単純な脳、複雑な「私」 (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062578301

感想・レビュー・書評

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  • 脳が単純な構造であるからこそ、「私」という存在は複雑になる。シンプルな道具を使っている人の方が、多くの複雑な結果を残せることと似ています。
    単純な脳、複雑な私がリカージョンを起こして私が見ているこの世界を生み出している。それだけのことがどれほど美しいことか。想像力の爆発を体験しました。

  • 脳科学の最新の知見をちりばめながら、自由意志の存在の有無や心の存在という哲学的課題にまでわかりやすく踏み込まれていて、知的好奇心が刺激される。
    脳科学があらゆる学問分野に影響が及んでいる。人口知能など、進化のスピードがますます速くなる分野で、これからも情報をしっかり追っていきたい。

  • 1-24 まで読んだ。面白い。 15.07.26

  • 基底核は手続き=方法記憶の座。その特徴は、無意識・自動的・正確、そして繰り返し訓練によって身につく。
    「ひらめき」の訓練を繰り返すことで「直感」は力が養われる。

    体は変更できないけど心は変更できる。感情を操作して行動に合わせる。

  • 前半はすごく面白かった!
    …後半は難しくてよくわからなかった。

    この本は、高校生を対象に池谷先生が授業を行った内容が書かれている。
    第一章は、全校生徒を対象に行った授業。
    第二章~第四章は、生徒数人を対象に行った授業。

    第一章は、目から鱗が落ちるくらい面白かった。
    脳に関する豆知識が盛りだくさんで、本にいっぱい線を引いてしまった。

    第二章~四章は、専門的な話で、自分には難しく感じた。
    もう一度読み直したら、理解できるかもしれない。

  • 秀逸。藤枝東出身と言うところにも親近感。

    進化の二相性
    進化のステージ1: 可塑性「どれだけ変化しうるか」の高いものが淘汰に打ち勝つ
    基礎力➕可塑性 (ヒトはまだ可塑性により多様性が保たれている)
    進化のステージ2: 多様性を失った種は滅びる(最終段階)全員「伸びしろ」があったら遺伝子の優劣のみが淘汰の指標だが、多様性を失い滅びてしまう。

    脳のゆらぎ
    ①効率よく正解に近づく(最適解への接近)
    ②弱いシグナルを増幅する(確率共振)
    ③創発のためのエネルギー源
    →複雑系と創発

  • 脳について。学術研究と筆者の考え。
    一般啓発としてはかなり(情報処理的に)レベルが高い本である。
    ノイズも多いが情報量も多い。
    あと筆者自身の解釈にも注意が必要(快楽主義者っぽい)。ファクトを拾って読むのが良いかと。

    【以下メモ】
    直感の発生場所は大脳基底核(淡蒼球)。
    しかし、ここれは訓練されたものしか扱えない(手続き記憶の生成場所)。だから天性の勘はない。
    無意識の方が大きい(その点フロイトの分析は正しい)。
    報酬系テグメンタ。
    ひらめきは寝た方が良い答えが出る。
    意識ではなく、無意識での決定の連続で人間は決定を行っている、しかもそれが意識化の決定であると錯覚している点がタチが悪い(だからこそ、意思決定を言語化する事が重要であるという示唆が得られる)。
    ノンバーバルコミュニケーションには性差があり、男性は苦手で、女性が得意。基底核の直感の力。

    自由意志の存在は?
    私たちの意識はどのように作られているのか。
    自由否定も自由意志。トートロジーの連続。

    行動経済学の知見でも出てくるが、ボランティア活動に報酬を貰うと、満足度が落ちる。
    逆に報酬がない方が満足度が高い
    →脳は行動を合理化する為に感情を変える。
    (お金をもらってないでやっているのだから、とても良いことに違いないという錯覚)
    →心は行動に影響を受けている。

    脳の電気信号の順序が、
    準備→意志(手を動かせ)→手が動いたという感覚→手を動かせと実際に指令する
    という順序だというのも示唆深い。
    脳の電気信号を捉えれば、次のパッドが失敗するかもわかる。α波によって。
    自律神経は自分で動かす事ができる。血圧も。汗も。α波も。これはフィードバックで可能になる。薬がいらない時代が来るかも。
    脳も同じ原理で動作を行っている。つまり、手が動いたという感覚→手を動かせと指令
    フィードバックがあって初めて脳は活動できる。
    つまり、これが身体と心の連続性で、不分離性。

    脳のノイズについて
    べき乗で表されるこの世の中の事象。正確には、脳の創発の結果。
    ジップの法則
    都市の人口、ベストセラー作品数、収入、地震の大きさ、ガラスを割った時の破片の大きさ。などなど。
    ノイズがエネルギーを作る。脳は20ワット位で動く。
    ニューロンの入力がゆらぐ→ノイズ
    「鹿威し」モデルでの拡散と収束

  • 2015.3.25ビギナー向けの脳科学の本として、幅広く知るなら別の本として、脳科学に対する興味とか、ある程度の深さを求める入門書としてはすばらしい一冊であると思う。高校生への講義内容の収録ということでわかりやすくもあるし。脳ってなんというか、すごいともすごくないとも言えず、不思議、、、。

  • 以前に別の出版社から出ていたものがブルーバックスで再度出たのを知らずに二度買いしてしまった。高校生対象の講義でいわゆる脳科学をわかりやすく解説。題名の通り、脳は単純であるが、使いまわした機能で進化して、「私」を複雑に感じるようになっている。

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著者プロフィール

監修:池谷裕二
脳研究者。東京大学大学院薬学系研究科薬学専攻医療薬学講座教授。薬学博士。一般向け書籍の累計発売部数100万部超え。

「2023年 『3ステップ ジグソー知育パズル どうぶつ だいずかん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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