- Amazon.co.jp ・本 (478ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062645904
感想・レビュー・書評
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戦時下であるが故に思っていることを素直に言えない理不尽さ、綺麗事ばかり言う大人たちへの不信感…
戦争に関する映画や小説はたくさん見聞きしたが、こんなに親しみを覚える作品は初めてだった。戦争に対して私が感じていた疑問や不信感を当時の子供たちも感じていたのだなと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
文庫化を待ち望んでいた作品でした♪ 読み応え充分♪
日本人が読んでおくべき、知っておくべき極近い過去の重い歴史を、1人の少年の目から見た史実として“生き生き”と活写している読みやすい文章は、おそらくは もの凄く 価値あるもののように思えます。
作者自身でもある“H”少年の日常は、その時代を実際に生きた当人だからこそのリアリティをもって迫ってくるけれど、決して悲観的ではなく、むしろ楽観的にすら見えてくるたくましさがありありと伝わってきて、ジンと胸にくるものがあり、時におかしく、ほんの少し悲しくもあった少年時代…
H少年の成長を追っていくに従って、否応なくその生活すべてに深く関わってくるあの“戦争”というものを、忘れることなど誰もできないのだなと感じてしまう。世界中を巻き込んだ狂乱の実態は、やはり「知らない」では済ませられるはずもなく、この国で何があったのか、その時この国の1人1人は何を感じ何をしていたのか?
とは言え重いばかりではなく、読み手のことを考えてほぼ全ての漢字にルビをふっているなどの配慮もあり、誰でも手に取りやすくなっている。
本当に心に残る物語でした。 ^^
蛇足ですが、願わくば文部省推薦(今は文部科学省?)図書とかにはしないでいただきたい。子供の頃、『文部省推薦図書』とか『夏休み読書感想文対象図書』とかの言葉を見るだけで、その本はゼッタイにつまらない面白くないのは確実だから読まないでおこう、と本気で思っていた人間として、ささやかな希望ですw -
初めは何を言っているのかわからなかったけど、でも途中から戦争の理不尽さが描かれていてとても辛かった。少年までもが今では考えられないような困難なことをやらされていることが辛く、僕はそのような人達の苦しみに応えられるほどの努力をしたい
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昨年、映画を見てから原作を読もうと決めていた。子ども目線での日常。徐々に納得の出来ないことが増えてくるところが、生々しい。巻末の阿川さんの文章に書いてあった筆者の「戦争はね、ある日突然くるもんじゃない。小石がパラパラと落ちてきたりするていど。でも実はそれが、戦争が始める前兆だったことを、後になってから知ることになるの」という言葉が非常に印象深く残った。下巻もきちんと読もうと思う。
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妹尾くんが見た(感じた)日常風景が、淡々と語られている。
戦中を舞台にした作品ですが、価値観の押し付けがないので、戦争についてフラットに考えられる。 -
もっと早くにこの本に出会っていたかった。
私の子どもには、早いうちに読ませてあげよう。 -
第二次世界大戦が始まる前に少年だった子供が、大人になる時期を戦争という時を通して
彼の目でおった日々の話
上巻は、まだまだ、外国人も多く、それなりに新しい文化に触れながら楽しく緩やかに育って行っていた。
だんだんと本格化するに連れて
理解出来ないことが多くなり
それを胸に秘めなくてはならない理不尽さのはけ口として
学校に行っても試験を白紙で出すなどのことをしてしまう主人公