ロシア紅茶の謎 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062635486

作品紹介・あらすじ

作詞家が中毒死。彼の紅茶から青酸カリが検出された。どうしてカップに毒が?表題作「ロシア紅茶の謎」を含む粒ぞろいの本格ミステリ6篇。エラリー・クイーンのひそみに倣った「国名シリーズ」第一作品集。奇怪な暗号、消えた殺人犯人に犯罪臨床学者・火村英生とミステリ作家・有栖川有栖の絶妙コンビが挑む。

感想・レビュー・書評

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  • はぁ、面白かった!
    火村&アリスの2人に、またしても楽しませてもらいました。
    暗号、密室、ダイイングメッセージ、読者への挑戦状。
    終わりが近づくと読み終えるのがもったいなくて先に進めない…そんな気持ちにさせてくれる作品でした。
    有栖川さんの国名シリーズ、読み進めて行きたいです。

  • 火村とアリスの国名シリーズ短編集。パズル的な物が多かったが純粋に楽しめた。「動物園の暗号」作者の趣味が色濃く出た作品で解答には笑った。既読の「赤い稲妻」は火村の推理鮮やか。「八角形の罠」展開とクイーンばりの読者への挑戦が良い。

  • 6編の短編集。1997年出版なので、27年前の作品です。少し古めの良き時代だなぁ、と嬉しくなりました。
    表題作の『ロシア紅茶の謎』では火村に連絡をつけたい警察がアリスの自宅に電話を掛けてくるという状況にほっこりします。新進作詞家が紅茶に入れられた青酸カリで毒殺されるミステリで、犯人の大胆さにカッコよさと根性を感じました。

    6編目では、『八角館の殺人』というタイトルの推理劇をアリスが書いたことになっていて、ニヤッとしてしまいます。(綾辻行人さんと仲良しなんですね)
    火村とアリスの程よい軽さがリズムよくて、さらっとした読み心地だけれども、密室殺人や毒殺、暗号など、内容は本格的ミステリ。やっぱり趣向を凝らしたトリックって面白いですね。

  • 久々に有栖川作品を手にしてみましたが、いやぁ〜ハマりそうです♪

    国名シリーズ(ん?どこがで聞いた気が...)第1弾となる短編集。

    巻頭におさめられていた「動物園の暗号」でガッツリ虜になりました。

    短編とは思えない謎解き。

    犯罪臨床学者・火村英生とミステリ作家・有栖川有栖の絶妙コンビ、今後も活躍が楽しみです♪



    説明
    内容紹介
    国名シリーズ、第1弾! 奇怪な暗号、消えた殺人犯人に犯罪臨床学者・火村英生とミステリ作家・有栖川有栖の絶妙コンビが挑む!
    内容(「BOOK」データベースより)
    作詞家が中毒死。彼の紅茶から青酸カリが検出された。どうしてカップに毒が?表題作「ロシア紅茶の謎」を含む粒ぞろいの本格ミステリ6篇。エラリー・クイーンのひそみに倣った「国名シリーズ」第一作品集。奇怪な暗号、消えた殺人犯人に犯罪臨床学者・火村英生とミステリ作家・有栖川有栖の絶妙コンビが挑む。
    著者について
    1959年大阪市生まれ。同志社大学在学中より推理小説研究会に所属して創作等で活躍。処女作は『月光ゲーム』(東京創元社刊)。他に『マジックミラー』『46番目の密室』(以上講談社文庫)などがある。最新刊は『英国庭園の謎』(講談社ノベルス)。

  • 火村&アリスコンビの短編集。
    6話も入っているので、一つ一つは短いけれど充分楽しめた!
    それぞれのお話で出てくるトリックは凝っていてアリス同様全くわからなかった。
    特にロシア紅茶のトリックはかなり意外。
    それに動物の暗号やルーン石のダイイングメッセージには、火村先生の博識さに脱帽した。
    普段は短編よりも長編が好きだけれども、2人の掛け合いや謎解きはとても面白くって満足!

