死神うどんカフェ1号店 二杯目 (YA! ENTERTAINMENT)
- 講談社 (2014年8月29日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062694872
作品紹介・あらすじ
「あー、やっと希子がきたー」
店内に入るやいなや、底抜けに明るい声が希子を出迎えた。
あわてて、しーっ、とくちびるの前に人差し指を立てる。
「だめですよ、一淋さん。お客さんがいるのに、大きな声出しちゃ」
「あれ? だめ?」
「だめです」
くせ毛風のアレンジがほどこされた明るい色の髪に、あごが細く、目が大きいこの青年は、《死神うどんカフェ1号店》の従業員だ。
無地の白い丸首Tシャツに、カフェの従業員風のギャルソンエプロンを腰の低い位置に巻くのが、このお店の制服の代わりになっている。
福富一淋、といういかにも日本人らしい名前を持ってはいるものの、実際には、日本人でもなければ、人ですらない。
その正体は、死神だ――。
*
命を落としかけ、心を閉ざしていた高1の希子の前に、突如あらわれた《死神うどんカフェ1号店》。死神である店長の星海九嵐の力で、“半分生き返った”元クラスメイトの亜吉良との約束で、希子は店へ通うようになる。
九嵐の後輩だという店員の一淋と深海は、まだ九嵐を死神にもどすことをあきらめていなくて、死亡予定者を見つけては会わそうとし、希子はあらためて彼らが異質の存在であることを痛感する。その彼らにしかわからない命の危険が、希子に迫ろうとしていた。――思いがけず差しのべられた救いの手。さまざまな人のあたたかな思いが、希子の押し殺していた感情を呼び覚ます。
感想・レビュー・書評
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このシリーズの設定がすごく好き❤️
二杯目では九嵐と深海、一淋、それから半死人の三田亜吉良と希子はさらに仲良くなれたと思う!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「 命を落としかけ、心を閉ざしていた高1の希子の前に、突如あらわれた《死神うどんカフェ1号店》。死神である店長の星海九嵐の力で、“半分生き返った”元クラスメイトの亜吉良との約束で、希子は店へ通うようになる。
九嵐の後輩だという店員の一淋と深海は、まだ九嵐を死神にもどすことをあきらめていなくて、死亡予定者を見つけては会わそうとし、希子はあらためて彼らが異質の存在であることを痛感する。その彼らにしかわからない命の危険が、希子に迫ろうとしていた。――思いがけず差しのべられた救いの手。さまざまな人のあたたかな思いが、希子の押し殺していた感情を呼び覚ます。」 -
そう言えばそうだった。若いと言うだけでこんなに簡単に他人の悪意に巻き込まれてしまい得るんだよなぁと、読んでいて妙にリアルな感慨にふけりました。
親が自分の子には出来るだけ良くないことが起きて欲しくないという気持ちがとてもよくわかります。 -
突然現れたハデな格好した先輩。だんだん閉ざした心がほぐれていく希子ちゃんと、周りとの関わりが微笑ましい
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1号店スタッフたちとの交流が、希子の心をゆっくりとほぐしてゆく。
登場人物も増えて、益々見逃せない予感。
それにしても、かまたまが相変わらず美味そうです。 -
みんな良い人だなー。希子の事情はなかなかヘビーだけど、カフェでの時間はすごく楽しそう。目黒先輩っていう友達もできたし、今後はもっと色んな人と出会っていくのかな。今回は九嵐よりも深海と一淋の出番多めだったかな?そして月太郎、私もだっこしたい…。
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読んでてとても感動した。゚(゚´ω`゚)゚。
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・新キャラにインパクト抜群のファッションをしてる目黒志津香先輩と、幻想小説家の中井須磨さん。
・希子に仮の死亡予告が出る。絶対死ぬと決まったわけではないがなぜ死ぬのか死神たちにもよくわからない死が近くに。いったい何が起こるのか。
▼死神うどんカフェについての簡単なメモ(累積)
【亜吉良/あきら】溺れそうになっていた希子を助け自分は意識不明の重体に。のはずだったが「死神うどんカフェ1号店」で働いているところに出くわした希子。中学生のときの同級生だが事故まで特に交流といえるものはなかったもよう。
【荒川】目黒先輩は「みつるちゃん」と呼んでいる学校での唯一の友人。あんまりいい感じの人物ではないが。
