メールはなぜ届くのか (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 161
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062578257

作品紹介・あらすじ

メールの送受信やWebページの表示を可能にするインターネットの複雑な仕組みを、誰でも理解できるようにやさしく解説する入門書

感想・レビュー・書評

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  • ブルーバックスのお堅い感じとは違い、読みやすい文章や砕けた挿話。ただ、読み手にもよるのだろうが、初歩的な内容のため、学び所は少ない。

    メールはなぜ届く?ChatGPTにも聞いてみた。大体本著と同じような内容を箇条書きで示してくる。これで十分という事ではないが、疑問系タイトルだとシンプルな回答を欲してしまい、それがAIに与えられれば満足という自らに危うさを感じる。無条件に信じ込まぬよう文脈を読むためにも、本は重要なのだろう。

    ipconfigとかnetstatとか、懐かしかった。打ち込む行為自体がプロっぽくて格好をつける。そんな周辺情報に触れ、記憶に浸れるのも、回答だけを求めぬ読書の良さだと、改めて思う。

  • 地球の裏側からでも、瞬時にメールは届きます。物理的に途方もない距離をどうやってこちらまでやってくるのか。回線の性能面、つまりどのくらいのデータ量が1秒でどのくらい進むかというような記述はありませんが、コンピュータ同士でどうリレーしていくかというようなネットワークの仕組みについて知ることができます。コンピュータ同士で繋がるために必要な取り決めを「プロトコル」といい、サイトのアドレスでおなじみのHTTPやサイトを作るときに必要なファイル転送で使うFTPなどのPの文字がそのプロトコルのことなのでした。

    ネットワークでは物理的な面がまず基盤にありますが、その次の段階にあたる機器上で設定するもののいちばん基礎にあたるのがIPです。これもプロトコルです。「IPアドレス」のアレですね。つまり、ネットワークを理解するのはプロトコルがその要点なのです。

    そういった「今さら聞けない」ような、基本でありながら「知る人ぞ知る」的なインターネットの知識を本書から得ることができます。それも平易な文章なのですらすら読めますし、トピックの噛み砕き方だってほどよく親切でしたから、小学生から大人まで楽しんで読める仕上がりになっているといっていいと思います。

    また、パケットに分割してデータは送られ、そして受け取られる、という知識はうろ覚えなくらいうっすらとしか覚えていない知識で、今回この本を読むことで記憶の底深くから甦ると同時にくっきり明確になったくらいでした。インターネット誕生の話についても巻末でざっくりと説明されているのですが、冷戦下で軍事目的に作られた、という部分はなにかで読んで覚えていても、それがどう今日のインターネットの「性格」として顕われているのかという視点がすぐれていて、本質的な理解がすすむのです。そのように理解していくことで、よりイメージは豊かになり直感的に把握することができるようになるでしょう。

    著者も述べているのですが、今やメールは古い技術です。他にメッセンジャーやLINE、SNSなどが流行していますから、そちらを解説したほうが時代にあうのではないかと考えたそうです。でも、あえてメールの仕組みにしぼったことで、ネットワークやコンピュータそのものについて学べるものを書けた、と。現役の根本技術であり基本技術であるところを知ることができるのです。

    本書を起点に、ネットワーク管理者の勉強に向かう人もでてきそうな内容でした。IT雑誌などをたびたび読んだりして独学でパソコンを深めている方などには、その隙間をしっかり埋めてくれるでしょうし、また、断片化している知識を繋ぎあわせて整理してくれる一冊にもなっていると思います。もっと様々な、それも時代の先端の技術を知るのもおもしろいですが、こういった初歩の知識を学んでおくのも悪くはありません。後を考えてみれば、急がば回れ的な一冊なのかもしれないです。

  • 1012

    草野真一
    早稲田大学卒。受験塾理科講師を経て一年間のアジア大陸放浪後、書籍編集者となり一〇〇冊以上の本を企画・編集(うち半分を執筆)。日本に「本格的なIT教育」を普及させるため、国内ではじめての小中学生向けプログラミング学習機関「TENTO」を設立


