皆月 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 72
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062647816

感想・レビュー・書評

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  • 初読の作家さん。最後まで読んで、ぶっ飛んだ…。意味深な置手紙を残して消えた妻の、秘密とか真実をいろいろ勘ぐって読んでいたのだが、入り組んだ事情などは何にもなかった…。登場人物誰一人、まともな人がいないのも凄い。終始アキラに振り回されて終わった…。それでストーリー成立するんだから、アキラのキャラクター付けは凄い。ジェットコースターか。酔うわ。

    • ひとしさん
      皆月読まれたんですね!
      アキラすごいけれど、なんか憎めなくて引き込まれません?
      なんか、花村萬月が描く小説は破壊的というか、破滅的という...
      皆月読まれたんですね!
      アキラすごいけれど、なんか憎めなくて引き込まれません?
      なんか、花村萬月が描く小説は破壊的というか、破滅的というか。
      でも、なんか魅力的なんですよね(^_^;)
      2017/03/08
    • ひとしさん
      chie0305さんの解釈で完璧だと思いますよ。アキラは単に破天荒な奴ってだけの位置づけではなく、それなりにきちんとした考えも持っているとこ...
      chie0305さんの解釈で完璧だと思いますよ。アキラは単に破天荒な奴ってだけの位置づけではなく、それなりにきちんとした考えも持っているところもありますからね!
      2017/03/08
  • 評価は3。

    内容(BOOKデーターベース)
    諏訪徳雄は、コンピュータおたくの四十男。ある日突然、妻の沙夜子がコツコツ貯めた1千万円の貯金とともに蒸発してしまった。人生に躓き挫折した夫、妻も仕事も金も希望も、すべて失った中年男を救うのは、ヤクザ者の義弟とソープ嬢!? 胸を打ち、魂を震わせる「再生」の物語。吉川英治文学新人賞受賞作品。(講談社文庫)

    非常に評価の良い作品なのだが個人的には今ひとつ。
    最後まで諏訪が魅力的に思えなかった。
    元ソープ譲の彼女や、アウトローでやんちゃなアキラが入れ込むほどの懐の大きさも見えず、かといって情けない男性から出る守ってあげたいオーラも感じられず・・・妻が出て行った「私の周囲の人は皆月だ。」の理由も全く理解出来ず。人騒がせにも程があるわ!

  • 河原でいたすシーンめっちゃすき

  • 奥さんに貯金を持ち逃げされたコンピュータおたくのダンナが、なぜかヤクザ者の義弟とソープ嬢とともに奥さんを捜すドタバタのような小説。おもしろかった。

  • 諏訪は、いつか妻の沙夜子とマイホームを購入する為コツコツと貯蓄に勤しんできた。さしたる遊びもせず趣味といえば仕事の橋梁強度計算に関係するパソコンいじりのみ。自分には似合わない美しい妻は倹約に励みとうとう一千万の大台に乗った。
    ある日身体を交わした日、妻は涙を流したが、その涙の意味は分からなかった。
    「晩御飯をおでんよ」
    その夜帰宅すると部屋の空気は冷え切っていて、貯めた一千万の入った通帳と共に妻は失踪していた。「みな月でした 限界です さようなら」という手紙を置いて。

    妻の弟でヤクザのアキラは頭は切れるが一般的な思考が通用しない動物のような男だ。ヤクザ達も持て余している。ところが諏訪には懐いているようだった。
    そんな諏訪を慰めるため、アキラはソープランドへ彼を誘う。その店でであった由美という女と出会い、お互いに惹かれ合い同棲を始める。
    由美は千葉の養鶏業者に騙され多額の借金を負っていた、3人は悪徳業者から金を取り戻す為に千葉の養鶏場で業者と対峙するが、アキラは突発的に男を殴り殺してしまう。

