- Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062205771
作品紹介・あらすじ
羽野千夏は、民俗学の「口頭伝承」を研究する大学生。“消えない記憶”に興味を持ち、認知症グループホーム「風の里」を訪れた。出迎えたのは、「色武者」や「電波塔」などとあだ名される、ひと癖もふた癖もある老人たち。なかでも「くノ一」と呼ばれる老女・ルリ子は、夕方になるとホームから脱走を図る強者。ほとんど会話が成り立たないはずの彼女が発した「おろんくち」という言葉に、千夏は妙な引っ掛かりを覚える。記憶の森に潜り込む千夏と相棒の大地。二人を待っていたものは……!
感想・レビュー・書評
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「旅人はみな民俗学者であり、人はみな人生を旅する旅人である」と言ったのは十七世紀の左官屋ヒマーワリ・メーロンですが、要するに人の営みや想いってものを知ることが民俗学なのかなと思ったりするのです
というわけでみんみん激推しの作家、川瀬七瀬さん初読でございます
ただこれだけは言っておきたい
別に川瀬七瀬さんだからじゃなくて「民俗学」を題材にしてたからこの本読んだんですからね!
Σ(゚Д゚)
ってそもそも「民俗学」に興味持ったのがみんみんきっかけだったw
ただ本作は民俗学3介護問題7って感じでしたね
溶け合ってはいたけどね
はい、主人公の千夏は民俗学を研究する大学院生
中でも「口頭伝承」がテーマで、認知症を患っても”消えない記憶”を調べるために認知症のグループホームを訪れます
うーん、まずこのテーマが良い
非常に興味深く、いきなりがっと掴まれました
そして川瀬七瀬さん、人の描き方が抜群に上手い
登場人物全員にちゃんと背骨がある
とくにグループホームのおじいちゃん、おばあちゃんがみんなくせがあって魅力的
嫌なカウンセラーにもちゃんと血が通ってて本気でイラッとする
いいね〜
生きた人をちゃんと描ける作家さん
他のもちょっと読んでみたいかも -
民俗学専攻の女子大生が、研究テーマの「口頭伝承」の実地調査を通して、現代社会の歪みを浮き彫りにしていく社会派ミステリー。全6章。
◇
羽野千夏は民俗学専攻の大学院生で、現在、東京国立民俗文化学博物館に (研修)出向中の学者の卵だ。
千夏の研究テーマは「口頭伝承」。
文字化されていなくても、お伽噺や歌などの形をとって口頭で伝えられているものを指し、それらは年老いて例え認知症になっても記憶の中に残ると言われている。
千夏は、そんな記憶の中の言葉を聞き取るため、認知症グループホーム「風の里」のボランティアスタッフとして施設を訪れたのだが、ホームの老人たちは予想以上に元気いっぱい (傍若無人?) だった。
身勝手で自己主張が非常に強い老人たちの中で、1人だけ会話が成立せず、隙あらば脱走を試みるルリ子さんが取り乱しながら呟いた「おろんくち」ということばが気になった千夏は……。
* * * * *
やはり川瀬七緒さんの主人公設定がおもしろい。この作品では民俗学者の卵です。
羽野千夏。160cm、65kg。ぽっちゃり系の身体に、愛嬌たっぷりの丸顔。
読んですぐ主人公に親しみが湧いてしまいました。連想したのが、「マングースの着ぐるみを着たのだめ」だったからです。
施設での千夏と老人たちのやりとりがおもしろいし、千夏との交流によって老人たちの心がほぐれ、活力とともに自尊心を取り戻していくさまが実に自然に描かれていて、川瀬さんらしい展開にうれしくなりました。
また、老人福祉施設での効率主義や管理主義が却って入所者の症状悪化に直結する可能性が高いということもわかりました。
施設も人手不足でやむを得ないところもあるけれど、そんな経営面の理屈が先行すると非人間的な側面が顕著になりがちだということが、端的に描かれていたと思います。
こういう福祉事業に営利主義や自己顕示欲などを持ち込むと、必ずそこに歪みが生じます。
『赤堀涼子』シリーズでも同様なのですが、川瀬さんは現代社会の問題点を作品に取り入れ、きちんと警鐘を鳴らす。その手法が好もしい。
そして民俗学。フィールドワークの苦労も含めたおもしろさが実に巧みに描写されており、赤堀涼子の昆虫採集が思い浮かびました。
さて、ストーリーについても趣向が凝らされていました。
直接的には千夏と引きこもり少年の大地のコンビが活躍するのだけれど、忘れてならないのが風の里の「老人探偵団」のサポートです。
老人たちのバックアップなくして事件は解決しませんでした。この展開が実に痛快で、存分に楽しめる作品になっています。
以上、まったく川瀬さんのエンタメ精神には感服するばかりでした。
最後に、千夏の「3Dキャプチャー」という特殊能力について。
文句なしにすごい能力だし、実際に老人たちの好奇心や回想能力の回復にも役立っていたけれど、千夏にとっての言わば「切札」的な能力として事件解決に直結させてもよかったのになあと、欲張りなことを思ったりしました。
この「羽野千夏」はシリーズ化しないのでしょうか。共演者が大地1人では弱すぎるのは確かですが、そこは魅力的なキャラを新たに設定して、ぜひ続編を書いて欲しいと思いました。 -
民俗学の口頭伝承の研究をしている千夏が、グループホームの入居者から聞いた言葉を頼りに謎に迫っていく話の中に、介護業界の問題点や家庭の問題など現実社会問題になっていることがメインとして書かれてるので、純粋に民俗学の知識を使った謎解きではなかったのですが、展開に引き込まれ楽しく読めました。
最後も良かったです。
千夏は昆虫捜査官の赤堀先生のような気持ちの良い女性でした。 -
読みやすいし民俗学にも興味があるのでおもしろかった!