  • 初めての有栖川有栖作品。てっきり女性だと勝手に思い込んでいた。作品中に作者が語り手として登場するスタイルだったが、あくまでも助手として控えめな立ち位置が良かった。少し時代を感じる部分もあったが、正統派推理小説として、他の作品も読んでみたい。

  • '22年6月22日、Amazon audibleにて、聴き終えました。

    いやぁ…素敵!大好き!とくに表題作が!あと、断然、「屋根裏〜」。初読み時に大笑いしたのを、懐かしく思い出しました。

    美しいロジックで、犯人を追い詰める、火村…久々に読み返し(聴いたんだけど)、凄く楽しめました!

    僕は…冷徹な火村、激しく怒る火村が、どちらも大好きです!「氷のような、怒り」って、毎回思えてしまいます。まるで、漫画の主人公に恋する少女のようですね…トホホ┐( ˘_˘)┌

    ここ最近、綾辻行人さん、有栖川有栖さんと、読み返して…やはりもうひとり、想うのは…法月綸太郎さん!僕にとっての「新本格」の三巨塔!法月さんは、何を読み返そうかな…やはり、「生首」か、「キング」かな…?

  • 最初の4つはダイイングメッセージもの3つを含む、気軽に読める短編。そして後の二つは見事な本格ミステリ。
    やはり面白かったのは後の二つ。

    『ロシア紅茶の謎』
    毒を氷の中に入れるというのはあまり驚かないが、それを口に含んで他の人のコップに入れる、という手口は面白い。

    『八角形の罠』
    挑戦状つきの本格。三村との共犯というのは考えたが、注射器を2階へと運ぶトリックは気づかなかった。なかなか秀逸。
    「こんな建物ないだろw」という見取り図をミステリではよく見かけるが、本物の見取り図を使った作品は初めて見た。そして本物の見取り図ということは、このトリックは現実でも使えるわけか...

  • 作家アリスの国名シリーズ1作目。
    短編集。
    サクサク読めた。
    「赤い稲妻」
    「ロシア紅茶の謎」
    「八角形の罠」
    がお気に入り。

  • 国名シリーズ1作目。表題作を含む六編を収録。
    長編も好きだけど、短編ならではのコンパクトかつ良質な構成、読みごたえがあって満足感の強い短編集だった。

    特にお気に入りは「赤い稲妻」。
    ドラマとかでもありがちな、向かいのマンションのベランダから転落する女性を目撃してしまうお話。転落する瞬間は見ていないが、確かにもう1人そのベランダにいたはず。玄関には鍵がかかっていて、突き落とした(?)犯人が逃走した形跡はなし。どうやら転落した女性は、とある有名弁護士と不倫関係にあり、弁護士の妻も同時刻に踏切事故で亡くなっていた…。この二つの事件に関係性はあるのか…。ベランダの人影は何処に消えたのか…。

    痴情のもつれは現実でも良くあるトラブルの一つ。
    不満が爆発すると激情に囚われてあらぬ犯罪を犯してしまう、人間の心は脆い…。流石に犯人の行動にはドン引きしたけど、、犯人の必死さと手口の奇抜さ、非道さがよく釣り合っていると思う。もし意識があってそのまま…だったらすごい怖いし、無念だろうなぁ。最後の火村先生のキレッキレの一言が好き。

  • 全6編の短編推理小説。
    動物園での殺人メッセージ、屋根裏から見た殺人、転落死、古代ルーン文字、毒入り紅茶殺人、八角館ホール舞台殺人の6つ。
    標題のロシア紅茶の謎が一番面白かった。
    犯罪臨床学者の火村がいい役柄だ。

  • 20年以上前に読んでいた作品。再読でしたが、見事に全て忘れていました。
    ミステリー小説は登場人物の背景や関係性等の描写が深く書かれているものが好みなので、自ずと長編作品を読むことの方が多いです。
    この作品は短編であるため、そういった描写はやはり浅いのですが、トリックがしっかりしていて、大変面白かったです。

  • 1994年刊行の作品。火村(この時は助教授)が謎解きをしていく。盛りだくさんなミステリーだ。臨床犯罪学者の火村をホームズとするなら、有栖川有栖本人が推理作家としてワトソン役といったところか。
    有栖川有栖の出身が大阪で大学も京都なので、題名はゆかりのない海外かと思ったが、短編6作で初っ端から舞台は大阪だった。国名は入っているが紅茶だ。これが題名になっているのは、読み終えたらわかった。

