睡眠の科学―なぜ眠るのかなぜ目覚めるのか (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062577052

作品紹介・あらすじ

人生の3分の1もの時間を費やしてまで、ヒトはなぜ眠らなければならないのか?いまだ答えが出ないこの究極の問いに、睡眠研究をリードする著者が迫る!眠りが脳にもたらす恩恵、睡眠と覚醒を切り替えるしくみ、不眠や夢遊病の原因…。睡眠を科学することは、脳の根本的なシステムを知ることである。

感想・レビュー・書評

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  • 仕事が忙しいとき、「睡眠時間を省けないか、なぜ眠らなければならないのか。そしたら覚醒してる時間を増やせるのに」と思い本書を購入。日々たまる睡眠の必要性を負債(睡眠負債)ととらえ、それを解消する行為を睡眠とする、という考えが興味深かった。週末、寝だめはできないけれど、睡眠負債をため一気に解消することはできるというのも納得。

  • 脳の機能について興味があり、その観点で本書を読みました。睡眠していても脳は活動している。たくさんの知識が得られました。15個のコラムは、基礎的な事から説明してあり、とても参考になりました。

  • 睡眠で大きな役割を果たす 脳内ペプチド・オレキシンの発見(1998年)で世界的に有名な櫻井さんの書。

    1部では、睡眠のノンレム睡眠と、レム睡眠が交互に訪れ、それが質的に全く異なることを示している(深い、浅い眠りではない)

    その上で、2部に偶然発見されたオレキシンの果たす役割、それがないマウスの研究から睡眠の研究が進んだことの報告、3部は睡眠についての問答集(Q&A)の後に、著者の眠りについての個人的な見解を述べている。

    出版年も含めて、睡眠の最新研究がわかるので、★5つとした。

  • 2015/07/03/11刷発行
    1998年2月にオレキシンを発表した方の著書。
    「オレキシン」覚醒を制御する神経ペプチドで、語源はギリシャ語の「オレキシス」(食欲)を意味する。

    まず脳の構造から。
    脳は階層構造を持っている。脳幹が脳全体を賦活するスイッチのようなもの。

    一番内側は脊髄と連続していて、下から延髄、橋、中脳がある。この部位を合わせて脳幹という。脳幹は呼吸や循環などを統制する中枢であり、生命維持装置としての働きをしている。脳幹の機能が止まってしまうことを脳死という。

    レム睡眠時は夢を見ていて、記憶の整理、再構成が行われている。ノンレム睡眠時は眠りが深く、この時に記憶の強化が行われている。

    「睡眠こそ、この世の饗宴における最高の滋養(主菜)である」とマクベスに書かれている。睡眠時間は個人差があり、その人によってベストな睡眠時間は異なる。平均的には7~8時間である。

    メタ認知は認知していることを認知する。認知の認知みたいな意味合い。

  • 良い一日を過ごす為に睡眠がいかに大切か、とてもよくわかった。
    目から鱗の話ばかりで、脳科学に興味が湧いた。

  • ちょくちょくコラムが邪魔に思う。過去の実験の事例等が挟まれるのが分かりにくくしている。結局睡眠には謎が有りまだ解明されていないと。寝溜めは出来ないが返済は出来るということが何となく分かった。

  • ノンレム睡眠は余分な記憶や繋がりの削除、レム睡眠は記憶の順位付けやタグ付け

  • 睡眠不足→注意力の低下、肥満になる確率も変わる。
    取らなかったら死んでしまうが、死に至る前に睡眠を取れば完全に回復する。
    264時間眠らなかった人がいる。
    マイクロスリープという現象がある。
    レム睡眠→別に浅い睡眠ではない。レム睡眠時は感情に関わる運動するような夢を見ることからも手続き記憶との関連性の指摘。
    睡眠は記憶するだけではなく、向上させる。
    ノンレム睡眠→脳の休息時間。
    レム睡眠→覚醒状態よりも脳が行動。

