日本おとぼけ絵画史 たのしい日本美術

著者 :
  • 講談社
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062199858

作品紹介・あらすじ

庶民が愛好し、日本人の心を潤してきた「とぼけている」としか言いようのない、素敵な絵画群。その大きな流れをたのしく紹介!

感想・レビュー・書評

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  • 禅画、南画、その他さまざまな「おとぼけ」絵画を楽しく紹介した一冊だ。

    ものすごく簡略化されていたり、変な形をしていたり、稚拙さをあえて出していたり、なんともいえない味わいの絵が次から次へと出てきて、なんだこれ、とおかしくなった。

    尾形光琳、狩野山雪、伊藤若冲など錚々たる絵師もこんなの描いてたんだな、と興味深い。
    著者いわく、こういったとぼけた美術を楽しめる素養が日本人にあったことが現代の「へたうま」を受け入れる下地になった、というのだけれど、うーん、なんか、わかる気がする。

    すごいな、と思ったのは歌川国芳の、「壁の落書き」を絵にした一枚。蔵の壁に、役者や、ヘンな猫や、そういったものが粗雑に描かれているのを絵として描いている。
    これは現代のグラフィティ・アートをモチーフにした表現に近いと思うのだけれど、そういう絵画が江戸時代に描かれ、民衆に受け入れられていたということに驚く。

    日本美術、奥深いな。

  • ページをめくったら思わず笑っちゃう絵やゆるーい絵がたくさんあって楽しい本だった。本文の解説と絵が載っているページが前後していたりして少し読みづらいが、新しい視点の日本絵画を見せてもらった。

  • 和むわ~(*´∇`*)ちょっと気持ち悪い絵もあるけれど、ヘタウマな絵に思わず「えへへ( ̄∇ ̄*)」と笑ってしまう♪あぁ美術館へ行きたいなー(^o^)

  • 落書きみたいな絵も沢山残ってるんだなぁ。

  • 美しいとか、上手だ、という価値観から少しずれたところの魅力を持ってる作品に触れることができた。

    絵の本なのに、絵を通して禅のことについて学べた気がする。

    禅とは、常識や既成概念を破って、それにとらわれずに物事の本質を見極めることを大切にしている、と感じた。
    禅画を見ていると、「いかに固定観念に縛られているか、ということに気づけ! 自ら気づけ!」と言われているように感じる。
    「自分で気づけ。でないと、本当の意味で学べない」と。

    禅画以外にも、魅力的な絵が沢山あった。
    面白い本だった。


    【memo】
    目出度さはことしの蚊にも喰われけり 小林一茶

    岡田米山人 「富士山図」
    尾形乾山 「富士山図」

  • 癒えます。春叢紹珠の皿回し布袋図、風外本高の虎図と猛虎図、中村芳中の鹿図、曽我蕭白の雪山童子図、あとお殿様のシリーズは全て好きです。実際に鑑賞した作品もありますし、プリントでしか見たことがないのもありますが総じて非常に素晴らしく魅力的であります。

  • 禅僧が味わい深い絵を描くことにふふっとなったが、皆さん江戸時代くらいに生きてた人たちなのに結構長命ってことに気づいた。1日0~2食でもバランスの良い食事を取って頭や指先を使い続けて心が健康であると長生きするんだなあ。

  • 「なんじゃこの絵は?」
    って思わず美術館で笑ってしまったことってないですか?

    すごい巨匠が描いた絵なのに
    思わず「かわいい~」って言ってしまうような絵や
    「この絵は家に飾ったらコワイ…」とかって思う絵を集めて解説したこの本、めちゃくちゃおもしろいです。

    著者の金子信久さんはそんなおかしみのある絵を
    「苦い」「すっぱい」「ずっこけ」といった絶妙な表現で表している。

    長谷川等伯、海北友雪、尾形光琳、曽我蕭白など…
    彼らが描く世界とおもしろさは何度見ても楽しい。

    そうそう、忘れてはならないのが伊藤若冲
    あの緻密な絵を描いた若冲が描いた伏見人形図は
    まるまるころころしていて
    ある意味”今はやりのゆるキャラ”なのである。

    線で表された美、
    簡略の美
    素朴に込められた美
    日本の独特の美を追求した”目”は本当におもしろくてすばらしい。

  • 日本美術って自由で面白い。

  •  タイトルどおり、とぼけた雰囲気の日本の絵画を集めた1冊。
     和む。
     去年、禅展を見に行って、禅画は存分に堪能して来たんだけれど、また楽しめた。

     ただ、絵はすごくいいんだけれど、解説が読みづらくて…。
     文章の内容という意味でなく、構図(?)が。
     1ページに1つの絵画、もしくは見開きに1つの絵画が載っているのに、解説はずらずらっと続けて書いてあるのが、すごい読みづらい。
     殆どが、絵と解説が違うページになっちゃってて、解説読むのにページを行ったり来たりしなきゃいけなくて面倒くさい。
     1つの絵に1つの解説、て具合にしっかり分けてほしい。
     せめて、次の絵に変わったら、解説を1行空けるとかしてくれないものかしら。
     それだけがもったいない。

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著者プロフィール

金子信久(かねこ・のぶひさ)
1962年、東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科美学美術史学専攻卒業。福島県立博物館などを経て、府中市美術館学芸員。担当展覧会に「亜欧堂田善とその系譜」(福島県立博物館、1990年)、「司馬江漢 西洋との接触、葛藤と確信」(府中市美術館、2001年)、「亜欧堂田善の時代」(府中市美術館、2006年)、「リアル 最大の奇抜」(府中市美術館、2018年)など。「亜欧堂田善の時代」展の企画と図録論文で第18回倫雅美術奨励賞受賞。主要論文に「亜欧堂田善の銅版江戸名所図群に関する絵画史的検討」(『国華』1220、1997年)、「迫真と形象化‐司馬江漢と亜欧堂田善の油彩画」(『民族藝術』22、2006年)、「司馬江漢 西洋風景人物図屛風」(『国華』1336、2007年)など。著書に『日本美術全集14 若冲・応挙、みやこの奇想』(共著、小学館、2014年)、『もっと知りたい長沢蘆雪』(東京美術、2014年)、『子犬の絵画史 たのしい日本美術』(講談社、2022年)ほか多数。

「2022年 『作って発見! 日本の美術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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