大きな鳥にさらわれないよう

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1023
感想 : 157
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  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062199650

感想・レビュー・書評

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  • 短編集だけど、長い時間のお話。ひとつひとつは著者らしく寓話的で、現実的で、憎しみがない世界。SFは普段読まないけど、Twitter文学賞2位ぽい。

  • 久しぶりにすごい本を読んだ。

    人類の文明を一旦解体したらなにが起こるかという思考実験でもあるし、そこにどこまでも拡がる人間の宿業というべきもの。
    争い、憎み、殺すことが描かれる中で、男女のすれ違いのごときものが最も業が深く描かれている。
    昨今、不倫物の作品がメディアにありふれている中ではあるが、この僅かなページ数で、男女の絶望的なすれ違いの様子が人類の絶望を代表しているが如く感じられ、圧倒される。

  • SFっぽい感じ。割と閉じられた世界や架空の1つの世界の中を丁寧に描く人かと思っていたので、時空を超えてスケールが大きい展開に、ちょっとびっくりした。とても面白かったけれど。人類滅亡の暗さは常にあるものの、文章の軽やかさで一気に読み、そういうことか、とまた戻る。そして、描かれた1つ1つがじわじわと。近未来…

  • SF?
    最初は川上さん得意の「うそばなし」で、それぞれが独立した短編と思い読み始めました。
    しかし読み進めるうち、全てが一つのディストピア世界の切れ端であることに気づき、後半にはその世界が作られた背景が説明されている事から、ジャンル的にはSFと言っても良いようです。
    ネットで見るとみなさん、結構な高評価のようですが、個人的にはどうも。。
    川上さんのなんとも不思議な、そしてフワフワした「うそばなし」に、後から理屈をつけたような感じを受けて、いまいち中途半端な気がします。私の勝手な思い込みなのでしょうが。

  • 人間とは、AIとは。何のために生きてるかわならないことが生きているということ?

  • 川上弘美さんの作品はけっこう読んできたけど、この作品は衝撃的でした。人間のこととか未来のこととかに色々思いを馳せてしまって読了後はとてもクラクラした。けれど、川上さんの作品からいつも伝わってくる優しくて温かいものがこの作品からもしっかり感じられて、やっぱりこの人の作品が私は大好きだ!と改めて思いました。

  • ファンタジーSF。
    絶滅の危機に瀕する人類は、種を存続させるためのシステムを考える。
    生殖という生物の基本に、クローンや人工知能などの科学的要素も組み込みながら、世界は行き着くところへ向かっていく。
    同じことを繰り返す人間が切ない。

  • 参りました。

  • ディストピア小説。本当に?

    薄い絶望と諦念を幾重にも折り重ねた、ミルフィーユなディストピア。

  • 『いとしい』が私には合わなくて久しぶりに読んだ川上作品。いわゆるディストピアものなのだろうけど、語り口があくまでも柔らかいところがかえって不穏で、不思議なファンタジー感を醸し出している。短編を読んでいくと最後にモザイクみたいに絵が浮かび上がってくる構成が見事でした。感情が動けば愛が芽生えるのと同じように憎しみも生まれ、異質なものを排除しようとする。どんなに文明が発達しても、同じことを繰り返してしまう人間に対しての諦念、それと同時に不完全なものに対する愛おしさみたいなものを感じた。

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著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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