人形は遠足で推理する (講談社文庫 あ 54-6)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062630016

感想・レビュー・書評

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  • 人形シリーズ第2作目。今回は長編です。

    腹話術師・朝永嘉夫と出会ってから2度目の春が来た。だけど私=妹尾睦月と彼の仲は、未だに恋人未満。もしかして原因は、彼の腹話術人形でありもう1つの人格=鞠小路鞠夫にあるのかも・・・などと考えながらも、睦月はたびたび彼の部屋で話し込んでいた。そしてその日、話題になったのが私の勤める幼稚園で4月26日に行われる遠足のことで、聞いた鞠夫の反応は『ぼくも行きたいなー』。
    かくして鞠夫と朝永さんも一緒に遠足へ。お弁当も作っていつもと少し違った遠足を、いざ!とバスに乗り込んだ。が、直後そのバスが拳銃を持った殺人犯にハイジャックされることに!
    けれど、この殺人犯の様子がどこかおかしい。警察に追われ、バスまで乗っ取ったというのに男は主張し続けるのだ。「オレは殺してない!」と。殺してないけど自分しか犯人がいない状況だったから逃げてきた、と。
    いったい・・・どういうこと?
    人形が探偵役なミステリ長編、2作目です。

    ほんとに睦月ちゃんと朝永さんの仲はなかなか進展しませんねー。そこがかわいいんですけどね、この2人はv
    今回の話は、前作にもまして安楽椅子探偵。バスジャック犯からの話だけで密室を解かなくちゃなりません。しかも質問役は鞠夫じゃなくて、朝永さんでもなくて睦月ちゃん。犯人と堂々と話し合っちゃう彼女の肝の座りっぷりは、見事の一言。のんびりなタイプではあったけど、ここまでとは…。侮れん。
    今回は推理以外にもバスジャックという緊迫感も見所、ならぬ読みどころ。のんびりムードの中の緊迫ムード、っていうのも結構矛盾してるんですけどね。殺伐感がまったくないのはさすが人形シリーズです。ホントに「殺戮にいたる病」の作者と同じ人が書いたのかしら、この作品…。不思議な人です、安孫子さんって。
    ちなみに、今回も小田切警部が登場してます。結構イイ味だしてるおじさんですv 個人的お気に入り。

  • 人形探偵シリーズの第2弾。
    人形が推理するんだからミステリ部分を重要視してはいけない。
    これはキャラを楽しみ、恋愛模様を見守る作品です。
    オムツこと、妹尾睦月(せのおむつき)が勤める幼稚園での
    バス遠足に腹話術師の朝永さんを招待することに成功したものの
    乗り込んだバスがジャックされた。
    犯人は殺人犯として追われているが、自分は殺してないという。
    探偵役の鞠夫は、窓から放り投げられてしまい大ピンチに!
    なかなか進展しないオムツと朝永さんの前に
    バスに乗り合わせた老人が息子の嫁に欲しいと宣言するし
    どうなっちゃうのぉ~ってな感じで今回もドタバタと楽しめました。

  • ついつい読んじゃう我孫子さん。なんでだろう!腹話術人形探偵、非常に痛快です。笑
    かるうく読めるのでぜひ!

  • 人形のキャラがよいっすね。

  • めぐみ幼稚園の遠足に、腹話術師朝永さんも同行することに。しかし園児たちの乗るバスがハイジャック!殺人容疑で追われていたその男は、しかし自分の無実を主張。この事件を解決しなければ解放しないと言われ……
    * * *
    人形探偵シリーズ第二弾。今回は長編です。
    命の危機にさらされながら犯人当て、加えて睦月に縁談話が持ち上がり、色んな意味でぐちゃぐちゃです(笑)個人的には第五章の五節がツボでした。鞠夫って睦月のことが好きなのかな?あんなことになったら本当に泥沼になりますけど。

  • 幼稚園の先生と腹話術師(名探偵は腹話術師の人形!)のドタバタ物語!
    読みやすくてとても面白かったです

  • やっぱりいいね
    我孫子武丸

    ちゃんと読んでると気づくトリックというか
    文字の羅列

    叙述トリックの権威だけに
    短いながら良い纏まりで読みやすかった

    キャラクターがしっかりと個性があって
    良い動き方をしているから読んでて気持ち良かった

  • 初めて小説を読む人におすすめします。

  • 『人形は・・・推理する』シリーズは、みんなとーーっても面白いです。

  • 人形と内気な腹話術師のユーモア・ミステリ

    読了日:2006.12.27
    分 類:長編
    ページ:282P
    値 段:480円
    発行日:1991年4月角川書店、1995年7月発行
    出版社:講談社文庫
    評 定:★★★


