死神うどんカフェ1号店 六杯目 (YA! ENTERTAINMENT)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062694971

作品紹介・あらすじ

家族でもなく、恋人でもなく、ただの友人同士でもない――2年前の夏の事故以来、特別な存在となった三田亜吉良と《死神うどんカフェ1号店》で再会した夏、林田希子はきちんと生きていこうと決めた。そして少しずつ、自分へのいましめであった孤独から抜けだしていく。一方、亜吉良は、いまのままでいるか、本体にもどるか悩みを抱えていた。亜吉良が事故に巻きこまれたことをきっかけに、事態は大きく動き出す。シリーズ最終巻。

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ6作目、そして最終巻。
    涙、涙、涙。でも、大きな決断をし、大きな一歩を踏み出し、これから未来に向かうそれぞれの姿に心からエール。清々しさに包まれ、しばし余韻に浸りました。
    良いシリーズでした。

  • 号泣でも嗚咽でもなく、ただ涙にくれる最終巻。それぞれが目指す場所への一歩を踏み出して静かに物語が終わる。
    希子ちゃんと同世代で大人や友達の間で息苦しい思いをしてる子に、空の青さ、海の広さを教えてくれる上質なヤングアダルトだと思う。
    でもでもでも番外編とか出てもぜんぜんオッケーだから!!!

  • 前回の続きだった。
    月太郎や亜吉良との別れを通して、主人公がこれまで以上に成長しているところが、多々見られてすごく良かった。
    主人公との親子関係も良くなり、ハッピーエンドだった。
    また、最終回にふさわしい、爽やかな終わり方をしていたため、とても良かった。

  • 最後の決意。人と人との距離の取り方が心地よい。

  • ついに最終巻。月太郎とのお別れ、亜吉良の決断、希子と周囲との関係が変わってきたのも改めて感じられる終わり方だった。
    亜吉良が最後まで亜吉良らしくてよかった。また佐多くんたちと再会してほしいな。家族でも恋人でもない希子と亜吉良のやり取りも好きだった。もちろん、死神うどんカフェ1号店の面々も。

  • 旅行先での事故をきっかけに、自分の進む道を見つけた亜吉良。人間らしく生きるとは、そして相手の選択を尊重することとは。完結のはずの六杯目ですが、ついついおかわりを期待してしまう展開です。

  • 誠実だからこその選択。

  • 三田くんが話した事によって、その後の希子は佐多くんと増田さんと共感が出来るようになり、その存在にとても救われる気がします。
    希子に共感できる「人間」の存在を残した三田くんナイス。
    最後もすっと終わって、青春の一時だったんだなと思わせる物語でした。

  • 盛りだくさんだったこの巻。どんなに望んでも、変わらないものなんてないけど、どうかこのままで、と願ってしまう。次のステップを選んでいける彼らは強いなぁと思った。そうやって変化してきたからこそ、今の希子ちゃんがいるんだもんね。あ、これで最終巻なんだ…。

  • ・月太朗がいなくなった後。
    ・亜吉良が九嵐と讃岐へうどんを知る旅に出かけ大変な出来事に遭遇。その結果亜吉良はある決断をすることになる。
    ・佐多くんの起こした小さな奇跡。
    ・最終巻だろうと思う。でも希子と亜吉良のその後を知りたいとは思う。幸あれと。

    ▼死神うどんカフェについての簡単なメモ(一巻目からの累積)

