フォークロアの鍵

著者 :
  • 講談社
3.60
  • (20)
  • (48)
  • (46)
  • (7)
  • (3)
本棚登録 : 297
感想 : 67
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062205771

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「旅人はみな民俗学者であり、人はみな人生を旅する旅人である」と言ったのは十七世紀の左官屋ヒマーワリ・メーロンですが、要するに人の営みや想いってものを知ることが民俗学なのかなと思ったりするのです

    というわけでみんみん激推しの作家、川瀬七瀬さん初読でございます
    ただこれだけは言っておきたい
    別に川瀬七瀬さんだからじゃなくて「民俗学」を題材にしてたからこの本読んだんですからね!

    Σ(゚Д゚)

    ってそもそも「民俗学」に興味持ったのがみんみんきっかけだったw
    ただ本作は民俗学3介護問題7って感じでしたね
    溶け合ってはいたけどね

    はい、主人公の千夏は民俗学を研究する大学院生
    中でも「口頭伝承」がテーマで、認知症を患っても”消えない記憶”を調べるために認知症のグループホームを訪れます

    うーん、まずこのテーマが良い
    非常に興味深く、いきなりがっと掴まれました

    そして川瀬七瀬さん、人の描き方が抜群に上手い
    登場人物全員にちゃんと背骨がある
    とくにグループホームのおじいちゃん、おばあちゃんがみんなくせがあって魅力的
    嫌なカウンセラーにもちゃんと血が通ってて本気でイラッとする
    いいね〜
    生きた人をちゃんと描ける作家さん
    他のもちょっと読んでみたいかも

    • ひまわりめろんさん
      川瀬七瀬さん
      ちょっと変わった経歴の持ち主を主人公に据えることが多いみたいですね
      そしてご自身は服飾デザイナーでもあるんですって
      言われてみ...
      川瀬七瀬さん
      ちょっと変わった経歴の持ち主を主人公に据えることが多いみたいですね
      そしてご自身は服飾デザイナーでもあるんですって
      言われてみれば服装に関する描写がやたら詳しかったな
      2023/10/13
    • みんみんさん
      クローゼットファイル面白いんだけど…
      服は興味ないんだよね?
      服のシワとかで謎解きするの♪
      クローゼットファイル面白いんだけど…
      服は興味ないんだよね?
      服のシワとかで謎解きするの♪
      2023/10/13
    • ひまわりめろんさん
      そうね〜
      読んでみないとだけど
      基本ファッション系は興味ないかな〜
      装備系は興味津津だけど
      鎧とか
      そうね〜
      読んでみないとだけど
      基本ファッション系は興味ないかな〜
      装備系は興味津津だけど
      鎧とか
      2023/10/13
  • 民俗学の口頭伝承の研究をしている千夏が、グループホームの入居者から聞いた言葉を頼りに謎に迫っていく話の中に、介護業界の問題点や家庭の問題など現実社会問題になっていることがメインとして書かれてるので、純粋に民俗学の知識を使った謎解きではなかったのですが、展開に引き込まれ楽しく読めました。
    最後も良かったです。

    千夏は昆虫捜査官の赤堀先生のような気持ちの良い女性でした。

  • 読みやすいし民俗学にも興味があるのでおもしろかった!
    四日間家族で知った作家さん。
    好みだわー。
    シリーズ化してまたゆるい感じの謎解きが見たいな。

  • 民俗学の口頭伝承?
    面白そう!!
    認知症の介護ホームに通い、話しを聞こうとする千夏。一癖も二癖もあるホームの面々。
    横文字多用のちょっと苛立つカウンセラーも現れ、引き込まれながら読んでいたところに、
    突然登場する、母親の抑圧に耐えかね両親殺害の末の自殺を考える高校生の大地。
    千夏と大地。2人がどう絡んでくるのか、民俗学の行き着く先は??

    途中ちょっとホラー感もあり、ぞわぞわドキドキしながら読みました。
    思いも寄らない帰着先で、あー、でも伏線張ってあった!!ノーマークだった!そこに辿り着くのか!と。
    面白かったー!!