    デジタルはアナログにあらゆる点で勝っている。  そんなふうに早合点したくもなりますが、もちろんそんなことはありません。いい点があれば、悪い点だってあるのです。  たとえば、画像のデジタルデータは、写真や絵を点(ドット)の集まりで表現することが多くなっています。色が数値(1と0の列)で指定され、そうした点が集まって一つの「写真」や「絵」を表現するのですから当然のことでしょう。したがって、どんなに精緻に描かれた絵であっても、拡大に拡大を重ねていけば、絵そのものより点(ドット)のほうが目立ちはじめます(図6)。  紙に印刷された画像(アナログデータ)なら、こんなことはほとんどありません。拡大を重ねても、画像は画像であることをやめないのです。アナログデータの重要な特徴です。  なお、拡大すると点(ドット)が目立ちはじめるデジタル画像(ビットマップ画像)の弱点を補うベクタ画像も開発されています。


    「画像を構成する点の数が多い」とは、それを構成する数値(1と0の列)が多いということを意味しています。  わたしたちが「データ量が大きい」という場合、それは「1と0の列が長い」ということを意味するのです。

    本書では何度も述べていますが、メールもまたデジタルデータです。その正体は1と0がたくさん集まったものにすぎません。

    メールはなぜ届くのか──。  このテーマは、ブルーバックス出版部から与えられた「お題」でした。「今どきメールかよ!」と思ったのを、正直に告白しておきます。  本書の5章にて簡単に述べましたが、電子メールはかつて、インターネットの応用技術の王様でした。メールがインターネットを浸透させ、現在に至る広がりを作った。そう言っても過言ではありません。  しかし、現在はメールとまったく同じ役割を果たす手軽なサービスがいくつもあります。ぼく自身、それらの「新しい方法」を利用することがとても多くなっているため、メールをテーマとして本を作ることには若干の抵抗を感じていました。すでに王座から降りたかつての王様について述べるより、これから王座につくであろうサービスに着目したほうが、多くの人にとって実りある説明ができるのではないか。そんな気がしてならなかったのです。テキスト主体の通信手段としての電子メールは、今後ますます数あるサービスのワン・オブ・ゼムになっていくでしょうし、ユーザも次第に減っていくでしょう。それが多くの識者の見解です。ぼく自身もそう思っています。

    メール」という通信手段はそれだけ一般性を持っており、誰に対しても訴えられる強さを保持しているのです。少なくとも、「今どきメールかよ!」などと性格の悪いことを言う人は、ぼくのまわりには一人もいませんでした(単にいい人ばかりなのかもしれませんが!)。  もう一つ、重要な理由があります。  電子メールはいい意味で「枯れた」という表現を使ってもいい古い技術です。そんな技術について述べることは、いきおい「コンピュータそのもの」「インターネットそのもの」について語ることになります。それは、ぼく自身のテーマでもありました。

    本書は「メール」というありふれたものを題材に、前述したIT機器のことが「怖い人・苦手な人」でも理解できるように構成しました。同時に、「得意な人」も、あえて勉強しなければ身に付かないような知識を網羅しています。もし、この本を読んでこのジャンルに興味を持ったなら、巻末の参考文献のリストなどを参考に勉強するとよいでしょう。

  • ネットワーク関係の知識を身に着けたかったため購入。
    今まであいまいだったプロトコル等のネットワーク関係の仕組みについて、身近なメールをテーマにして非常にわかりやすく解説されており、大変ためになった。

  • 非常に基本的なことがわかりやすく書かれており、さすがに自分にとってはちょっとやさしすぎた感じもしましたが、なぜプロトコルにSMTPとPOPがあるのか、IPとTCPとUDPの違いは何か、ポートの役割、サブネットマスクの役割など、これまであいまいにしか理解していなかったことが明確に理解でき、役に立ちました。
    これを入り口に、次は巻末の参考文献にあったもう少し詳しい内容のものも読んでみようかと思いました。

  • メールというか通信の本。
    DNS とか TCP/IP とかがようやく分かった気がする。超平易に書かれているのでおすすめです。

  • 三葛館 新書 [547.48 || KU]

  • タイトルこそ「メール」とありますが、ザックリとインターネットとは…を説明してくれる本。分かりやすい反面、「メールの仕組み」を期待しているの方にはオススメできない。

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