華胥の幽夢 十二国記 (講談社X文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062555739

作品紹介・あらすじ

「夢を見せてあげよう」-しかし、荒廃と困窮を止められぬ国。采王砥尚の言葉を信じ、華胥華朶の枝を抱く采麟の願いは叶うのか。「暖かいところへ行ってみたくはないか?」-泰王驍宗の命で漣国へと赴いた泰麟。雪に埋もれる戴国の麒麟が、そこに見たものは。峯王仲韃の大逆を煽動した月渓は、圧政に苦しむ民を平和に導いてくれるのだろうか。陽子が初めて心を通わせた楽俊は、いま。希う幸福への道程を描く短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 短編嫌いがこんなところにも表れてしまった。。。

    もっとある国ならある国に没頭したいなぁ。
    楽俊の話が一番良かった。
    やっぱり自分は陽子さん、楽俊贔屓のようだ。

    泰麒の物語も好きだ。
    真っ直ぐな心がとても心地が良い。

    華胥の夢のタイトルにもなった「華胥」は自分的にはもう一つだった。
    兎に角切ない。国を自分の会社だと思って読み入ってしまった為、光ある結末でなくてちょっとだけ落胆。。。
    いやいや、物語はどれを読んでも本当に素晴らしい内容ばかり。
    小野先生の物語や文章は、最高に面白い(*^-^*)

  • 華胥の幽夢…「夢」でなく「幽夢」であることが読後一層恐ろしく感じられます。
    世界が不安である今、この短編は粛々と身に沁みます。この本が20年以上も前に書かれたことに驚きます。小野不由美さんってすごい作家さんなのだな、と既に以前よりご存知の方々には何を今更、だとは思うんですが本当に改めてそう分かりました。普段ファンタジー系小説というものをあまり読まないのですがこれぞフィクションの力と思います。

  • これまでのエピソードを補完するような巻で、サイドストーリーという感じ。
    やっぱり気になるのは驍宗と泰麒の話。このあと戴では謀反が起こり、泰麒は蓬莱に流されて、空白の12年が生まれるんだよなぁと。先を知ってるだけに幼く自信のない泰麒の姿に心がキュッとなります。

  • 心に残るキーワードがいくつか見つかった短編集。十二国記ファンならわくわくして読めるはず。順に読んでいないので、違った楽しみ方ができている気がします。
    悩める幼い麒麟に仕事とお役目の違いについて語る廉王。組織のマネジメントや家庭の育児についても言えるアドバイスが秀逸。
    陽子と楽俊のメッセージのやりとりから見える、友情と尊敬と、お互いの背伸び。
    国が傾く時の人間の悲劇。
    既刊を全て読み終えたら、もう一度目を通したいと思えた一冊でした。次、読まなくちゃ。

  • 戴国王驍宗の命で漣国へ赴いた泰麒を待っていたのは。芳国王仲韃への大逆の張本人月渓に慶国王陽子から届けられた親書とは。才国の宝重華胥華朶に託された理想の王国への憧憬の行方は。そして、陽子、楽俊、十二国はいま―。あなたの心をふるわせ胸を熱くする十二国記珠玉の短編集。
    「BOOK」データベース より

    いろんな教訓がつまっている一冊.

  • 再読です。十二国記の短編集。
    初めて読んだ時は、長編の十二国記に慣れていたこともあって「十二分におもしろいけど、なんだか物足りない」と思っていたのに、久々に読んだらいまだに余韻が抜けないくらい夢中になりました。
    強く待ち望んでこの短編集を入手したのを覚えていますが、それすらもう、10年前に刊行されたものなんですね。

    改めて読んで惹きこまれた要素は、どの物語にも共通して存在する高いメッセージ性でした。十二国記は世界観も登場人物もとても魅力的ですが、それだけじゃなくこんなにも心に訴えてくるものがあるからこそ、根強い人気があるのかもしれないと思いました。

    「冬栄」
    大役を担っているのに、何もできない自分。
    悩む泰麒の物語。廉王の温かな人柄とお言葉に心が温かくなりました。
    ああそうか、なんだそんなシンプルなことなんだ、と泰麒に感情移入していたせいか涙が出そうなくらいほっとしました。

    「乗月」
    大逆を犯した芳国の月渓が登場します。
    十二国記好きの私からすれば、知れて嬉しいサイドストーリーでした。
    いろいろと救われるお話。人は、変われるものですね。

    「書簡」
    陽子と楽俊の文通。そしてそれぞれの生活を綴ってます。
    どんな環境にいても前向きに生きることの素晴らしさを垣間見た気がします。
    現状を嘆いて愚痴をこぼし合うより、二人みたいな関係が素敵だと心から思いました。

    「華胥」
    理想の国を目指し、正道を歩もうとした才王の物語。
    とても、はっとさせられました。間違っていないことが、正しいことじゃない。
    「―責難は成事にあらず」  泣きそうになりました。

    「帰山」
    延王と利広の友情物語。
    こんな接点があったとは、と嬉しく思いながら読みました。
    王になることの果てしなさを知り、改めてすごい世界だと感じました。
    帰る場所があるのは、本当に大切なことだと思います。


