小石川の家 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062637466

作品紹介・あらすじ

昭和13年幸田文は離婚し、娘の玉を連れ青々と椋(むく)の枝がはる露伴の小石川の家に戻った。万事に愚かさを嫌う祖父の小言の嵐は9つの孫にも容赦なかった。祖父の手前蹴とばしても書初めを教える母。「2度はご免蒙りたい」10年の歳月をクールにユーモラスに綴り、晩年の露伴、文の姿を懐かしく匂い立たせる。(講談社文庫)


祖父 幸田露伴、母 文との日々(芸術選奨文部大臣賞)

昭和13年幸田文は離婚し、娘の玉を連れ青々と椋(むく)の枝がはる露伴の小石川の家に戻った。万事に愚かさを嫌う祖父の小言の嵐は9つの孫にも容赦なかった。祖父の手前蹴とばしても書初めを教える母。「2度はご免蒙りたい」10年の歳月をクールにユーモラスに綴り、晩年の露伴、文の姿を懐かしく匂い立たせる。

感想・レビュー・書評

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  • 厳格で緊張するエピソードの連続だが、孫の遊びに本気出したり鉄道唱歌が止まらなくなる露伴に時々くすっと笑える。なんだかんだいって密な家族関係。
    お年玉のくだりは泣けた…

  • 祖父露伴、母文との戦前、戦中の暮らしのエピソード集。露伴の頑固ジジイ振りは明治の文豪の面目躍如であるが、世話する身は大変である。母娘の凛とした生活は清々しい。

  • 露伴のムカつくこと!不条理に耐える姿は泣ける。

  • 光村中2国語、単元末紹介本

    文豪、幸田露伴の孫、青木玉さんのエッセイ集

    THEおじいさま、露伴と同居する羽目になった
    玉ちゃんの奮闘記(笑)

  • 幸田文が露伴が厳しかった話をよく書いているが、自分も大概で、気の毒になるほど玉を激詰めしている。今なら何らかのハラスメントもしくは虐待と言われること間違いない。

    玉のデビュー作で、それまで文の遺構の編纂に携わっていたということもあろうが、文体は文のそれによく似ている。
    文も露伴が亡くなってから筆をとったが、本書も1994年の作品ということは著者70歳の時で、文の没後(90年に亡くなっている)である。
    二人とも親の存在が大きすぎて、生前の同業は憚られたのだろうか。

  • 探している本とは違った。序盤は現代と違う「厳しい」エピソードがどうにも読んでいて面白くなかったが、終盤の戦争や身内の最期に関する部分はエピソード力が圧倒的。それだけで読んだ価値はあった。

  • 幸田家四代の文章を読んでいると、そのどっしりと腰の座った明快な保守性に清々しささえ覚える。幸田文の娘、青木玉のデビュー随筆集。美しくときにユーモアさえある筆致に惹きつけられ、起き抜けに一気に読んでしまった。近年なかなかここまで風通しのよい文章にはお目にかかれないので、ホンモノの綺麗な日本語にふれたい人にはぜひとも読んでいただきたい。

    文章の流麗さについ魅せられがちだが、なかなか内容は波乱に富んでいる。母が離婚し小石川の祖父の実家で暮らすことになった幼い玉。明治の文豪・幸田露伴の理不尽なカミナリオヤジ(※言葉を選びました)ぶりにも母の容赦なく厳しいしつけにも耐える日々。露伴先生の無茶なジジイぶりは文豪でも人間だ…となんだかしみじみした。玉と文とのエピソードで玉が文にお年玉で帯枕を贈る話が好きだ。とつとつと語られる露伴の胸糞悪いいじわるクソジジイぶり(まあ。なんとはしたない言葉遣い、ごめんあそばせ)だけでなく、こういう暖かくなるような一編があるからこそ、本著は名随筆と言える。

    青木玉さんの本は母の幸田文さんと比較すると、じっとりとしたしゅうとめ感(?)がなくカラリと読みやすいので、若い世代にも長く読み継がれることを祈る。

  • 吠えるも堪えるもただ泣くも、なんと見事な昭和の生きざま。どうして今まで読んでないのか。ぬかったよ。幸田文好きと言えないや

  • 1929年(昭4)幸田文の長女として生まれた青木玉のデビュー作「小石川の家」(1994.8刊行、1998.4文庫化)を読みました。1938年(昭13)母幸田文は離婚し、娘9歳の玉を連れ、祖父露伴の小石川の家(蝸牛庵)に戻りました。それから1947年(昭22)露伴の死までの10年間、祖父露伴、母文と過ごした自分の幼い日々を振り返ったエッセイです。なおラストの「三日間」では、1990年(平2)10.31母の死から11.2の葬儀までの様子が綴られています。1994年度文部大臣賞を受賞した作品です。

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