- Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062630016
感想・レビュー・書評
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人形シリーズ第2作目。今回は長編です。
腹話術師・朝永嘉夫と出会ってから2度目の春が来た。だけど私=妹尾睦月と彼の仲は、未だに恋人未満。もしかして原因は、彼の腹話術人形でありもう1つの人格=鞠小路鞠夫にあるのかも・・・などと考えながらも、睦月はたびたび彼の部屋で話し込んでいた。そしてその日、話題になったのが私の勤める幼稚園で4月26日に行われる遠足のことで、聞いた鞠夫の反応は『ぼくも行きたいなー』。
かくして鞠夫と朝永さんも一緒に遠足へ。お弁当も作っていつもと少し違った遠足を、いざ!とバスに乗り込んだ。が、直後そのバスが拳銃を持った殺人犯にハイジャックされることに!
けれど、この殺人犯の様子がどこかおかしい。警察に追われ、バスまで乗っ取ったというのに男は主張し続けるのだ。「オレは殺してない!」と。殺してないけど自分しか犯人がいない状況だったから逃げてきた、と。
いったい・・・どういうこと?
人形が探偵役なミステリ長編、2作目です。
ほんとに睦月ちゃんと朝永さんの仲はなかなか進展しませんねー。そこがかわいいんですけどね、この2人はv
今回の話は、前作にもまして安楽椅子探偵。バスジャック犯からの話だけで密室を解かなくちゃなりません。しかも質問役は鞠夫じゃなくて、朝永さんでもなくて睦月ちゃん。犯人と堂々と話し合っちゃう彼女の肝の座りっぷりは、見事の一言。のんびりなタイプではあったけど、ここまでとは…。侮れん。
今回は推理以外にもバスジャックという緊迫感も見所、ならぬ読みどころ。のんびりムードの中の緊迫ムード、っていうのも結構矛盾してるんですけどね。殺伐感がまったくないのはさすが人形シリーズです。ホントに「殺戮にいたる病」の作者と同じ人が書いたのかしら、この作品…。不思議な人です、安孫子さんって。
ちなみに、今回も小田切警部が登場してます。結構イイ味だしてるおじさんですv 個人的お気に入り。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人形探偵シリーズの第2弾。
人形が推理するんだからミステリ部分を重要視してはいけない。
これはキャラを楽しみ、恋愛模様を見守る作品です。
オムツこと、妹尾睦月(せのおむつき)が勤める幼稚園での
バス遠足に腹話術師の朝永さんを招待することに成功したものの
乗り込んだバスがジャックされた。
犯人は殺人犯として追われているが、自分は殺してないという。
探偵役の鞠夫は、窓から放り投げられてしまい大ピンチに!
なかなか進展しないオムツと朝永さんの前に
バスに乗り合わせた老人が息子の嫁に欲しいと宣言するし
どうなっちゃうのぉ~ってな感じで今回もドタバタと楽しめました。 -
ついつい読んじゃう我孫子さん。なんでだろう!腹話術人形探偵、非常に痛快です。笑
かるうく読めるのでぜひ! -
人形のキャラがよいっすね。
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めぐみ幼稚園の遠足に、腹話術師朝永さんも同行することに。しかし園児たちの乗るバスがハイジャック!殺人容疑で追われていたその男は、しかし自分の無実を主張。この事件を解決しなければ解放しないと言われ……
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人形探偵シリーズ第二弾。今回は長編です。
命の危機にさらされながら犯人当て、加えて睦月に縁談話が持ち上がり、色んな意味でぐちゃぐちゃです(笑)個人的には第五章の五節がツボでした。鞠夫って睦月のことが好きなのかな?あんなことになったら本当に泥沼になりますけど。 -
幼稚園の先生と腹話術師(名探偵は腹話術師の人形!)のドタバタ物語!