    動物園の暗号は、暗号を解いていくプロセスが興味深い。
    屋根裏の散歩者は、店子を覗いていた殺された大家が残した変わったニックネームが誰を指すのか?楽しめる。クスリと笑える。
    赤い稲妻は、火村の教え子が目撃者で、向かいのアパートから女性が転落死する。密室を解くことが鍵。
    ルーンの導きは、4つの石を握りしめた被害者、それはダイイングメッセージ。
    ロシア紅茶の謎は、ロシア紅茶を飲んだ作詞家が毒殺される。動機、方法、チャンスのうち、方法に不確実性がある。
    八角形の罠は、読者への挑戦状だ。

    全てが秀逸なトリックで楽しめる作品集だった。

  • 国名シリーズ第一弾。紅茶に盛られた毒で殺された作詞家。誰も毒を入れることができない状況で、犯人はいかにして毒を入れたのか。表題作『ロシア紅茶の謎』を含む6篇が収録されたミステリ短編集。

    殺人事件の中に暗号や密室などの要素を絡めながら、一捻りして締めくくる。まさに紅茶へジャムを入れるロシア紅茶を思わせる読み味の作品たち。事件にまつわる謎に加えて、物語に深みを与えるスパイスともなっていて面白かった。

    『屋根裏の散歩者』だけは「太」でピンと来て笑ってしまった。ただ、洒落だけじゃなく被害者の執着を感じるように決着させたところにゾクッとさせられる。『動物園の暗号』も人間の闇を覗くホラーな雰囲気がいいよね。表題作もあのトリックを使うことで恨みの深さと決意が伝わるのが上手い。

    火村とアリスのコンビもやり取りに無駄がなくてサラサラと読ませてくれる。50ページほどでまとまった事件たちの構成もちょうどいい。紅茶やコーヒーを片手に頭を使ってミステリを味わいたい時にはピッタリな一冊。

  • 火村先生!とりあえず大好きです!

  • 私にとってミステリの短編集は、エンジンが徐々に温まっていくように右肩上がりでワクワク感が上昇していくもの。

    この「国名シリーズ」には火村とアリスコンビが挑む謎が六編おさめられている。
    まるで甘くて色とりどりの(毒入り)キャンディーを舐めているよう。

    動物園で起きた殺人事件の被害者が握っていたのはたくさんの動物の名前を書いた暗号のメモ。その謎を解く『動物園の暗号』
    推理作家のアリスにちょうど良い謎かと思いきや、なんともはや正解にたどり着けない。そこに火村の思いつきが一気に暗号の解明へと加速させる。ちょっぴりアリスがお気の毒……

    次に江戸川乱歩の『屋根裏の散歩者』もどきの『屋根裏の散歩者』は、アパートの家主のお爺さんがタイトルからも推察される、ある趣味を通して恐ろしい事実を知ったことから殺される。
    お爺さんを殺したのは誰?そしてその裏に隠された恐ろしい事件の犯人は?
    これは素直に面白かった。お爺さんの日記に書かれた「大」「太」「く」「ト」「I」の文字の意味は解けた!とはいえ「太」の意味には吹き出してしまう。そして火村が犯人に対して行ったイタズラは、犯人にとってはかなりホラーだったね。さらにお爺さんの死体に隠された意味は……あぁそこまでは気がつかなかった。

    おお、どんどんワクワク感が高まってきたぞ。

    誰かと争ってマンションから落とされた女性。それを火村の教え子が向かいのマンションから目撃していた。だが部屋には内側からチェーンが掛かっており争っていた人物の姿がない『赤い稲妻』
    なんだかこれは「火サス」を観ているような、男と女の愛憎劇。火村の最後のひと言がブラックユーモアっぽくてなかなか皮肉が効いてたぞ。

    ネタ探し?に火村の部屋を訪れたアリス。火村が語ったのは、ルーン占いに使う四つの石が登場する『ルーンの導き』
    気の置けない二人が、コーヒーを飲みながら寛いでいる様子が目に浮かぶ。なぜ四つの石を握るという回りくどいやり方を被害者が行ったのか。その種明かしになるほど!誤認逮捕の恐れもあったわけなんだ。ほぇ……。