    ああ、やっぱり十二国記大好きだなと、心から思いました。
    新刊が出てくれたら嬉しいなあ。

    • going2wait4sunさん
      unyoさん、こんにちは。はじめまして。
      自分も゛華胥の夢゛が好きです。
      ある時期に 乗月 が非常に心に引っ掛かって、色々なID名を゛g...
      unyoさん、こんにちは。はじめまして。
      自分も゛華胥の夢゛が好きです。
      ある時期に 乗月 が非常に心に引っ掛かって、色々なID名を゛going2wait4sun゛に変更しました。
      バイトが長続きせず、殆どがドタキャン状態で終わっていたからとか、好きになってくれた人の存在の大切さに気付けなくて、傷付けてしまったこととかが頭のなかを駆け巡って辛かったです。
      でも、大罪を犯した自分が、悔いて改める自分でいるために変わろうと思えました。
      華胥 の
      責難は成事にあらず
      の下りも、批判精神が大きい自分にも痛かったです。本当にその通りだと。
      unyoさんのレビューを読んだら涙が出てきました。本当に、ありがとうございます!
      2012/01/15
    • yocoさん
      はじめまして。コメントありがとうございます。

      この本は、本当にいい本ですよね。
      人生の中で、出会えて本当によかったっていう本があると思いま...
      はじめまして。コメントありがとうございます。

      この本は、本当にいい本ですよね。
      人生の中で、出会えて本当によかったっていう本があると思いますが、going2wait4sunさんにとってこの本はきっとそれだったんですね。
      人に言われても反発したり気付けなかったりするようなことが、すっと心に入ったりはっと気づけたり、本には不思議な力がありますよね。

      この本は私も大切に読んだ1冊なので、そう言ってもらえるとすごく嬉しいです。
      こちらこそ、ありがとうございます!
      2012/01/15
  • 十二国記シリーズの短編集。時系列・登場人物はバラバラではあるけれど、すとんと話に入っていけるのはさすがです!

    「責難は成事にあらず」。

    これはその短編のひとつ、「華胥」からの一節。
    意味は文字の通りです。読んだらよりしっかり分かると思います。

    読み返すたび、この言葉にはっとさせられる。
    私を含め、責難を成事(時には政治)と勘違いしている人の多いことか。

    小野さんは本当に人間というものをじっくり見ているんだなと思う。
    美化するでもなく厭世感に浸るでもなく、ただただ「人間」というものを書き出すからこそ、何度も読んでしまうのかも知れない。

  • 登場人物みんなが色々考えて悩んで道を進んでいく。乗月が一番好き。

  • 本編登場人物のその後やそれ以前を描いた短編集。 主要な人物達のエピソードも収録されていてとても好きな短編集です。 この巻で出てくる言葉「責難は成事にあらず」。 これっていろんな場面でいえるんじゃないでしょうか。 十二国記は多くのことを教えてくれます。

  • 王の過ちが何か。
    最後までわからなかったが、読了して納得。
    1番大切なのは信念
    他は全てあったが、信念だけなかった。
    そこに信念はあるか?
    自分の仕事にも通ずるところがある。
    何のための行事か
    何のための自分か
    何をするにも信念を忘れないようにしよう

  • 「責難は成事にあらず」。この言葉の意味の解釈について、「大事なことは相手を批判しているうちに、何の根拠もなく自分の考えは正解なのだと思い込まないようにすることである。」とブログで述べている方がいた。本で読み取った意味をただ真に受けるのではなく、そこから真意を測ることも忘れてはならない。最初はこの言葉を自分への教訓として覚え書きのために感想を書いていたが、さらに大切なことを教えてもらったように思う。

  • 短編集。慶と雁、奏、漣と戴、芳、才のお話。
    メインストーリーのその後の補完となる話が多い。

    ・冬栄
    泰麒が漣に行く。廉王との絡みの中で泰麒は、自分に課せられた使命を浮き彫りにしていく。廉王は驍宗が泰麒に求めていることをズバリと的中させている。
    戴はいい国になっていくだろうなぁ(遠い目

    ・乗月
    話を読んでタイトルのセンスの良さを痛感。
    悪政を敷く峯王を亡き者にし、全権を掌握したかに見えた月溪だが、王座につくことはなく一州侯に戻ろうとする。

    月溪を含め臣下は皆、峯王の事が好きだったのが意外だった。
    敬愛するが故に、悪政を敷く行いに失望する。しかも、峯王は人格者であった。決して民を蔑ろにしていたわけではない所為で、余計に月溪達は辛かった。

    最後のシーン、月溪が祥瓊からの謝罪の手紙への返信にこれからの覚悟が見え隠れしているのが良い。

    ・書簡
    陽子と楽俊のアフターストーリー。
    ここは語る事がないほどシンプルに書簡の往復が一回あるだけ。
    印象に残る事が少ないくらい、シンプルなやり取りだか、裏側の実情まで悟れる2人の関係はまさに親友。

