は言語で言うところの「文法」 のように、「記号」を駆使してなにかを表現する。その意味では数学も言語の一種と言える 数学では物語を綴ることはできない。そのことに気付いた私は、新しい専攻 イティングを選んだ。 卒業後は10年間にわたり、仕事が終わった後や週末を使って小説の執筆を続けた。1930年代の大恐慌をテーマにした長大な小説だ。
グーテンベルクはアップルのスティーブ・ジョブズやアマゾンのジェフ・ベゾスと同じくら い仕事熱心だった。1ページに何行の文章を印刷すれば見た目の美しさとコストのバランスを取れるのか。行数を増やせば印刷ページ数は減らせるが、その分、読みにくくなってしまう。 そのようなことで数ヵ月も頭を悩ませ続けていたという。 興味深いのは、アマゾンの会議室でも連日、同じ問題が話し合われていたことだ。私たちがジェフと副社長たちを交えたそのミーティングに参加したとき、ジェフはキンドルの画面上 行の文章を表示すべきかについてずっと頭を悩ませていた(ミーティングが終割った後にジェフから届いた午前3時のメールにも、行数についての悩みが書かれていたほどだ)。電子書籍革命起こすには印刷技術にも変革が必要なのかもしれない。その意味でジェフやジョブスあるいはグーグルのエリック・シュミットといったIT業界の巨人たちは、数百年の時を隔てた グーテンベルクの生まれ変わりとも言える。
本の長所は自分のペースで楽しむことができる点だろう。急がず自分のペースで読み進め、 最初から最後まで順番に読む必要はないので、章を飛ばしたりすることもできる。 もちろん本にも短所はある。旅行中に何冊も持ち歩くのは難しいし、引っ越しの際に箱に詰めるのは苦労する。ページを開いて特定の箇所を探すのも難しい。経年劣化も激しく、かびが生えたり腐食したり、バラバラになってしまうこともある。
ジェフが読んだ本のタイトルを知ると、すぐに自分もその本を読むといった具合で、キンドルプロジェクトの時期には、ジェフの愛読書であるタングステンの歴史に関する本などが流行った。ジェフ信者の中で特に人気が高かったのは、「不確実性」をテ ーマとしたナシーム・タレブの名著『ブラック・スワン』だった。社員は例外なくジェフの資産やそのIQの高さを崇拝している。それは逆に言えば、面と向かって彼を笑ったり、考えを否定したりするような者はほぼ皆無だったのである。
グーテンベルクの発明が普遍性と革新性を兼ね備えた偉業だったのは間違いない。それはごくありふれた聖書だったが、紛れもなく美しく印刷された本だった。彼が意図していたわけではないが、 この発明によって宗教改革が始まり、読書は深く世間に浸透した。
ジェフは気取らない人間だ。前歯はものを噛んだ拍子に少しだけ欠けたらしい。身体は年々細身になっているようで、上質な青いスーツのサイズが徐々に合わなくなっているように見える。出会った頃には残っていた髪も、いつの間にか消失してしまった。高らかな笑い声は周りに伝染する力を持っており、誰もがつられて笑ってしまう。素敵な笑顔の持ち主だ。
私は書店が好きだ。ユーザーが匿名でやり取りするウェブとは違い、客と店側の人間が直接顔を合わせながら話をすることができる。
紙の本の表紙はその点で非常に優れている。表紙のデザインがここまで高度に発達し、心に響く芸術性を備えるまでに至ったのは、コストがほとんどかからない点が大きい。それでいて読書に鮮やか彩りを添えてくれる。いままでに読んだ本を思い返すとき、言葉や内容以前に、表紙が頭に浮かぶ人は多いはずだ。
私はバーンズ・アンド・ノーブルをはじめ、実店舗=リアル型の書店を愛している。1時間ほど店内を見て回ることができれば、それだけで充実した一日になる。
私たちはなぜ本を読むのだろうか?
