石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの

著者 :
  • 講談社
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感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062206877

感想・レビュー・書評

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  • 一気に読了。
    外務省の横領事件は、あまり記憶になかった。しかし、警察でサンズイ摘発にここまで情熱を傾けている人達がいる事に驚いた。
    儀を見てなさざるは勇無きなり、か。
    それが清武氏のナベツネへの反意にも繋がると推量。

  • ノンフィクションだからか、ちょっと読みにくい。わくわく感はない。

  • ノンフィクションのせいかあまり面白くない。

    巨人軍の代表だった清武ということで読んでみました。
    さすが新聞社の偉い人だけあって文章は上手い。

    ただノンフィクションとしてはリアル感や緊迫感がなくて、小説風の語り口です。
    その割に、小説のようなドラマもなく、キャラもいない。

    正直、前半は何の事件なのかわからず、展開の遅さに放り投げようとしたら、やっと後半から機密費の流用事件が露わになり、面白くなってきました。

    とは言っても、やはり前半の散漫な展開はイマイチで、もっとズバッと事件に斬り込んでくれたほうが良かったのでは?と思います。

    まあ、小説(家)じゃないから仕方ないのかな。

    ぶっちゃけ、なんでこんなに高評価なのかわからず。
    あまりオススメしません。

  • 265
     人が取り調べで落ちる瞬間があるとすれば、それは人間同士が腹を割って付き合っているうちに、ふわっとした、どこか懐かしいような浮遊感が生まれたときだと、荻生田勝は思う。

    274
     松尾が上申書にあるような罪を犯しているのならば、同情の余地はない。しかし、それは償える。生まれつきの犯罪者はいない。環境が人間を変えていくのだ。不正を許す環境に身を任せたときに、人間が犯してしまった部分が犯罪であって、その部分だけは責任を取ってもらわなければならない。
     俺たち捜査二課の刑事というものは、取り調べて、落とし、刑務所に送ることが最後の目的ではない。人間がその罪を償った後、対等の関係になって、できれば付き合うということが本当の役目なのだ。捕まえることだけが目的ではない。

    276
     二課の先輩は「涜職刑事」と自分達を評していた。職を涜(けが)す公務員は社会の敵であり、汚職や公務員犯罪こそが国を滅ぼす。国が衰退しないために、俺たち「涜職刑事」がいる - と胸を張っていた。…
     やがて鈴木(敏)自身も無名の”石つぶて”の一人となる覚悟を抱くようになる。そして、親しい人にこう漏らすようになっていた。
     「おれはただの田舎育ちの百姓のせがれで、国の大きなものを背負う柄じゃないんですよ。それでも、少しでも国の力になりたいという気持ちはありますよね。そのために何ができるかって思うと、汚職がはびこっている国は発展しないんだ、という気持ちにたどりつくんだ。そして、執着が生まれていったんだよ」

  • 【捨て石の矜持】時にアングラな情報源に自ら当たりながら,「サンズイ」とも別称される汚職事件を手がける警視庁捜査二課。その中でも昔気質の捜査を貫く中才の下に,サミットに絡む巨大な利権を背景とし,外務省が談合を手がけているのではないかとの情報が舞い込んでくる......。2001年に発覚した外務省機密費流用事件を描いたノンフィクションです。著者は,『しんがり 山一証券最後の12人』等の著作で知られる清武英利。


    捜査の線が徐々に犯人に伸びていくミステリー的な観点はもちろん,今となっては時代遅れと評されてしまいかねない無骨な男たちのドラマとしても読み応え十分。実際にあった事件のため,こういう表現を使って良いのかわかりませんが,とにかく面白い読み物ですので,組織に媚びず,黙々と額に汗する職人たちの物語がお好きな方には絶対的にオススメです。


    〜生まれつきの犯罪者はいない。環境が人間を変えていくのだ。不正を許す環境に身を任せたときに,人間が犯してしまった部分が犯罪であって,その部分だけは責任を取ってもらわなければならない。俺たち捜査二課の刑事というものは,取り調べて,落とし,刑務所に送ることが最後の目的ではない。人間がその罪を償った後,対等の関係になって,できれば付き合うということが本当の役目なのだ。捕まえることだけが目的ではない。〜

    無骨な感じが☆5つ

  • 著者の清武氏は読売新聞社会部記者を経て、読売球団代表を解任され、ノンフィクション作家となった。
    これは実際の外務省室長の巨額横領事件を追った、捜査2課刑事の話を全て実名で書いた渾身の本。
    事件の捜査だけでなく、刑事の人物像も詳しく書かれており、読んでいてイメージが湧き情景が思い描ける。
    しかし着服の手口は単純極まりない。ホテルのレターヘッドをごっそり入手し、部下に適当(宿泊代100万円とか)な領収書を作成させる。それに支配人のサインらしきものを記入し不正に着服する。これで少なくとも1億円を超える金を手にし、愛人用マンションや競走馬などにつぎ込む。部署ぐるみでやっているのだから、当然ながら省全体で大小様々な不正をやって良い風土なのだろう。
    だが刑事は本命の汚職を立件できなかった事を悔やむ。
    この事件により総監賞をはじめ数々の賞をもらうも、上司にとってアンコントローラブルな昔ながらの2課刑事は扱いづらく、コンビの係長ともども左遷されてしまう。
    防衛庁の守谷次官の汚職も捜査していたが、中止させられ、結局地検特捜部があげた。
    もう「やってられるか!」の世界である。
    耐え切れず定年前に辞表を出した上司もいる。
    最近では2課の汚職摘発は年に一件も無いこともある。これは現在の捜査は刑事の行動全てを上司に報告され、対象と会うのも上司の許可を得て行う。こんなやり方では、保秘できず被疑者に警戒され、立件できないらしい。
    意味の無いコンプライアンスは官民問わず幅を利かせ、世の中を悪くしているのだ。

  • すべて実名のノンフィクション。やはり真実だから、本当に面白い、平日の夜2日で読み終わった。。

  • 文句なしに面白かった。官僚的組織の中で刑事には必要悪というのとうまくつきあわないといい仕事なんてできないのかもしれない。

  • 過去に起こった、外務省職員の汚職事件をテーマにした事実に基づく内容です。始め読んでいるうちは、フィクション?と勘違いしそうになりますが、それが事実に基づいた話だと分かると、そこまで詳細に書かれている事に脱帽します。ストーリーも犯人だけをメインでなく、事件の真相を追求する刑事たちの苦労や、その事件の背景にあるものと、読み出せば、その話に吸い込まれる事間違いありません。久しぶりに、読み応えと感動した一冊。ここまで上手く纏めているさk品も少ないのではないかと言う印象です。

  • WOWOWのドラマを見てから購入し、読了した。
    ドラマはほぼ原作どおり(もちろんノンフィクション)で驚いた。本当にドラマチックな展開。
    清武さんの文章力もあるんだと思う。
    読売のドロドロも書いてほしい。

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著者プロフィール

きよたけ・ひでとし/元読売新聞編集委員。2004年より巨人軍球団代表を務め、2011年に解任。現在はノンフィクション作家として活動する。2014年『しんがり 山一證券 最後の12人』(講談社文庫)で第36回講談社ノンフィクション賞を受賞。他の著書に『トッカイ 不良債権特別回収部』(講談社文庫)、『サラリーマン球団社長』『後列のひと 無名人の戦後史』(ともに文藝春秋)など。


「2023年 『どんがら トヨタエンジニアの反骨』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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