    睡眠の段階
    覚醒→ノンレム睡眠①→ノンレム睡眠②→ノンレム睡眠③→ノンレム睡眠④→レム睡眠

    睡眠と覚醒の切り替え
    ①モノミアン作動性システム
    覚醒に関して
    ②コリン作動性システム
    レム睡眠に関して

    食事は適切な量を寝る4,5時間前に取る

    グリシンといつアミノ酸を取ると眠りに入りやすい。

    体温を上げず、しかし暖かくして眠ることが大切。

    眠気を払いたいときは手足を冷やすと良い。
    カフェインを飲むコーヒーなどはホットで飲むのが良い。

    必要な睡眠時間は様々。
    起床する時間を寝る前に意識することでコルチコトロピンというホルモンが増えて目が覚めやすくなる。

    食のリズムを合わせることで時差ぼけの解消が可能。

    寝だめは無理だが、睡眠負債を返すことは可能。

  • 945円購入2011-03-01

  • ・睡眠の75%はノンレム睡眠であり、残りの25%がレム睡眠である。これらはランダムに現れるわけではなく、規則正しく繰り返される。健康な眠りでは、レム睡眠は必ずノンレム睡眠のあとに現れる。レム睡眠が終わると、またノンレム睡眠に戻る。これをおよそ90分ごとに繰り返している
    ・脳は全身でもっとも血液が必要な臓器
    ・何時間寝ればいいか?一般的には7時間前後。しかし、睡眠時間の必要性は個人によって大きな差があるので、翌日、眠気を感じずに、すっきりと過ごせる時間だけ眠ればよい
    ・脳は、ノンレム睡眠のときに情報の取集を停止することによって、シナプスの新生を避け、その状態でシナプスの最適化を行っているのだろう
    ・レム睡眠中、海馬と偏桃体を駆動させて何かをやるとしたら、それは記憶の重要性に応じた重みづけと整理にほかならないのではないだろうか

  • うさんくさい健康本なら『10倍睡眠の効率が上がる方法!』みたいにタイトルをいじれたろうが、
    ブルーバックスらしい率直なタイトルの付け方。
    と言っても、この内容の薄さで科学を語るのもやや大仰ではあるが。

    本書は睡眠時の脳内物質の相互作用を中心に解説する睡眠のしくみ本。
    特にレム睡眠とノンレム睡眠の違いは詳細に語られるが、
    人の生活と睡眠の関わりを語るには事例と統計が不足している。

    科学要素の用語は多くとも、文体は初学者向けで読みにくいことはないので、
    手にとって損をするような本ではない。
    多少なりとも興味があれば、読んでて眠くなることはないだろう。

  • ひさびさの“BLUE BACKS”新刊がでたということで、ブクログに献本を申し込んだけれど、当選運に恵まれないのが想像されるので、この本の2010年版を読んでみようと思った。

    夏休みに聞いていた子ども電話相談室同様、知りたいことにみごとに答えてくれて嬉しい次第です。
    「睡眠」に限定されなずに、“脳のしくみ働き”や“からだの働き”など周辺の知識も、湧き上がる不思議の溝を埋めてくれた。
    まだまだ「解明されていないことが多くある」という言葉を著者は多用していたが、これは科学者共通の「知ること」への欲望でもあり、この地上の尽きぬ未知の証し、そこへの欲求が人類が生きるうえでの最上の悦びに思えてきた、至福の読書時間だった。
    しばらく枕の下に忍ばせて、「睡眠学習」したくなるそんな一冊だった。
    新刊本の献本当たりますように。

  • 睡眠は記憶のデフラグとクリーンアップらしい。海馬から情動と強く結びついた記憶をどこかに移すときに目が動いてしまう。ついでにどこかにある昔の記憶をどこかに移すときにこともあるから。

  • 本当に睡眠の”科学”です。かなり専門用語多いです。じっくり行きつ戻りつ読んで、わかるかわからないかギリギリな感じで読み進めましたが何とか最後まで行き着きました。さすがブルーバックス、「科学をあなたのポケットに」でした。たまにはいいです、こういう手強い感じ。
    当たり前すぎて考えもしない行為、睡眠。まだまだ謎が多いということに驚く。単純に見えて本当はとても複雑で包括的な脳の作動システムによって睡眠という行為が生まれているのだなぁと思うとやはりロボットに先を越されるのはまだまだよ、と安堵の胸を撫でおろす。

  • 配置場所:摂枚新書
    請求記号:498.36||S
    資料ID:95110192

  • 難しい内容でしたが勉強になりました。
    「睡眠」はまだ分からないことが多いようです。

  • 睡眠に関する科学的な検証を図った本。
    専門用語が難しく、だいぶ飛ばし読みをした。

  • 2016.09.23 読書中
    目から鱗
    ・もし睡眠をとる必要のない動物が進化の過程で生まれていたら、生存競争を勝ち抜く上で圧倒的に有利だったはずである
    ・受動的な状態と考えがちであるが、実は睡眠は脳が積極的に生み出す状態
    ・・・

