人間の未来 AIの未来

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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062209724

感想・レビュー・書評

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  • 山中教授はもとより、羽生さんの見識の広さがよく分かる対談だった。
    以下、心に留まったポイント。

    ・創造的な出来事の99.9%は過去にあった出来事の組合せ
    ⇒イノベーションとは「既存事項の新結合」である(by シュンペーター)に通じる

    ・人間は継続性や一貫性を好み、そこには安心や安定がある。それが人間の美意識の基になっている。
    逆に言えば、人間は未知のものや未経験のことには不安や危機感を覚える。それは人間が生き延びるために必要な感覚やセンスだったはず。
    ⇒AIには元々恐怖心がないから、継続性や一貫性に基づいた美意識から解放され、ただただ過去のデータに基づいて最適解を計算してくる。
    だから人間だと絶対に選択しないような「危険」な手を指してくる。

    ・AIはデータに基づいて人間が好むもの、選ぶものを予測するのは得意だが、時としてとんでもないものを好きになる、意外性を愛する人間の可能性は予測できないはず。それこそが人間にしかできない創造的行為だ。

    ・実験をしてみて、予想していなかったことが起こった時に、それに食らいつき、原因を探究していけるかどうか。それが人間として他人と違うことをやるチャンスだ。

    ・この情報氾濫社会においては、膨大な情報の「量」をただ丸暗記するのではなく、自分なりに栄養素として吸収し、未知の局面に遭遇した時に自然に対応できるような「質」に転換できるかどうかが鍵となる。

  • 「プレイヤーは楽。努力すれば他の人に頼らなくても成績は上がる。監督やコーチは他の人に動いてもらう必要がある」

  • 山中伸弥京都大学iPS細胞研究所所長と、羽生善治棋士の対談形式になっています。

    科学と将棋の世界でのAIの位置づけや今後どのようになっていくのだろうかというお話が、それぞれの専門の立場で語られて非常に興味深かったです。

    帯に書いてあるような「10年後、100年後の世界の予言」は出てこないのですが・・・。

    本書の中で、「将棋で言えば、現状、AIは過去のデータを基にその場その場で一番いい手を指してくるのに対し、今日は攻めて行こうとか、持久戦でいこうといった「対局の流れ」から次の手を指すことはできない」というのが印象的でした。(もちろん今は流れを読むような研究も進められているようですが。)

    そして、人間と機械(AI)の大きな違いの一つに、人間が必ずしも「最適解」を選んでいるわけではないという事も、言われてみればそうだなと思います。

    「成功する確率は1%ですよ」と言われたからといって、チャレンジするのを諦めるのか?というと、そうではない場合も多いですからね。むしろ失敗から得られるものも数多くある。人間の可能性は「わざわざ最適解を求めない事」に残されているのかもしれませんね。

    気軽に読める内容なので、頭を休めるのにもいい本だと思います。

  •  山中先生は当然として、羽生さんの知識というのか教養の深さに驚きました。AIについて、かくも深く知っているとは。

     シンギュラリティは、私は来ないと思っているのですが、そういうことよりも、大切なのは、人間を特徴付ける一つである「知能」とは何なのかを考えてみること、そしてまた、人間とは何なのかを考えてみることだと、この本を通して思いました。


     本書の最後の方で、山中先生の「生物って本当にすごいです、人間にしてもよくこんな精妙なものができたなと思います。例えば進化論が説明するような偶然の産物だけで本当に僕たちはできているのかなと感じる時もあります。」との言葉が一番心に響きました。

  • 【資料ID】 97180122
    【請求記号】 007.13/Y
    【OPAC URL】https://opac2.lib.oit.ac.jp/webopac/BB50093266

    ノーベル生理学賞・医学賞を受賞した山中伸弥さんと国民栄誉賞を受賞した
    プロ棋士羽生善治さんの対談です。ips細胞や将棋の話題から人間の未来が語ら
    れています。世界には未知な事がたくさんあり、人間の能力はまだまだ可能性
    がある・・・前向きになれるお話です。

  • 大好きな人2人。なんて贅沢!この2人が同じ時代に生き、私も生きているなんて…

  • あ互いの世界での尊敬の念が伝わる内容。
    将棋もサイエンスの世界も進化し続けるが、その中で人間の立ち位置を考える
    対談として興味深いほんです

  • 羽生善治さんと山中伸弥さんの対談です。「AI」がテーマのようでもありますが、私には「AI」を材料にしたお二人の自由な思索の交歓のように感じました。ものすごく勉強になりますし、それでいて頭の中がスカッと爽やかにイニシャライズされたような心持ちになれます。読後の清涼感は、お二人の“人柄”の賜物ですね。

  • 2人とも非常に難しいトピックを一つ一つ噛み砕いて、自分の言葉で語っているのが非常に印象的。
    AIのトピックをお互いの専門分野である将棋やiPS細胞研究の話をアナロジーに自分の中に腹落ちさせた上で会話をしているためだと思われる。
    AIに関して何か目新しい示唆があるかというとあまりないが、2人の賢さと知に対する誠実さが分かり読んでいて楽しい。
    以下印象的だった箇所(抜粋)
    [羽生さん]
    ・直感、読み、大局観
    直感で2.3手に絞り込み、読みでそこから2,3手先をシミュレーションする、3番目に大局観で全体の流れを俯瞰し先の戦略に基づいて打ち手を切る。

    そして上記は年齢により利用割合が変わってくる。頭の能力が高い若い内は読み中心、年齢を積むと経験に基づく直感、大局観を利用する。

    要はそれぞれの年齢に応じた強みを伸ばす事が重要

    [山中さん]
    ・新しい発見をする際のパターン
    1.天才型。アインシュタインのような天才が着想する。
    2.他の人も考えているアイデアを仮説検証の結果、予想外の結果が出てそこに食らいつく。
    3.みんなこれが出来たら素晴らしいと思っているけど諦めていることに挑戦する。
    私は2.3を追求する。

  • あまりにも強くなりすぎて、10年くらい前から将棋ソフトのマーケットが消滅
    オープンソース化して日々強くなっています。
    接待する将棋ソフト。負け方が露骨すぎて気持ちよく勝たせてくれないらしい。
    将来Ai が発達してもなくならない職業は、今現在存在していない職業です。
    人とチンパンジーで98%、ネアンデルタール人で99.5%
    殆どの人にネアンデルタール人のゲノムが混じっている。異種交配があった証拠。
    将棋は一つの局面で平均80通りの指し手、そこから3手くらいに絞っていく。直感、読み、大局観。その比重が年とともに変わっていく。
    ひらめきに必要なもの。インプットだけでは無く、整理したり無駄なものをそぎ落としたりする時間が必要だ。
    文明を脅かす12のリスク。に人工知能が入っていた。

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著者プロフィール

山中伸弥 1962年、大阪市生まれ。神戸大学医学部卒業、大阪市立大学大学院医学研究科修了(博士)。米国グラッドストーン研究所博士研究員、京都大学再生医科学研究所教授などを経て、2010年4月から京都大学iPS細胞研究所所長。2012年、ノーベル生理学・医学賞を受賞。2020年4月から公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団の理事長を兼務。

「2021年 『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山中伸弥の作品

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