皆月 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062647816

感想・レビュー・書評

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  • 映画「皆月」の原作。北村一輝が好きで、この作品のアキラ役がとっても良かったから、こちらも読んだら...良かった!思わず一気読み。
    原作と映画はかなり違う設定もあるけど、原作のアキラの心理描写を読むと、堪らなく愛しい人だった。脳内では、アキラ=北村さんです!映画でもハマってたから、もっとアキラの描写を原作に近付けて欲しかった...
    とっても頭が良いのに、とんでもないことばかりさらっとしてのける。「なにをするかわからない、正常じゃない男」、表情も変えず、義兄に暴行を働き前歯を折った男探し出して、同じように歯を折る...いや、それ以上の暴力をふるう。義兄が新しく暮らし始めたソープの女が詐欺に遭ったとしって、その相手を表情も変えずに鉄棒で滅多打ちにして殺す。
    そんな男なのに、家族愛に飢えていて、義兄にははにかんだ笑顔を見せる。アキラの幼馴染の極道やソープの由美から言わせれば、義兄の気を惹きたい、好きなんだと。疑似父子のようなものにあこがれていたのかもしれない。
    とにかく、アキラがたまらなく愛おしかった。

  • 花村萬月にしては、エロと暴力の描写が大人しい。花村作品を初めて読む人にいいかも。それでも、読んでいると、自分の弱さとずるさに向き合わされるようで、心が波立つ。

  • 先に、映画を観ていた。映画がかなり印象的だった。

    小説は、映画とは多少異なっていた。最後のシーンとか。

    花村萬月の作品は、好みはわかれると思われるけど、面白い。

  • これは何だかすごい
    人間のどうしようもない生々しさをつきつけられて 自分の醜いところまで暴かれたような気持ちになるのに なぜか強烈にひきつけられる 読むのをやめられない
    すばらしいです

  • 初めて花村作品を読ませていただきました。皆さんのレビューにもあるとおり全編を通して、「暴力とエロス」の世界観が散りばめられている。暴力のシーンは目を背けてしまうほど、血なまぐさい表現が印象的であった。アウトローな青年アキラと元ソープ嬢由美との出会いを通して、成長、再生していく主人公;諏訪徳雄の物語。

  • 『だが、納得したい。できうることなら、心の底からあきらめたい…だから…』

    『高価な物など求めてはいなかったと思う。欲しいのは気持ちだ。それが夫婦というものではないか。』

    『セックスは、終わる。私が射精をすることによって完結してしまう。しかし、こうしてふたりで支えあって歩いているぶんには、当分持続するだろう。』

    『私を必要としている人間がいる。これほどの幸福が他にあるだろうか。』

    『法律とかは関係ないの。なにをやろうとあたしの勝手よ。基本的にそう思ってるもん。』

    『人間の性は、性欲を発散するためでもなく、子孫を残すためのものでもない。性の根元にあるのは、孤独だ。この世界にたった独りでいることに対する不安だ。だから、他人を求めるのだ。』

    『世の中の馬鹿な人をいちいち相手にしていたら、何もできなくなっちゃうよ。』

    『かまわない。生きている。問題ない。さあ、行こう』

    『 ー わたしも、あなたも、アキラも、あのころわたしのまわりにいた人間は、みんなお月様だった。自分では光ることができず、他人の光を反射するのがやっと』

    『あなたは嘘さえつかずに、ひたすら誠実な月だった。いつもおなじ面だけをわたしに向け続けた。あなたは自分の裏側、月の裏側を決してわたしに見せようとはしなかった。』

  • アキラが魅力的。不可解な行動の理由がわかったときに、明らかに悪人なのにいとおしく感じられる。

  • ストーリーは良いが、文章が読みにくい。くたびれた中年オヤジが二十歳そこそこの女性と恋仲になり、次第にプライドを取り戻していくというストーリーや退廃的な雰囲気が「どうしようもない恋の唄」(草凪優)に似ている気がした。

  • アウトローの人々の生活を通して人間の本質を垣間見る。

  • 妻に逃げられた中年男、ソープ嬢、やくざ、、、、「暴力」「セックス」、、、萬月ワールドの原点がここにあり。

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著者プロフィール

1955年東京都生まれ。89年『ゴッド・ブレイス物語』で第2回小説すばる新人賞を受賞してデビュー。98年『皆月』で第19回吉川英治文学新人賞、「ゲルマニウムの夜」で第119回芥川賞、2017年『日蝕えつきる』で第30回柴田錬三郎賞を受賞。その他の著書に『ブルース』『笑う山崎』『二進法の犬』「武蔵」シリーズ、『浄夜』『ワルツ』『裂』『弾正星』『信長私記』『太閤私記』『対になる人』など。

「2021年 『夜半獣』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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