    ●作品データ●
    ----------------------------
    主人公:妹尾 睦月
    語り口:1人称
    ジャンル:ミステリ
    対 象:一般
    雰囲気:ユーモアミステリ
    結 末:ハッピーエンド
    カバー装画:伊藤 正道
    カバーデザイン:蔵前 仁一
    解 説:斉藤 肇
    ----------------------------

    ---【100字紹介】------------------
    めぐみ幼稚園の先生・妹尾睦月が園児達と乗り込んだ遠足バス。
    拳銃を持った殺人事件の容疑者にバスジャックされた!?
    同行する内気な腹話術師と陽気な人形とともに
    犯人の容疑を晴らせるのか?ユーモアミステリ第2作
    --------------------------------------

    我孫子武丸の「人形シリーズ」第2弾。
    前作は連作短編集でしたが、今回は長編。

    前作からの設定をそのまま受け継いでいて、その説明に関して冗長には語られないので、是非、前作を先に読了しておくことをお勧めします。まあ、分からなくはないでしょうが、楽しめる度合いがまったく違ってくるかと思います。

    主人公は幼稚園の先生をしている妹尾睦月。菜の花が読むミステリの中では比較的珍しい1人称の物語です。やはり女の子が主人公だと恋愛がらみになるでしょう?で、実際このシリーズにも主人公がいい感じ?になっているおにーさんが登場します。腹話術師の朝永さん。しかし、どうにも頼りないおにーさんです。普通だったらこの朝永さんが、そうは見えないけど、実は頭脳明晰の名探偵!なのでしょうけれど、そうは問屋が卸さないのが我孫子流。名探偵は、朝永さんでもまして主人公でもなく…人形。朝永さんの人形が名探偵なのです。

    しかもその設定が深い。
    ただ単に、面白おかしく人形が探偵なのではないのです…。ユーモラスでありながら、実は単なる表面だけの面白さではなく、感動すら呼び起こせるというこのシリーズ。その辺りの深ーいお話は、前作をご確認下さいまし。

    さて、本作のことを。
    今回は、タイトルどおり、遠足で事件が起こります。幼稚園の遠足に、ひょんなことから同行することになった朝永さんと人形の鞠夫。彼らと、幼稚園児を引率する主人公と同僚の先生、そして幼稚園児が、バスに乗り込んだところを、何と拳銃を持った男が乗り込んできて…!はい、バスジャックです。しかしこのバスジャック、何か様子がおかしい?「俺は一体…どこ行きゃいいんだ?」なんて自問するくらい…えぇぇ~。何か頼りなーい犯人ですね。しかし、何とこの犯人、実はとある事件の容疑者!?

    妹尾睦月と朝永さん、そして鞠夫は、この容疑者の容疑を晴らすために、バスジャック中の極限状態の中、安楽椅子探偵となります。タイムリミットつきの安楽椅子探偵は、果たして「安楽椅子」と言えるのかどうかは謎ですけど(苦笑)。そういうところが新しいのかな、と思われます。拳銃を振り回す犯人と同行するなんて、相当緊張感が保たれそうでしょう?

    どきどきの展開、容疑者の言葉だけの情報で、どこまで真相に迫れるでしょうか?ミステリらしいミステリかもしれません。


    ●菜の花の独断と偏見による評定●
    ---------------------------------
    文章・描写 :★★★
    展開・結末 :★★★+
    簡 潔 性 :★★★+
    独 自 性 :★★★★
    読 後 感 :★★★
    ---------------------------------


    菜の花の一押しキャラ…朝永 嘉夫

    「お嬢さん、あなたはわたしの天使だ。ヴィーナスもその美をうらやみ、
     戦神マルスも恐れをなして逃げ出すでしょう。」    (二宮和也)
    いや、マルスが逃げ出すのはどうかと思う…

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著者プロフィール

1962年、兵庫県生まれ。京都大学文学部中退。在学中は推理小説研究会に所属する。89年、『8の殺人』で作家デビュー。主な作品に、『人形はこたつで推理する』にはじまる「人形」シリーズほか、『殺戮にいたる病』『ディプロトドンティア・マクロプス』『弥勒の掌』『眠り姫とバンパイア』『警視庁特捜班ドットジェイピー』『さよならのためだけに』『狼と兎のゲーム』『裁く眼』『怪盗不思議紳士』『凜の弦音』『修羅の家』などがある。小説の枠を越えマルチに活躍し、ゲームソフト「かまいたちの夜」シリーズの制作でも知られる。

「2022年 『監禁探偵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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