【一淋/いちりん】現役の死神にしてうどんカフェの店員。元気が取り柄、死神なのに。
【大和田】死神うどんカフェの常連さん。ものすごく庭の広い和洋折衷の豪邸を所有している。
【かまたま】死神うどんカフェ唯一の料理メニュー。希子にとってお守りのようなもの。誰かの一面だけを見て相手の全てを否定しかけたりしたらその人がかまたまを食べる姿を思い浮かべるつもり。それによって違った側面を見ようとすることができるような気がする。
【希子/きこ】主人公。高校1年生。もともと世話焼きタイプだが事故以来意識不明になっている亜吉良の状態は自分のせいだと思い内にこもるようになり高校では友だちをつくらないことに決めた。このシリーズは彼女の自己回復の物語なのだろう。
【希子の父】事件およひ亜吉良に関することで希子は父親の醜い部分を知り失望して心を許せなくなった。
【救急隊の逆バージョン的な組織】死亡予定のない者が死ぬときにも死神ダンスは見せなくてはならず人間界の救急隊の逆バージョン的な組織がそれに対応する。本当に直前にならないとわからないので常にバタバタしている。
【九嵐/くらん】死神を退職してうどん屋になった。なんとなくで運営していたが希子のアドバイスにしたがい店長となった。死神ダンスの名手で若い死神はだいたい彼のファンで復職を願っている。死神の仕事を邪魔している気もする。
【事故】はっきりと描かれてはいないがおそらく希子が中学二年生のとき、川で溺れかけていた子どもを救おうとするが自分も溺れかけクラスメートだった亜吉良がそれを救おうとし意識不明の重体となったというような経緯らしい。希子と亜吉良は同時に子どもを救おうとしていたのかもしれない。ちなみに希子と亜吉良にはほとんど交流はなかったもよう。
【しにう荘】死神うどんカフェの寮。古い住居を改築した。死神の「しに」とうどんの「う」でしにう荘。店員たちは広いリビングにたむろしていることが多い。
【死神うどんカフェ1号店】九嵐が仕事で行ったと土地で食べたうどんに魅せられ死神を退職し開いた店。かまたまうどんとカフェオレしかメニューにない。いずれはいくつも店を出せたらいいなといことでとりあえず1号店。偶然入った希子がその経営の甘さに呆れアドバイスしたりして少しずつ軌道に乗りつつある。九嵐を死神に戻そうとしている一淋や深海がいつの間にか取り込まれ、半死人である亜吉良も九嵐から「肉貸し」されて店員として働いている。希子は居心地のいいここで回復のとっかかりをつかめるか。もちろん自分のせいで半死人になっている亜吉良が気になるということはあるだろうが。
【死神のダンス】人間が最後まで見てしまうと死を免れるのは難しいらしい。亜吉良は見てしまったらしい。九嵐は死神のダンスの名手。
【死神の名前】人間モードになるときは自動的に名字も浮かんでくるがあまり呼ばれなれていないのでファーストネームで呼ばれる方がピンとくるらしい。
【月太朗】ペンギン。よくしゃべる。元は人間、雰囲気的には子どもだったらしい。
【中井須磨】死神うどんカフェの常連さん。カフェオレを飲んでいく。69歳の女性で白髪ショートで黒い服。性別年齢ともに判別しにくい。二巻目の表紙に出ている新キャラの一人だろう。幻想小説作家として高い評価を受けている。
【肉貸し】魂に肉体を貸して実体とする技。うどんカフェメンバーでは星海九嵐しかできない。
【花園深海】→深海(ふかみ)
【林田希子/はやしだ・きこ】→希子
【半死人】死んでるとも生きてるとも言えない状態の人。
【深海/ふかみ】現役の死神にしてうどんカフェの店員。おしゃれっぽくて服飾関係の専門学校の学生のようなタイプ。つり目でキツそうな見た目に反して物腰は優しく丁寧。
【福富一淋/ふくとみ・いちりん】→一淋
【星海九嵐/ほしみ・くらん】→九嵐
【みーた】一淋だけは亜吉良のことを「みーた」と呼んでいる。
【三田亜吉良/みた・あきら】→亜吉良
【目黒志津香/めぐろ・しづか】希子と同じ高校の上級生。通称メグシー。夏休みモードでは金髪ロングでインパクト抜群のファッション。二巻目の表紙に出ている人物だろう。母親が世界的なファッションブランドのデザイナー。マイペースだが意外と人をよく見ている。かつてはいじめられて引きこもり状態になったらしいがファッション系のブログを始め海外のブロガーに取り上げられたこともあり今や原宿では有名人。 -
死に直面することで、行きたい気持ちと向き合うことができる。生きることや、生きている時間に何大切にしたいかを自分で考えることは、大事なことだ。死神はいろいろと、都合のいい制度があるらしい。一淋さんにはもう会えないかと思ったけれど戻ってくるということで、よかった。少しずつ心が解れ出した希子。人とのつながりを増やして、しあわせになってほしい。