異類婚姻譚

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062199001

感想・レビュー・書評

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  • すごくメルヘンで女性的

  • 芥川賞受賞作。短編集。
    いつの間にか似てきてしまった夫婦の話「異類婚姻譚」。旦那の顔が崩れる瞬間を見てしまうのも怖いけど、自分の顔が自分を忘れる、というのも恐ろしい状況。旦那が山芍薬になってしまうという結末も、かなり面白い。一緒に暮らしていて、相手のこと(この場合は夫婦)を知っているようで、知らなかった。でも、なんか、そのことに、ちょっとホッとした。
    他、山小屋で切り絵の複製を作る仕事をしていた主人公が犬になっちゃうお話「犬たち」。
    子育てに不安を抱えるトモ子のお話「トモ子のバームクーヘン」と、そのトモ子の夫は藁だった「藁の夫」。
    夫婦生活の不安定、みたいなものを描いているのかな?とか思いながら読んでみる。解釈するまで何回か読み返さないと、な作品。それがまた面白いのだけど。
    不思議な一冊で、たまにはこういうのも良いかも。

  • ゾッとした。
    ホラーっぽいんだけど決してファンタジーなホラーではなくて、それがまた余計にゾッとした。

    「結婚生活」をはじめとした「日常」の中に潜む異質さやいびつさを、一見怪異とも取れる比喩的表現でめちゃくちゃ深い所まで切り込んでいくなぁという感じ。
    怪異の様な異質な怖さなのに確かに覚えのある感覚だからこそ、そこがまた怖い。

    個人的に一番覚えがあったのは『トモ子のバウムクーヘン』のお話だけど、これはゾッとすると同時にちょっと安心もした。
    「あ、私の他にもこんな突拍子の無い事考えちゃう人居るんだな。」「別に異質な不安症とかではないんだな」てちょっとホッとした

  • 結婚生活が…結婚?とも言えない関係もありましたが、だんだん違うものになっていくのはゾッとしました。異質なものになる、結婚生活が、幻、異質なものとの結婚。
    表題作の旦那さんは鬱病かとも思いましたが、人間やめたかったのか。。
    〈犬たち〉が好き。〈犬〉が何故、あの町では駄目なのか明らかにされなかったけれど、主人公や友人が知らなかっただけで、恐れられ排除しなきゃいけないものだつわたんだろな。でも白い犬、綺麗。
    他2篇も異様で良かったです。破壊衝動みたいな…?

  • 人でないものと人の交わり。
    その奇妙な生活がごく普通に描かれていると思えば、私たちが普通だと思っていることが奇妙なものにすら思えてくる不思議さ。
    人間としての自分の輪郭はきっと揺れ続けていて、変化し続けているのだろうけど、その輪郭は失ってはいけないと思った。

  • すごく不思議で奇妙な作品でした。人間がモノに見えてくる。本質的な所に疑いが生まれ、日常に潜む恐怖にゾッとさせられる作品でした。
    理解できない部分もあり、そういう点でも不思議で読み返したくなります。

  • 第154回 芥川賞受賞作であるらしい。夫婦についてその人外関係について描かれている。著者はどうも相手に自分の本性を飲み込まれていく感覚があるらしい。「でももう少し別々の人間でいたいっていうか。別の人間、ね。、、、
    だって結婚て、相手の良いところも悪いところも飲み込んでいくでしょう」そして、「これまで私は誰かと親しい関係になれたり、自分が少しずつ帰られていくような気分も味わってきた」そして、その違和感を破るようにそのかんけいを「無理矢理引き抜いてきた」のである。
     人間関係はその距離感が大事なんだろう。そんなに親しくない人とはそはなりの距離を保つし、こっちが一方的に親友と思って心の中に入っていこうとすると、冷たくされる場合があるけど、あれなんかはその距離感を相手が距離を、おろうとしているのだ。夫婦もそれしかり。夫婦にも距離感が大事なんだって、つくづく思う。夫婦でも、親子関係でも土足で相手の懐に入ってはいけないということかな。

  • 世にも奇妙な物語。フランシス・ベーコンの溶けた顔を連想し、最後には可憐な画に収まる様は、なんだか微笑ましくなった。幻想の中に生きたい、幻想の中に逃げたい、人間がやっぱり幻想なんだと思うと、あらあら不思議、矛盾の始まり。

  • 短編集なので淡々と読めた。
    はじめての本谷有希子。
    不気味だけど、日常の核心をつくようなファンタジー?
    一度読んだだけでは味わいきれていない感じがするので、数日後にまた読み返したい。
    他の作品も読んでみよう。

  • 今までに読んだことのない、ファンタジーというのだろうか…。不思議な読後感。
    ちょっと怖いような…小川洋子さん作品のふんわりとした中にほんのり恐怖があるような感じに似てる気がする。2019.5.2

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著者プロフィール

小説家・劇作家

「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

本谷有希子の作品

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