  • 最初は取っつきにくくて、老人たちの行為に胸が締め付けられるようで最後まで気持ちがもつのか不安だったけれど、あれよあれよという間に謎解き仕立ての世界に。母と葛藤する少年の奮闘ぶりも素敵なスパイスとなって主人公が霞んでくるほどにくってくるさまがよかったように思う。頭でっかちの人をギャフンといわせることがこんなにも爽快だったとは。読後感は極めてよかったー。

  •  大学院で口頭伝承を研究する女子大生が、不登校の男子高校生と共に、認知症グループホームに暮らす老人の言葉の謎を解き明かす民俗学ミステリ。
     介護の現場の苦労や疲弊する様子がリアルに描かれ、社会問題としての提起がなされる一方、六車由実氏の著作『驚きの介護民俗学』を参考とした聞き取りの手法による物語の構築が実に巧み。
     曲者揃いの老人たちを相手に、タフで大らかな主人公が真摯かつ陽気に語らい、入所者の深層心理を探り当て、施設外で起きている事件を解決に導く下りはドラマチックで、サスペンスとしての迫力も充分。
     読後感も爽やかで、人々の出逢いと触れ合いが、その境遇に希望の光を差す佳作となっている。

  • とっても興味深い作品だった。口頭伝承の研究が思いがけず行方不明事件の解決へと繋がっていく。個人的には事件そのものよりも、主人公と老人ホームの曲者入居者達とのやり取りが何より面白かった。現実社会でも専門家たちや評論家たちは素人の意見なんぞハナから聞く耳持たない場合が多いが、たいした知識も持たない人の方がある意味先入観も持たずに考える事が出来るのでしっかり聞いて吟味してからの方が恥をかかなそうな気がする。映画にするとクスッと笑えて暖かみのあるミステリーになりそうなので観てみたいな。

  • 勧められて初めて読んだ作家さんでした。

    個性豊かな老人たちと民俗学を研究する女性、そして影のある少年。

    亡くなった母が入所していた施設にも、虚ろな老人たちがいたこと、衰えていく母、介護士たちの多忙。見てきたとおりの現実が描かれている。
    千夏の様なただじっくりと話を聞いてくれる人がいたら良いのに…と感じた。

    風の里と老人たち、チーフやミントがこのまま平和に暮らしていけると良いな。
    千夏の研究や大地の成長も気になるな。

  • 序盤は読み進めるのに時間がかかってしまいましたが、中盤から一気に面白くなってそこからはスラスラ読めました。最後は思いもよらない展開だったので、それまでの謎が宙ぶらりんになってしまったのがモヤモヤします。

  • 思わぬところからつながっていくかんじがおもしろい。
    車窓から一室の様子を見たというのだけ、視力どんだけいいんだ?!というかんじでした。

著者プロフィール

1970年、福島県生まれ。文化服装学院服装科・デザイン専攻科卒。服飾デザイン会社に就職し、子供服のデザイナーに。デザインのかたわら2007年から小説の創作活動に入り、’11年、『よろずのことに気をつけよ』で第57回江戸川乱歩賞を受賞して作家デビュー。’21年に『ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介』(本書)で第4回細谷正充賞を受賞し、’22年に同作が第75回日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門の候補となった。また’23年に同シリーズの『クローゼットファイル』所収の「美しさの定義」が第76回日本推理作家協会賞短編部門の候補に。ロングセラーで大人気の「法医昆虫学捜査官」シリーズには、『147ヘルツの警鐘』(文庫化にあたり『法医昆虫学捜査官』に改題)から最新の『スワロウテイルの消失点』までの7作がある。ほかに『女學生奇譚』『賞金稼ぎスリーサム! 二重拘束のアリア』『うらんぼんの夜』『四日間家族』など。

「2023年 『ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介』 で使われていた紹介文から引用しています。」

川瀬七緒の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×