四日間家族で知った作家さん。
好みだわー。
シリーズ化してまたゆるい感じの謎解きが見たいな。
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民俗学の口頭伝承?
面白そう!!
認知症の介護ホームに通い、話しを聞こうとする千夏。一癖も二癖もあるホームの面々。
横文字多用のちょっと苛立つカウンセラーも現れ、引き込まれながら読んでいたところに、
突然登場する、母親の抑圧に耐えかね両親殺害の末の自殺を考える高校生の大地。
千夏と大地。2人がどう絡んでくるのか、民俗学の行き着く先は??
途中ちょっとホラー感もあり、ぞわぞわドキドキしながら読みました。
思いも寄らない帰着先で、あー、でも伏線張ってあった!!ノーマークだった!そこに辿り着くのか!と。
面白かったー!!
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最初は取っつきにくくて、老人たちの行為に胸が締め付けられるようで最後まで気持ちがもつのか不安だったけれど、あれよあれよという間に謎解き仕立ての世界に。母と葛藤する少年の奮闘ぶりも素敵なスパイスとなって主人公が霞んでくるほどにくってくるさまがよかったように思う。頭でっかちの人をギャフンといわせることがこんなにも爽快だったとは。読後感は極めてよかったー。
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大学院で口頭伝承を研究する女子大生が、不登校の男子高校生と共に、認知症グループホームに暮らす老人の言葉の謎を解き明かす民俗学ミステリ。
介護の現場の苦労や疲弊する様子がリアルに描かれ、社会問題としての提起がなされる一方、六車由実氏の著作『驚きの介護民俗学』を参考とした聞き取りの手法による物語の構築が実に巧み。
曲者揃いの老人たちを相手に、タフで大らかな主人公が真摯かつ陽気に語らい、入所者の深層心理を探り当て、施設外で起きている事件を解決に導く下りはドラマチックで、サスペンスとしての迫力も充分。
読後感も爽やかで、人々の出逢いと触れ合いが、その境遇に希望の光を差す佳作となっている。 -
とっても興味深い作品だった。口頭伝承の研究が思いがけず行方不明事件の解決へと繋がっていく。個人的には事件そのものよりも、主人公と老人ホームの曲者入居者達とのやり取りが何より面白かった。現実社会でも専門家たちや評論家たちは素人の意見なんぞハナから聞く耳持たない場合が多いが、たいした知識も持たない人の方がある意味先入観も持たずに考える事が出来るのでしっかり聞いて吟味してからの方が恥をかかなそうな気がする。映画にするとクスッと笑えて暖かみのあるミステリーになりそうなので観てみたいな。
ちょっと変わった経歴の持ち主を主人公に据えることが多いみたいですね
そしてご自身は服飾デザイナーでもあるんですって
言われてみ...
ちょっと変わった経歴の持ち主を主人公に据えることが多いみたいですね
そしてご自身は服飾デザイナーでもあるんですって
言われてみれば服装に関する描写がやたら詳しかったな
服は興味ないんだよね?
服のシワとかで謎解きするの♪
服は興味ないんだよね?
服のシワとかで謎解きするの♪
読んでみないとだけど
基本ファッション系は興味ないかな〜
装備系は興味津津だけど
鎧とか
読んでみないとだけど
基本ファッション系は興味ないかな〜
装備系は興味津津だけど
鎧とか