チポロ

著者 :
  • 講談社
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感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062197458

感想・レビュー・書評

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  • アイヌに興味を持ったので、アイヌを題材にした本書が気になりました。
    たくさんのカムイが登場して、人間の強欲さ…を考えさせられました。
    チポロがとてもいい子で応援しながら読みました。
    表紙の絵も素敵です。

  • 三部作の3作目「ランペシカ」から読むという失態をおかしたので、1作目を読みました。
    アイヌがモチーフの古代ファンタジー。
    古代ものは大好物。「月神の統べる森で」シリーズに雰囲気が似ている。あちらもこちらも好き。


    2作目はまだ読んでないけど、この作品が1番、物語として幸せなところで終わっているのではないかな。
    チポロとイレシュがまっすぐでいい子でとてもよかった。ヤイレスーホの切ない気持ちを考えて、今後の展開を知っているからこそ、また胸にくるものがありますね。
    児童書でこんな盛大で密かな悲恋があるとはね…。

  • 面白かった。子供のための物語という感じ。
    負け続けると卑屈になってしまいそうなものだけど、チポロはバカにされながらも力を蓄えてきた。
    信じる力の強い子供だった。
    反対に自分も人も信じずにだいぶ歪んでしまったヤイレスーホ…たった一度、無条件で助けられたことが彼をほんの少し変えたのだとしても、結局イレシュに届かなかったのが切ない。
    あの後どうなっちゃったんだろう。
    イレシュの気持ちも複雑なまま残りそう。
    続編が読みたい。

  • いいねぇ 少年がきちんと若者になっていく話
    物語はこうでなくっちゃ という王道モノだけれど
    それでも いいねぇ
    主人公たちもさることながら
    その取り巻く、カムイ(神)たちにも、頼りなく描かれる人間たちにも
    作者の愛情にあふれているのがいいですね
    読後感がさわやかです

  • 主人公がしっかり大地を踏みしめてる冒険譚、旅先に社会が見えるし空気の匂いがします。続編書けそうな雰囲気。
    チポロは猪突猛進型ですが何か言ってから自省したり自分を律する客観性も持ってる子だなと。自分のことじゃなくてもシャチのカムイにぱっと謝るシーンに微笑みました。
    たぶんこのお話の中で誰よりも思考しているのはイレシュですね、ヤイレスーホは危なっかしく見えます。
    プクサいいやつだな~。

    ミソサザイのカムイのおしゃべりずっと聞いてたい。
    シカマ・カムイの人生相談室があったら訪ねたい。
    弓のレプニかっっっこよすぎか!!!

  • 祖母と二人暮らしの貧しい家の子チポロは、ある日見事な鶴を射止めます。その事から自信をつけた彼は、諦めることなく努力や工夫をするようになります。

    ある日チポロは、村を訪ねてきた、人間に近い神シカマ・カムイから、魔物の襲来に気をつけるように言われます。だが、魔物が現れた時、チポロから教えられた呪文を唱えた友だちのイレシュはさらわれていきました。

    チポロはイレシュを連れ戻すために、力を蓄え、魔物がいると言われる北の港を目指すのでした。


    国造りの神兄弟の弟とアカダモの女神チキサニとの間の男児オキクルミ。そのオキクルミと妹と、人間たちとの関わりの中から生まれた冒険話。

    ストーリーはとても面白く、ぐいぐい読ませるものがある。人物や場面の設定にも無理がない。
    また、物語の随所に、諦めないことや思いやりの大切さが、くどくない形で盛り込まれており、好感が持てる。

    ただ、登場人物(特に主人公のチポロと友人のイレシュ)の語る言葉が今風過ぎて、アイヌ民話を基調にしたこの物語の中では浮いてしまう点が残念。

  • 子供に読んで聞かせたい

  • 力も弱く、狩りも上手ではなかった少年チポロが連れ去られた幼馴染の女の子を探すために強くなり、旅に出る物語。
    アイヌ神話をモチーフに、人間が大好きな神様や失望した神様も出てくる。

    旅の道連れになった小さな神様の「いつも大きくて強くてなにかをほどこし助けてくれる、そんな神様ばっかり望んでる」というセリフにドキッとした。
    神様が与え恵んでくれるのをいいことに努力を怠り恵みばかりを期待するようになる。
    人間を嫌いになる神様はそこに絶望するのだろうし、そういった人間を含めて愛しいと思い寄り添ってくれる神様もいる。

    少年が勇気を出し成長し、いろいろな人の助けを借りながら大切な女の子を取り戻そうと旅をする。王道で単純明快な物語の中に大切なことがいろいろとちりばめられていると思う。

    ヤイレスーホが不憫。彼がイレシュを帰せなかったのは、かつて自分に優しくしてくれた女の子と一緒にいたいと思ってしまったからなのでは。
    彼は彼で、大切な女の子と自身の信じる素晴らしい世界に行きたかったのだろう。
    結局幼馴染の男の子に負けてしまい彼自身も罰を受けるのだが、その後どうなったのかが気になってしまった。
    続編もあるようなので読んでみよう。

  • アイヌに伝わる神話をもとにしたファンタジー。おばあちゃんと二人暮らし、ちいさくて狩りがへたくそだったチポロが、魔物にさらわれた幼なじみを助けるべく旅にでる。

    こんなにやさしい文章で、これだけの世界観を描けるってすごいと思う。最初に国のはじまりの神話があり、それからチポロの旅がはじまってゆく。物語がすすむにつれて、神話とチポロの旅がだんだんリンクしてくる。自然のなかに神々があたりまえのように存在する世界。神さまという存在が身近に感じられる。冒頭で初めてツルを仕留めてから、どんどんたくましくなっていくチポロの成長がうれしい。アイヌの空気を感じられる物語。

  • アイヌ神話である「柳の葉が川に落ちシシャモ(ススハム)になった」という話がもと。小さな少年チポロの成長譚。

著者プロフィール

1969年、福島県南相馬市生まれ。2002年、「橋の上の少年」で第36回北日本文学賞受賞。2005年、「ソニンと燕になった王子」で第46回講談社児童文学新人賞を受賞し、改題・加筆した『天山の巫女ソニン1 黄金の燕』でデビュー。同作品で第40回日本児童文学者協会新人賞を受賞した。「天山の巫女ソニン」シリーズ以外の著書に、『チポロ』3部作(講談社)、『羽州ものがたり』(角川書店)、『女王さまがおまちかね』(ポプラ社)、『アトリと五人の王』(中央公論新社)、『星天の兄弟』(東京創元社)がある。ペンネームは、子どものころ好きだった、雪を呼ぶといわれる初冬に飛ぶ虫の名からつけた。


「2023年 『YA!ジェンダーフリーアンソロジー TRUE Colors』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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