    よしよし。後半に向けてエンジンがフル回転だ。
    読むぞ読むぞ。

    作詞家が中毒死。彼の紅茶から青酸カリが検出された。どうしてカップに毒が?表題作の『ロシア紅茶の謎』
    怪しい人物ばかりで、私はなかなか真相に届かず。
    命がけのトリック。その犯人に対して火村がかけた最後のひと言。し、しびれる。私が犯人ならば、火村を生涯忘れることができないだろう。
    そして火村がアリスにぽつりと呟いた言葉。
    「俺だって、胸を掻きむしられるような想いをしたことはあるさ」
    え、本当ですか?先生?アリスとともに聞き返す。事件の余韻を全部持ってかれたよん。

    八角形のホールでオープニングイベントの一環として上演される「八角形の罠」(原案有栖川有栖)を基にノベライズした本作『八角形の罠』
    これが一番面白かったかも。
    ノベライズの中では『八角館の殺人』というタイトルの推理劇となっていて、先日『十角館の殺人』を読んだ私としては、火村とともに突っ込んじゃったよ。
    これは登場人物みんなが怪し過ぎたので、私としては逆に現場から一番遠くにいた人物に目をつけた。とはいえ、トリックはわからない。そこが解けなければ犯人当てゲームに勝利したとは絶対言えない。やーもうっ、わからなかったぞ。

    あっという間に全部の(毒入り)キャンディーを舐めちゃった。犯人を早く知りたいからってガリガリ噛んじゃった……なんて野暮なことはしなかったからね。

  • 作家アリスシリーズの短編集。
    長編とは違った魅力があって楽しめた。
    いつもこんなふうに火村先生は事件を解決しているのですね。
    犯人を追い詰める言葉の数にちょっと怯みつつも、格好いいなぁと思ってしまう。(←完全に他人事)
    特に「赤い稲妻」の「弁護士を呼びますか?」には痺れました。ガタガタ…。

    「八角形の罠」は推理イベントのノベライズとのことで、この本の中では唯一「読者への挑戦」が登場する。
    このページがあると全く推理出来ていなくてもワクワクするから不思議だ。
    推理イベントも楽しそう。参加してみたいものです。
    有栖川先生が原案というのもときめきます♪

    恋愛のいざこざが原因で遂には殺人というケースが多かったけれども、第三者としてはなぜそんな誠実さのかけらもなさそうな男なんかのために…と思ってしまう。
    特に「ロシア紅茶の謎」の犯人は火村先生を驚かせる度胸の持ち主。そしてアリスさんの目を奪う程の美貌の持ち主でもある。
    なんでそんな男のために…なんて、他人には分からないものなのだと知りながらも思わずにはいられない。
    まぁ、殺人事件の動機に何かを期待しているわけではないのだけれども。

  • 『動物園の暗号』『屋根裏の散歩者』『赤い稲妻』『ルーンの導き』『ロシア紅茶の謎』『八角形の罠』の六篇が収録されたミステリ短編集。『屋根裏の散歩者』は犯人の一歩手前まで解けた。表題作『ロシア紅茶の謎』は犯人が毒を仕込むトリックに驚いた。『八角形の罠』は現場見取り図、読者への挑戦付き。全く犯人を当てることはできなかった。

  • 火村先生の推理がわかりやすい!
    疑問に思ったことも言ってくれるし、どういう過程で推理に至ったかもわかるので初心者にもわかりやすい〜。

    ドラマを見ていたので、火村先生が斎藤工さん、有栖川が窪田正孝さんに脳内ですり替わっててストーリーが入ってきやすい。

    今回は短編だったのでサクサクと読めるものでした。
    次は長編かな?楽しみだなぁ。

  • 表題作がピカ1で良い。

    余計なことを書いておくと、「読者への挑戦」的なものが含まれている小説集という認識で手に取ったが、それは最後の一本だけなので要注意!
    なぜわざわざそんなことを?というと、別にがっかりしたとかそういう話ではなくて、1作目だけはおそらく現在何も調べずにそのまま作中の謎を解こうとしても多分不可能だから!謎が出た瞬間にそれを見つめて「うーん」って(私のように)やるより、ちょっと先まで読み進めてヒントをもらっていくべきだと思いました!!

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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