読みやすくてとても面白かったです -
やっぱりいいね
我孫子武丸
ちゃんと読んでると気づくトリックというか
文字の羅列
叙述トリックの権威だけに
短いながら良い纏まりで読みやすかった
キャラクターがしっかりと個性があって
良い動き方をしているから読んでて気持ち良かった -
初めて小説を読む人におすすめします。
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『人形は・・・推理する』シリーズは、みんなとーーっても面白いです。
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人形と内気な腹話術師のユーモア・ミステリ
読了日:2006.12.27
分 類:長編
ページ:282P
値 段:480円
発行日:1991年4月角川書店、1995年7月発行
出版社:講談社文庫
評 定:★★★
●作品データ●
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主人公:妹尾 睦月
語り口:1人称
ジャンル:ミステリ
対 象:一般
雰囲気:ユーモアミステリ
結 末:ハッピーエンド
カバー装画:伊藤 正道
カバーデザイン:蔵前 仁一
解 説:斉藤 肇
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---【100字紹介】------------------
めぐみ幼稚園の先生・妹尾睦月が園児達と乗り込んだ遠足バス。
拳銃を持った殺人事件の容疑者にバスジャックされた!?
同行する内気な腹話術師と陽気な人形とともに
犯人の容疑を晴らせるのか?ユーモアミステリ第2作
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我孫子武丸の「人形シリーズ」第2弾。
前作は連作短編集でしたが、今回は長編。
前作からの設定をそのまま受け継いでいて、その説明に関して冗長には語られないので、是非、前作を先に読了しておくことをお勧めします。まあ、分からなくはないでしょうが、楽しめる度合いがまったく違ってくるかと思います。
主人公は幼稚園の先生をしている妹尾睦月。菜の花が読むミステリの中では比較的珍しい1人称の物語です。やはり女の子が主人公だと恋愛がらみになるでしょう?で、実際このシリーズにも主人公がいい感じ?になっているおにーさんが登場します。腹話術師の朝永さん。しかし、どうにも頼りないおにーさんです。普通だったらこの朝永さんが、そうは見えないけど、実は頭脳明晰の名探偵!なのでしょうけれど、そうは問屋が卸さないのが我孫子流。名探偵は、朝永さんでもまして主人公でもなく…人形。朝永さんの人形が名探偵なのです。
しかもその設定が深い。
ただ単に、面白おかしく人形が探偵なのではないのです…。ユーモラスでありながら、実は単なる表面だけの面白さではなく、感動すら呼び起こせるというこのシリーズ。その辺りの深ーいお話は、前作をご確認下さいまし。
さて、本作のことを。
今回は、タイトルどおり、遠足で事件が起こります。幼稚園の遠足に、ひょんなことから同行することになった朝永さんと人形の鞠夫。彼らと、幼稚園児を引率する主人公と同僚の先生、そして幼稚園児が、バスに乗り込んだところを、何と拳銃を持った男が乗り込んできて…!はい、バスジャックです。しかしこのバスジャック、何か様子がおかしい?「俺は一体…どこ行きゃいいんだ?」なんて自問するくらい…えぇぇ~。何か頼りなーい犯人ですね。しかし、何とこの犯人、実はとある事件の容疑者!?
妹尾睦月と朝永さん、そして鞠夫は、この容疑者の容疑を晴らすために、バスジャック中の極限状態の中、安楽椅子探偵となります。タイムリミットつきの安楽椅子探偵は、果たして「安楽椅子」と言えるのかどうかは謎ですけど(苦笑)。そういうところが新しいのかな、と思われます。拳銃を振り回す犯人と同行するなんて、相当緊張感が保たれそうでしょう?
どきどきの展開、容疑者の言葉だけの情報で、どこまで真相に迫れるでしょうか?ミステリらしいミステリかもしれません。
●菜の花の独断と偏見による評定●
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文章・描写 :★★★
展開・結末 :★★★+
簡 潔 性 :★★★+
独 自 性 :★★★★
読 後 感 :★★★
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菜の花の一押しキャラ…朝永 嘉夫
「お嬢さん、あなたはわたしの天使だ。ヴィーナスもその美をうらやみ、
戦神マルスも恐れをなして逃げ出すでしょう。」 (二宮和也)
いや、マルスが逃げ出すのはどうかと思う…