  • なぜ睡眠が大事なのか? この問いの答えを知りたくて手に取ったが、実は「なぜ眠らなければならないか」ということへの答えはまだわからないらしい。それにまず驚いた。
    レム、ノンレム睡眠の話が特に興味深かった。

    断眠すると、アルツハイマー病の原因物質が海馬に蓄積される/レム (rapid eye movement) 睡眠中は覚醒時よりも強く脳が活動していて、夢はその反映/レム睡眠は、通常睡眠に入ってすぐその状態にはならないが、睡眠が短くなると、すぐにレム睡眠に入るようになる/非宣言記憶→手続き記憶や情動記憶のこと/ノンレム睡眠中に活動が高くなる「睡眠中枢」→睡眠をつくっている/呼吸や循環を統制する「脳幹」→脳幹の機能が止まると脳死/覚醒とレム睡眠に関わる「脳幹網様体」/体温調節に関わる「モノアミン作動性システム」→眠ると機能が停止→雪山で遭難してレム睡眠に陥ると生命の危機/生殖細胞以外のすべての細胞が「時計」をもっているが、視交叉上核が「標準時」/睡眠負債が大きくなると眠くなる/覚醒時に多く使った脳の部位ほど深い眠りがみられる/情動は覚醒レベルを上げる→チャンスを逃さず、危険を回避するため→不安を感じても不眠を起こす/記憶の重要度は情動が関わる/直感をつかって生存率をあげる「扁桃体」/食後に血糖値↑→グルコース濃度に影響→オレキシン作動性ニューロンの発火頻度↓→眠気につながる *血液が脳に集中するからではない/海馬で長期記憶用のかたちに変えて大脳皮質へ移す/抗ヒスタミン→眠気に/覚醒剤の作用でドーパミンが増加→それを繰り返したいと思う/睡眠がモノアミン類の感度をあげるなら、睡眠で気分が楽になる戦争になると睡眠不足でのミスは致命的→軍事的にも重要/脳みそには必要なもの以外はなかなか外部に取り込めない/寝る前に手足が冷えすぎても温かすぎても寝づらい/カフェインはアデノシン(睡眠負債に関わる)拮抗薬/体内時計には、光より食事のタイミングの方が強い効果がある/個人差を考慮した「テーラーメード医療」が行われるかも

  • ブルーバックスの睡眠に関する科学解説本。ブルーバックスの本は比較的真面目なものも多いが、この本も真面目で一般向け科学解説書としてよいレベルの本に仕上がっていると思う。

    睡眠は、レム睡眠とノンレム睡眠に分けられるが、その解説は非常に丁寧。レム睡眠はそれを妨げてもレム睡眠に陥りやすくなるか何らかの障害が発生するという点で必要なものであることがわかっているが、それでも、まだなぜ必要なのか、具体的に何が行われているのか、が分かっていないという。また、寝溜めはできないが、睡眠負債を長時間の睡眠で返すことは可能そうだともいう。どうりで土曜日起きられないわけだし、たぶん起きるべきではないんだな。

    著者は睡眠に関係し、ナルコレプシーという病気にも関係していたオレキシンという脳内物質を発見した第一線の科学者。著者のまとめは次の通り。

    ①睡眠を奪うと精神の変調が見られる
    ②睡眠を奪うと視床下部の恒常性維持機能の失調がみられる
    ③睡眠は記憶を強化する
    ④睡眠は絶対にとらなくてはならないものだが、ある程度の柔軟性もある
    ⑤ノンレム睡眠とレム睡眠では大脳皮質の活動パターンが大きく異なる
    ⑥レム睡眠では大脳辺縁系の強い活動が観察される
    ⑦ノンレム睡眠の深さと長さは、直前の覚醒時の脳活動の強さと長さに影響を受ける
    ⑧覚醒とノンレム睡眠、レム睡眠は脳幹の広範投射系によって制御されている
    ⑨広範投射系は視床下部の視索前野のGABA作動性ニューロンと、外側野のオレキシン作動性ニューロンによって制御されている

    そして、睡眠を必要とする脳の機能と、「眠気」を感じるメカニズムの2つを別のものとしてとらえることだという。著者の仮説は、ノンレム睡眠が、情報の収集を停止することでシナプスの最適化を行うためのもので、レム睡眠が記憶の重要性を整理するなどファイルシステムの整理と、視床下部の恒常性機能のメンテナンスを行っているとする。

