ABC! 曙第二中学校放送部

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 326
感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062193221

感想・レビュー・書評

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  • 本読んでうれしくなってピアノに向かって曲を作りたくなったのは久しぶりかも。ラストで、女の子が互いに手をぱちんと打ちならす、きれいな終わり方。余韻を楽しみたくなる。
    「しずかな魔女」もそうだったけれど、ここでも放送部のコンクールに向けて、自分たちでドラマをつくり、ニュースの原稿を作成しと、物語の中で物語を語る構成になっている。そのドラマやニュースの中身が、登場人物の抱えている様々な問題と響きあって、深く心を打つ。
    最後の放送で流すことになっている、オリジナルな曲の歌詞も何だかよい。
    こういう物語のリアリティーって、登場人物が抱えている問題の解決の度合いによって決まってくる部分も大きいと思う。あまりきれいさっぱり解決しきってしまえば、欲望の代替的満足としてはすっきりするけれど、リアリティーは低くなり、逆に問題が全く解決できなければ、リアルではあるけれど、物語としてのカタルシスはなくなってしまう。

    このお話では、仲間の中の人間関係は、主人公たちの成長とともにうまいところに着地していくんだけれど、外には和解しえない「敵」がいて、その強敵ぶりがお話のリアリティを高めている。そのあたりも、「しずかな魔女」と似ていて、現実の問題に対して、妄想の中ではなくきちんと立ち向かっていく強さを要求してくるところが、僕には好感を持てた。

    これを読書感想文の課題図書として選ぶセンスはなかなか。いろいろな切り口でひっかかってきそう。

  • 二人きりで始まった放送部が、熱血教師とお昼の放送をしたことから、少しずつ校内で知られていく存在に。学園部活もの。以前から注目していた市川朔久子さんの新作。素直な青春ものではなく、ある程度影がさす状態なのが楽しく読める。

  • 自ら考え実行する。
    理想的な中学生の姿なのに、その姿が自分たちの思う形と少しでも違うと認めようとしない。
    押さえつけて型にはめようとする。
    大っ嫌い、そんな先生。
    一生懸命やってる人に対して、そんなことしても仕方ないとか、頑張ってる姿を鼻で笑うとか、最悪。
    そういうのをブスという言葉で表現する。
    でも、キツイ表現を使うと、それがそのまま自分へのダメージとして返ってきちゃうのよね。

    放送委員と放送部の両方がある学校ってどれぐらいあるんだろう。

  • 本庄みさと。曙第二中学校の放送部。三年アナウンス担当の副部長。
    古馬和人は同じく三年、機材担当の部長。先輩たちが卒業して、放送部はたった2人の弱小部となってしまった。みさとは本当はアナウンスは苦手だけど、古馬が機材と原稿作りを担当するので仕方がない。放送委員会が活動を始めるまでの間、お昼の放送をすることになって緊張するみさと。

    そんな時、みさとと同じクラスに真野葉月(まのはづき)が転入してきた。誰もが振り向くほどの美人な葉月だが、クラスで誰とも仲良くなろうとせず、孤高の存在となった。
    そして古馬が言うには、葉月は放送部経験者だと言う。それも、大会のアナウンス部門で賞を取るほどの実力者だと。

    みさとのクラスの女子で亜美とその仲間は、かつてバスケ部で一緒に汗を流していたのだが、ある事がきっかけでみさとはバスケ部をやめた。そして、笑顔で、いじめにならないギリギリの所で毒を投げてくる亜美の事が苦手だ。
    葉月も、亜美たちのことが嫌いだ。
    席の近いみさとと少し話をするようになり、防音室で、葉月が思いっきり心の中に溜め込んだ言葉を吐き出せるようにしてあげたりした。
    そして、みさとは葉月を放送部に誘った。

    放送部の顧問の須貝先生は、放送の知識はないけど明るく、軽く、放送部の活動を応援してくれる。生徒指導の古権沢(こごさわ)先生は部員数の少ない放送部を目の敵のようにし、いろんな事を言ってくる。

    みさと・古馬・葉月に加えて、身体を壊して野球部を休部している新納と一年生の珠子が加わった。そしてはじめて、大会に出る事になり、5人はその準備をはじめる。

  • まあ、全て予想通りの内容なんだけど、どうしても感想文強要しないといけないなら、妙に教育的なやつでなくて、こういうとっつきやすい本を指定するのはありだと思う。

  • 放送部をめぐる部活成長物語。

  • 楽しさも、大変さも。
    いいですね。

  • 2016/10/24

    913.6||イチ (3階日本の小説類)

    みさとが所属するのは、機材オタク・古場とたった2人の零細クラブの放送部。廃部の危機に加え、学校一厳しい先生からも目をつけられ・・・。そこに転校生・葉月が関わり、状況は複雑化して…!?
    同級生との人間関係、生徒指導教諭の指導に悩みながら大きく成長していく中学生の姿が描かれている。

  •  廃部寸前の放送部。運動部をやめ、放送部に転部したものの、やる気になれずにやめそびれていたみさとだが、顧問になった新任教師の情熱に引きずられ、本腰を入れるようになる。一方、周囲に壁を作り孤立している転校生の本音に触れ、関わりを持つようになる。やがて放送部はある目標に向かって進むようになるが、学校一厳しい古顔の教師から横やりが入る。
     大人の権威を振りかざし服従を要求する教師に対し、波風たてないやり方を知りつつも自分たちの信念を貫きたい中学生たちにエールを送る。飄々とした新任教師の存在は貴重。むしろ、子どもたちよりも彼が折れずに前進することを願う。

  • H28.9.30

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著者プロフィール

福岡県生まれ。『よるの美容院』で第52回講談社児童文学新人賞受賞。同作でデビュー。『紙コップのオリオン』は厚生労働省児童福祉文化財選出、『ABC! 曙第二中学校放送部』は第49回日本児童文学者協会新人賞受賞、第62回青少年読書感想文全国コンクール課題図書選出、『小やぎのかんむり』は第66回小学館児童出版文化賞を受賞する。ほかに『おしごとのおはなし美容師 かのこと小鳥の美容院』などがある(以上講談社)。

「2018年 『よりみち3人修学旅行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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