    【亜吉良/あきら】溺れそうになっていた希子を助け自分は意識不明の重体に。のはずだったが「死神うどんカフェ1号店」で働いているところに出くわした希子。中学生のときの同級生だが事故まで特に交流といえるものはなかったもよう。タイヤキは頭から食べるタイプ。
    【荒川】目黒先輩は「みつるちゃん」と呼んでいる学校での唯一の友人。あんまりいい感じの人物ではないが。
    【一淋/いちりん】現役の死神にしてうどんカフェの店員。元気が取り柄、死神なのに。
    【今】どんなことにも終わりは来る。《いまいるこの場所が、過去になってしまうその前に。》第四巻p.228。
    【大和田】死神うどんカフェの常連さん。ものすごく庭の広い和洋折衷の豪邸を所有している。流しそうめんやったときの竹を提供してくれた。
    【おとな】《おとなになるということは、いい意味でも悪い意味でも、揺るぎなくなるということなのだと、最近、思うようになった。》第四巻p.171。
    【かまたま】死神うどんカフェ唯一の料理メニュー。希子にとってお守りのようなもの。誰かの一面だけを見て相手の全てを否定しかけたりしたらその人がかまたまを食べる姿を思い浮かべるつもり。それによって違った側面を見ようとすることができるような気がする。
    【かまたまうどん】うどんに黄身を乗せて醤油をかけてかき混ぜただけなのになぜか美味しい。「死神うどんカフェ」のたったふたつのメニューのひとつ。
    【希子/きこ】主人公。高校1年生。もともと世話焼きタイプだが事故以来意識不明になっている亜吉良の状態は自分のせいだと思い内にこもるようになり高校では友だちをつくらないことに決めた。このシリーズは彼女の自己回復の物語なのだろう。中学校での知人たちがほとんど行かない高校を選んだのだが国公立大学への進学率も高く優等生タイプの生徒が多い。タイヤキはしっぽから食べるタイプ。
    【希子のしたいこと】だったら、いまはただ、《死神うどんカフェ1号店》で過ごす時間を大切にすればいいだけなんじゃないのかな――。(第五巻p.203)
    【希子の父】事件およひ亜吉良に関することで希子は父親の醜い部分を知り失望して心を許せなくなった。
    【救急隊の逆バージョン的な組織】死亡予定のない者が死ぬときにも死神ダンスは見せなくてはならず人間界の救急隊の逆バージョン的な組織がそれに対応する。本当に直前にならないとわからないので常にバタバタしている。
    【北村栄】→栄
    【決める】《いまじゃないから、決められないだけ》第四巻p.118。なるほど、決めるべきときが来たら決められるんではないかと?
    【霧生遊歩/きりゅう・ゆうほ】死神。須磨さんが五十年前に知り合っていたらしい。大勢に対応できる死神のダンスを踊れるらしい。死神界では大物なのだとか。
    【九嵐/くらん】死神を退職してうどん屋になった。なんとなくで運営していたが希子のアドバイスにしたがい店長となった。死神ダンスの名手で若い死神はだいたい彼のファンで復職を願っている。死神の仕事を邪魔している気もする。ごく普通のルックスなのだが見つめているとこの上なく魅力的に感じられてくる。一度死にかけた人間は死神に魅入られやすいらしい。
    【栄】川で溺れそうになっていたところを希子がなんとか岸に押し上げて救うことができた小学生(当時四年生で今は六年生と思われる)。元来理知的なところがあったが事故以来老成した感じになっている? 理由はわからないが自殺未遂を繰り返しているらしい。
    【さくらい堂】タイヤキ屋。美味しい。タイヤキは亜吉良の好物のようだ。
    【佐多朋史/さた・ともふみ】一年二組で希子のクラスメートだが希子はまったく覚えてなかった。どうやら目黒先輩のファンのようだ。恋愛感情も抱いているようだが出会い方にこだわりがありいまだ知り合えていない。後に小さな奇跡を起こすことになる。いつまでも。人の考えることを先回りして想像してしまい卑屈になる被害妄想タイプ。メンドクサって感じだけど持ち前の軽さとグイグイ押し込んでくる強引さがそれをカバーしている独特の対人スキル。ファッションのことしか考えられず海外留学し共感できるメゾンのスタッフになりできればデザイナーになりたい。