    眠りって重要なんだというのが最近わかってきて、記憶力の低下は長年の睡眠不足の影響なのかと心配になってきた。単に老化の兆しなのかもしれないが。何よりも一定の睡眠時間を優先する生活をした方がよいのかしらんとちょっと本気で思ってみたり。

  • 睡眠研究の第一人者が、睡眠と覚醒のメカニズムを最新の研究成果を含めて解説したもの。2010年出版。
    本書の内容は概ね以下の通りである。
    ◆動物実験によると、完全に睡眠をとらない状態が続くと最終的には疲労状態からくる感染症やそれに伴う多臓器不全で死亡する。人間の過去の不眠の記録は、1964年に17歳の男性が作った264時間(11日間)であるが、当人は1週間で完全にもとの生活リズムを取り戻した。
    ◆ヒトは眠るとまずノンレム睡眠に入り、その後レム睡眠とノンレム睡眠を約90分周期で繰り返す。ノンレム睡眠とレム睡眠は全く異なった状態で、前者は“スリープモード”状態、後者は脳は活発に活動しているが、脳へのインプットとアウトプットは遮断された“オフライン”状態である。ノンレム睡眠は記憶の強化に、レム睡眠は記憶・学習に重要な役割を果たしていると考えられている。
    ◆覚醒、レム睡眠、ノンレム睡眠の切り替えは、「モノアミン作動性システム」(モノアミン作動性ニューロンが主役のシステム)と「コリン作動性システム」(コリン作動性ニューロンが主役のシステム)という脳幹にある2つの覚醒システムと、「GABA作動性システム」(睡眠ニューロンが主役のシステム)という視索前野にある睡眠システムの力関係で行われる。但し、動物やヒトにとっては睡眠の状態がデフォルトであり、視床下部外側野にあるオレキシン作動性ニューロンが覚醒システムを刺激することにより、覚醒状態が引き起こされ維持されている。
    ◆覚醒時は、其々のニューロンがばらばらに働き、発火しているために、其々の電圧は打ち消し合い、脳波は低振動で速くなる。一方、ノンレム睡眠時は、ニューロンはだんだんと同期化して、ゆっくり発火するため、脳波の電位は大きくなり、周波数は緩やかになっていく。
    ◆睡眠のタイミングを決めるのは、体内時計による正確な計時と、睡眠負債(覚醒時間の長さや心身の疲労に応じて溜まっていく)による計時の2つのバランスである。睡眠負債の考え方に基づけば、寝不足を後に長時間睡眠で補うことはできるが、予め長時間睡眠をして寝だめをすることはできない。
    ◆上記に基づき、睡眠や覚醒をコントロールする薬等は将来的にできる可能性はあるが、寝ないで済む薬は絶対にできない。
    ◆ヒトは成長につれて、全体の睡眠時間も深いノンレム睡眠の時間も短くなる。(成人は睡眠の後半で深いノンレム睡眠になることはない)
    ◆「なぜ睡眠が必要か?」は睡眠科学の究極の難問であり、未だ明らかではないが、著者の仮説では、ノンレム睡眠は、覚醒時に増加した必要以上のシナプス(ニューロンを結びつけるもの)を削除してシナプスの最適化を図るため、レム睡眠は、記憶を重要性に応じて整理するために必要と考えられる。
    我々が毎日欠かさず、一生の1/3~1/4の時間を費やしながら、普段気に留めることの少ない睡眠について、基本的かつ包括的な知識を得ることができる。
    (2016年1月了)

  • 眠りが脳にもたらす恩恵、睡眠と覚醒を切り替えるしくみ、睡眠障害の原因など、睡眠を科学することは、脳の根本的なシステムを知ることである!

  • 睡眠は長い進化の歴史の中でも淘汰されなかった必須事項である。脳科学の観点から体系的に論じられており非常に興味深い。
    ・通常REM睡眠が浅い眠り、NON-REM睡眠が深い眠りと言われるが、別の目的と考えたほうがよい。
    ・REM睡眠では感覚からの入力を遮断しており、大脳辺縁系が活性化している。記憶の重要性に重み付けをしていると考えられる。夢はその際のノイズである。なお、自律神経系の変動や体温調節機能が停止しており(雪山で寝ちゃだめなのはこのため)、視床下部の恒常性のメンテナンスが行われていると考えられる。
    ・NON-REM睡眠ではニューロンの発火が同期されており、不必要なシナプスを削除して「最適化」するプロセスと考えられる。
    ・覚醒と睡眠は覚醒システム(モノアミン・コリン作動性ニューロン)と睡眠システム(GABA作動性ニューロン)のシーソーゲームといえる。が、ほっとくと睡眠システムが勝るので、オレキシン(視床下部外側野)が覚醒状態を安定化させている。オレキシンを活性化させる3大要素は、体内時計、情動(興奮)、栄養状態(空腹)である。