    ・華胥
    本作のタイトルだけにかなり面白かった。
    砥尚達はとても優秀な人物であったが、本質を見誤ったせいで、20余年という短さで王朝は滅びつつある。
    これは2011年の民主党政権交代を彷彿させる(と言うか予言しているレベル)
    "責難は盛事にあらず"この言葉とその意味を知れたことが有難い。
    真意を知った朱夏達は今度こそ良い王朝を作れると願いたい。

    ・帰山
    実在する王朝で600年と言う圧倒的な長さで存在する奏国。
    放蕩息子の利広は旧友?の風漢とたまたま出会い、情報を交換する。

    景王陽子が望む、国レベルでの相互連携を実は秘密裏に実行していた奏。
    多分、意識的にネットワークを構築していると言うよりかは結果的にそうなったってのが正しそう。
    さすが600年国を治めていると他の国とは余裕度のレベルが違う。
    多分、難民を保護する施設を全国展開出来ているのはここだけじゃないか?

    長い歴史の国が滅ぶ原因の一つに利広は、飽きてしまうことを指摘している(実際、延王は自身が滅ぶとしたら、それは滅ぼそうと決めた時だと宣言していたので割と間違ってない)
    利広自身ももしかしたら飽きてきているかも知れないが、家族が変わらないかぎり、大丈夫だろう。

  • 「責難は成事にあらず」
    今の政治家に言ってやりたい。

  • それぞれ懐かしい人たちが出てきて、読んでて楽しかった。「華胥の夢」で批判するのは簡単だが答えがわからないのなら批判する権利はない?的なところがあって、すごく感動した。確かに自分もしてしまっているような気がする。最後の章で、利公が慶は楽しみだと言っていて、安心した…。奏の人たちは協力しあってるからこそあの国ができていて、雁は延王や延麒が部下たちを信用してるからこそあの国ができているのだと思う。どの国もそれぞれのやり方を自分たちで見つけて国をつくっている=個性も協調性も大事なのかなぁと思った。

  • 寄り道しつつ、半年くらいかけて十二国記既刊読み終えましたので、ひとまず記録。
    今までなんで手をつけなかったのか!というくらいおもしろかったです。
    やっぱり小野不由美さんはすごいな。
    これでもかというほどファンタジーなのに、ふしぎな現実感のある、設定の緻密さがたまらないです。何と言っても人物がみんな魅力的。
    ホワイトハート版の絵も好きです。

    続きはいつになるのでしょうね!

  • (もう何度も読んでいるのだけれど、新潮社から再刊されるので十二国記シリーズを再読しているところ。)
    しかし、これを読んでしまえば、
    十二国の続きが(Yomyomに掲載されている短編しか)ない。
    泰麒の、泰王の、ひいては戴国の行方は?
    己の身の丈を知っている陽子は、慶国をどういうふうな国にしていくだろう?
    気になることは多すぎて、悶々とすること必至。

    そう思うと、なかなか手が伸びないのです……

  • 図南の翼とあわせ、凡百のビジネス書よりずっとすばらしいですね。
    率いるものとしてなにをすべきなのか、発行時よりむしろ現在にこそ読むべき良書だと思います。

    作中にある「責難は成事にあらず」という言葉は、はからずも現実が証明してしまったようにまさに至言でした。
    安易な非難に迎合しがちな僕らにとって、常に胸中に置くべき言葉であると思います。

  • 『責難は成事に非ず』 中学生の頃に読んで以来、ずっと座右の銘になった言葉はこの本からいただきました。

  • 十二国記短編集。
    この時にこの国ではこんなことが起こってたのね、とわかる一冊。
    「責難は成事にあらず」、この言葉がすごい心に残った。

    これで今のところ刊行されている全ての十二国記を読み終わってしまった…。
    これはみんなが続きを!と待ち望む気持ちがわかるわ。

  • ★十二国記 第7弾(短編集)★
    <br>
    <br>「夢をみせてあげよう」・・・。
    <br>采王(さいおう)砥尚(ししょう)の言葉を信じ、
    <br>華胥華朶(かしょかだ)の枝を抱く麒麟・采麟(さいりん)
    <br>しかし、間違ったことをしてはいないはずなのに、荒廃と困窮を止められない・・・
    <br>
    <br>「暖かいところへ行ってみたくはないか?」・・・
    <br>泰王(たいおう)驍宗(ぎょうそう)の命で
    <br>漣国(れんこく)へ赴いた泰麒(たいき)が見たものは・・・
    <br>
    <br>峯王(ほうおう)仲韃(ちゅうたつ)の大逆を煽動した月渓(げっけい)は、
    圧政に苦しむ民を平和に導いてくれるのだろうか・・・
    <br>
    <br>陽子が初めて心を通わせた半獣・楽俊(らくしゅん)は今・・・
    <br>
    <br>泰麒びいきの私としては、行方知れずになる前の泰麒と驍宗の事が描かれているので、あどけない泰麒の姿に涙・涙なのであります。

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著者プロフィール

大分県出身。講談社X文庫ティーンズハートでデビュー。代表作に『悪霊シリーズ』 『十二国記シリーズ』『東亰異問』『屍鬼』など。重厚な世界観、繊細な人物描写、 怒濤の展開のホラー・ミステリー作品で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『悪夢の棲む家 ゴーストハント(1)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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