本は「曖昧」なものだと私は思っている。たとえば19世紀を代表するイギリスの小説家ジョゼフ・コンラッドが著した『闇の奥』という作品をご存じだろうか。この本のテーマは非常にわかりにくい。評論家などがさまざまな解釈を発表しているが、いまだ確実に正解と言えるも かない。読書には一つの答えがあるわけではない。さまざまな解釈が考えられるしではいかない厄介なものだ。そんな読書に私たちが惹き付けられるのはなぜなのだろうか。
本には金銭では測れない価値もある。本がなければ、私たちは高価な腕時計やサングラスを身に付けることを学んだだけで、ほかはサルとさほど変わらない生き物だっただろう。私たちがすべての生物の頂点に立つことができたのは、本と言語、そして物語があったからこそである。本は手の届かない憧れの世界を教えてくれる。偉業を成し遂げる力を与えてくれる。人としての良識を教えてくれるし、友人や家族とは違った形で心が通じることもある。誰でも多大な影響を受けた本を何冊か持っているだろう。
読書はこれまで個人が一人で楽しむ文化であり、読書クラブのような活動も大きな流れを生むには至っていなかった。しかし現代では、読者や作者が国境を越えて本に関する議論を交わすことができる。チャット・ルームやフェイスブック、ツイッターで、誰もが本について話し合うことができる。電子書籍がきっかけになった動きと言えるだろう。まさに人と人とのつながりである。 -
Kindleを開発するくらいだし、紙の本なんて〜というかと思いきや紙の本を愛しているようでした。紙のぬくもりも情報量も理解している。でも、それでも、Kindleを開発した。口伝から粘土板、そして紙から電子書籍に代わっていく「本」だと。
本の中身は変わらない。ガワだけ。なんなら利便性もアップして、本を読まなくなった人が気軽に読もうと思って読書人口が増えるかもしれない。そうなればいい。私もそうなったら嬉しい。
現に1度読めば十分と思っている漫画や雑誌は電子書籍で買っているしなぁ。。小説だけ未だに紙で買っているけど、視力低下だけどうにかクリアできれば、電子書籍で構わないかも。紙に拘っているのは紙を愛しているし、新しいものに抵抗があっただけだっていうのに気づきました。(あとは、これだけ分厚い本を読んだぞ達成感があるし、本がいっぱい並んでいる空間が好き。穴蔵みたいな図書館はとても好き。書き出せばいろいろある笑)電子書籍は十分便利だし、なんなら価格も安くなっていって、読者にとってハッピーかもしれない。
あと、壮大なKindle広告本だったら、だいぶ成功だと思う本でした。ちょっと古いけど。この本で書かれているいくつかはもう実現している。 -
アマゾンの電子書籍端末キンドルの開発者のジョイソン・マーコスキーが「本」について語った一冊。全体を通して著者の「紙の本」に対する愛情こもった作品となっている、とはいいつつも数十年後には紙の本→電子書籍に置き換わり、(電子書籍には)様々なインタラクション的なデザインがされているのではないかと著者は予測する。そのほか、紀元前~グーテンベルグの印刷革命、その後電子書籍が作られるまでの「本」の歴史が語られているのも面白い(もちろん初代キンドル開発の裏側もあり)。
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かなりのボリュームがある一冊。本と読書の現在と未来を占う本。kindleの開発者の一人だからこそわかる考察が興味深い。
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まぁ良い。思い出したかのように唱えられるReading2.0というものはさておき、本の未来を語ってる部分が主かも。電子書籍、そしてそれが作るだろう、未来。
タイトルが気になってずっと読みたかった本なのだが、やっと読めた。多分四年越し。
これは2013年に執筆されてるので、5年経った2018年現在、いくつかの点で予想されてる未来とは違っている。が、それも含めて楽しめた。 -
【由来】
・講談社のメルマガ
【期待したもの】
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※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。
【要約】
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【ノート】
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【目次】 -
Amazonの電子書籍端末「キンドル」の開発に、最初期から5年間かかわったという著者による電子書籍本。
読む側は当然、「中の人」ならではの視点で鋭く本の未来を展望する内容を期待する。
が、その意味ではかなり期待外れ。これまで何冊か「電子書籍本」を読んでいる人なら、「どっかで聞いたような話」がほとんどだろう。
私が「へえ」と思ったのは、近い将来に電子書籍の中古販売が実現する、という話くらい。
全体に構成がダラダラしている。秩序立った形で読書の未来を論じた本というより、電子書籍について筆の赴くままに綴ったエッセイという印象だ。
自分が開発に携わったキンドルを、「21世紀を代表する発明品になる」と自画自賛するのはご愛嬌としても、どうでもいい著者の自分語りが随所に顔を出すのはウザい。
それに、著者が描く「読書の未来」の何が素晴らしいのか、私にはいまいち理解できない。
著者は近い将来生まれる「読書用フェイスブック」が、「Reading2.0」となるのだと主張する。
「読書用フェイスブック」とは何かというと、1冊の電子書籍から「あらゆる本がリンクでつながり、世界中のすべての本が巨大な一冊を構成する一要素とな」り、「複雑に絡み合うハイパーリンクですべての本がつながる」ようなありようのことだという。
わかったようなわからないような説明だ。
たとえば電子書籍を読みながら、ワンクリックで関連情報が調べられたり、同じ本を読んでいるほかの人とつながれたりする仕組みができたとして、それの何が画期的なのか?
我々はいまでも、読書の途中でパソコンやスマホに向かって同じようなことをしているではないか。
それに、著者は後半の「読書時の集中力」の項で、その「読書用フェイスブック」のアイデアを自ら否定するようなことも書いている。
iPadのような汎用端末で電子書籍を読むと、読書しながらついネットを見てしまったりして、読書に集中できないからよくない(趣意)と述べているのだ。
ほかの本、ほかの人とつながりながら読書できることが「Reading2.0」ではなかったのかw?
この一例が示すように、全体にとっちらかった内容の駄本。