    肥溜めに沈めた男が発見され、事件が明るみになるといずれ警察がアキラへ辿り着くのではないかと思い悩む諏訪。いつか捕まってしまうかもしれないアキラと一緒に過ごす為由美を伴い3人で妻、沙夜子の行方を追う旅に出る事にした。

    彼ら3人何かが足りずいつも孤独を感じていた。彼ら3人寄り添っているうちにかけがえのない存在となって行く。別れと出会い、そして再生の物語。


    あまりに好き過ぎて通算3回目の読了となりました。
    最近ではすっかり疎遠になってしまった花村萬月。まさにエロとバイオレンスの権化のような作家さんですが、この本はとてもエロくでとても清浄で、優しくて切ない物語です。
    アキラは諏訪を兄貴と呼び慕い、諏訪に訪れるトラブルには狂犬のような怒りを露わにし、由美は諏訪をおっさんと読んで全身全霊でぶつかり愛してくれる。由美とアキラもお互いを兄妹のように想い合い、諏訪を中心に家族のような温かい感情が流れる。

    昔、何かいい本無い?と言われたのでこれを勧めたのですが、読み終わった後に「とっても面白かったけど、女性に勧める本では無いんじゃないか?」と言われた事が思い出されます。

  • ダメ人間達の人生再生物語。挫折あり 破壊行為あり 愛も裏切りもあり 人も死ぬ。

    失なうものが何もない彼らの行動は社会性がなく はちゃめちゃだけど その分 子供のように単純で純粋と感じ うらやましくもなりました。
    自分がリアルにそうなれるかと言われたらなれないと思うけど 読んでいる間 彼らと同化し そういう意味では小説ならではの体験、醍醐味を味わいました。

    ストーリーは非現実的なところもあったけど 純粋で切なく 理屈では割り切れない部分を美しく読ませてくれました。

  • ハードボイルドだけど切ない。
    暴力とセックス満載だけど切ない。
    登場人物の誰にも感情移入は出来ないけれど、
    読み物としてはスンナリ入ってくる感じ。
    でも不条理さを感じないことはない。
    若いソープ嬢が、1~2回客として出会っただけの、
    妻に逃げられたさえない中年男に入れこんじゃうものなのか、とか。(笑)

  • 時速100kmで走り始める→急ブレーキ→時速30kmまで落とす→アクセルをグッと踏む→時速100kmまで上げる→急ブレーキ→時速30kmまで落とす→100→30→100の繰り返し。

    退屈なところもけっこう多かったけど、まあ、まあまあおもしろかったよ。

  • なぜ主人公は物語が進むに連れて、皆から慕われたりするのだろうか…。
    最初は自分を持ってない感じで冴えないおっさんだったのに、いつの間にか周りに人が集まってきて、みんなで頑張っていく感じ…。
    そのおっさんが変わった部分がよくわからなかった…。奥さんに捨てられて、ふんぎって、割り切った感じなのかな?でもそんな簡単にふんぎれる?変われるものかな?
    アキラはハッキリ、スッキリしていて気持ちは良かったけどね。やりすぎな部分はあるけど人間ぽいというか。完璧になりきれない部分がいいね。
    それに40歳くらいの人に女がホイホイついていくかな?相当かっこ良くないとムリでしょ!加瀬さん、石津さん辺りだもんね…設定にちょいムリあるよね…
    まそんな感じ〜

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著者プロフィール

1955年東京都生まれ。89年『ゴッド・ブレイス物語』で第2回小説すばる新人賞を受賞してデビュー。98年『皆月』で第19回吉川英治文学新人賞、「ゲルマニウムの夜」で第119回芥川賞、2017年『日蝕えつきる』で第30回柴田錬三郎賞を受賞。その他の著書に『ブルース』『笑う山崎』『二進法の犬』「武蔵」シリーズ、『浄夜』『ワルツ』『裂』『弾正星』『信長私記』『太閤私記』『対になる人』など。

「2021年 『夜半獣』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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