  • 睡眠と覚醒の違いについて等、睡眠についての科学的知識を概観してくれる。ありがたい。
    睡眠がデフォルトの状態でむしろ覚醒しているのが例外的であるという言い方もできるという話が非常に面白かった。睡眠と覚醒はもっと地続きで考えうる。
    この本とは関係ないが、夢ではなく睡眠についての哲学というのは難しいだろうか。

  • 私たちにとって身近な問題である、「睡眠」を取り上げた一冊。なぜ生き物は眠るのか、「睡眠」についてわかりやすくまとめてあります。【中央館3F-文庫・新書 080/BU/1705】

  • 生物は進化の過程で生き延びるためのさまざまな能力をそれぞれに獲得したが、眠らなくて良い能力を身に付けた多細胞生物はいない。それだけでも睡眠というものが容易に制御できない、生命にとって根源的な動作なのだと分かる。

     栄養価の高い食事をして安全な生活を送る動物の方が、その逆の動物より長く眠るというエピソードが気になった(ライオン20時間、シマウマ1時間)。可能な限り長く眠ることが生命の基本方針なら、「何のために眠るのか」と問うよりも「何のために覚醒するのか」と問うべきなのか。

  • レム睡眠とノンREM睡眠の違いについて、歴史を踏まえて解説から始まる。知らなかった。実験的に睡眠を取れなくしてしまうと最終的に実験動物は死んでしまうというのはある種衝撃あり。

  • 脳機能の難しいことが書かれてる部分はよく分からなかったりしたけど、睡眠がいかに大切なのかと言うのは理解出来た。

    脳を成長させる為には睡眠は不可欠。
    1日なるべく7.8時間は寝れればと思ってる次第であります。

  • 全部読まなかった、難しい

  • 実は謎だらけの「睡眠」を第一人者が解明! 眠る理由さえ定かではないほど、睡眠はいまだに謎に包まれている。「オレキシン」が睡眠に重要な役割をはたすことを初めて発見した著者による睡眠解説の決定版! 人生の3分の1もの時間を費やしてまで、ヒトはなぜ眠らなければならないのか? いまだ答えが出ないこの究極の問いに、睡眠研究をリードする著者が迫る! 眠りが脳にもたらす恩恵、睡眠と覚醒を切り替えるしくみ、不眠や夢遊病の原因・・・。睡眠を科学することは、脳の根本的なシステムを知ることである。

    「睡眠」についてここまで研究が進んでいるのか!とうならされると同時に、「なぜ眠らなければならないのか?」という根源的な疑問がいまだ解けていないということにさらに驚きました。神経科学系の本もだいぶ読んできたので、少しは理解できるようになってきとはいえ、まだまだ難しい内容も多かったですが、全体としては「睡眠のメカニズム」についてわかりやすく解説してくれていて、非常にためになる一冊でした。「レム睡眠」や「夢」についての理解が深まったのが収穫だったかな。

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著者プロフィール

1964年東京生まれ。医師、医学博士。筑波大学医学医療系/国際統合睡眠医科学研究機構・教授。1998年、覚醒を制御する神経ペプチド「オレキシン」を発見。睡眠・覚醒機構や摂食行動の制御機構、情動の制御機構解明の研究に携わる。
受賞歴:第11回つくば奨励賞、第14回安藤百福賞大賞、第65回中日文化賞、平成二十五年度文部科学大臣表彰科学技術賞、第2回塩野賞、第32回つくば賞。
おもな著書:『「こころ」はいかにして生まれるのか 最新脳科学で解き明かす「情動」』『睡眠の科学・改訂新版 なぜ眠るのか なぜ目覚めるのか』『睡眠障害のなぞを解く「眠りのしくみ」から「眠るスキル」まで』(以上、講談社)、『最新の睡眠科学が証明する 必ず眠れるとっておきの秘訣!』(山と渓谷社)、 『〈眠り〉をめぐるミステリー 睡眠の不思議から脳を読み解く』(NHK出版)など。

「2022年 『睡眠の大研究 しくみと役割をさぐろう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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