    【事故】はっきりと描写されてはいないがおそらく希子が中学二年生のとき、川で溺れかけていた子どもを救おうとするが自分も溺れかけクラスメートだった亜吉良がそれを救おうとし意識不明の重体となったというような経緯らしい。希子と亜吉良は同時に子どもを救おうとしていたのかもしれない。ちなみに希子と亜吉良にはほとんど交流はなかったもよう。
    【しにう荘】死神うどんカフェの寮。古い木造アパートを改築し一階の半分を三部屋ぶち抜きで共有スペースとし二階が各自の部屋になっている。死神の「しに」とうどんの「う」でしにう荘。店員たちは広いリビングにたむろしていることが多い。
    【死神うどんカフェ1号店】かまたまうどんとカフェオレしかメニューにない。古い木造平屋建ての壁を取っ払ってリノベーションしておりとても広い。九嵐が仕事で行ったと土地で食べたうどんに魅せられ死神を退職し開いた店。いずれはいくつも店を出せたらいいなといことでとりあえず1号店。偶然入った希子がその経営の甘さに呆れアドバイスしたりして少しずつ軌道に乗りつつある。九嵐を死神に戻そうとしている一淋や深海がいつの間にか取り込まれ、半死人である亜吉良も九嵐から「肉貸し」されて店員として働いている。希子は居心地のいいここで回復のとっかかりをつかめるか。もちろん自分のせいで半死人になっている亜吉良が気になるということはあるだろうが。
    【死神のダンス】人間が最後まで見てしまうと死を免れるのは難しいらしい。亜吉良は見てしまったらしい。九嵐は死神のダンスの名手。
    【死神の名前】人間モードになるときは自動的に名字も浮かんでくるがあまり呼ばれなれていないのでファーストネームで呼ばれる方がピンとくるらしい。ファーストネームは死神のダンスの特徴をあらわしているらしい。
    【自分だけの王国】《自分にもいつか、自分だけの王国になるときが来るのだとして、その眺めを形づくるのに欠かせないのは、〈いま〉になるにちがいない。》第五巻p.67
    【須磨さん】死神うどんカフェの常連さん。カフェオレを飲んでいく。69歳の女性で白髪ショートで黒い服。性別年齢ともに判別しにくい。二巻目の表紙に出ている新キャラの一人だろう。難解な幻想小説作家として高い評価を受けている。ペンギンが好き。洞爺丸事故かもしれない事故の生存者のようだ。台風の記述はないが。
    【谷風雅】→風雅
    【月太朗】ペンギン。よくしゃべる。元は人間、雰囲気的には子どもだったらしい。個人的にはなぜか「ペン太郎」と呼んでいる。《希子はよく笑うようになった。笑うと希子はかわいい》第五巻p.126。
    【中井須磨】→須磨
    【ナッツボン】落花生の形のお菓子。九嵐の好物。
    【肉貸し】魂に肉体を貸して実体とする技。うどんカフェメンバーでは星海九嵐しかできない。
    【花園深海】→深海(ふかみ)
    【林田希子/はやしだ・きこ】→希子
    【半死人】死んでるとも生きてるとも言えない状態の人。
    【風雅】一淋や深海の後輩死神。死神界に戻らなくてはならなくなった一淋に頼まれうどんカフェでバイトすることになった。丸メガネで方向音痴。死神ダンスが下手で事務仕事をしていたがようやく《きれいに死んでもらえる》ダンスを踊れるようになったので通常業務ができるようになった。だだっ広いところが好きなもよう。
    【深海/ふかみ】現役の死神にしてうどんカフェの店員。おしゃれっぽくて服飾関係の専門学校の学生のようなタイプ。つり目でキツそうな見た目に反して物腰は優しく丁寧。
    【福富一淋/ふくとみ・いちりん】→一淋
    【星海九嵐/ほしみ・くらん】→九嵐
    【マス子】佐多の幼馴染み。本名増田絵摩。一組の女生徒。ゆっくりで気だるげな話し方をする。国産の旧車限定の車オタク。ハコスカを自分の手で洗車してバンドルに頬擦りしたい。希子を「きーちゃん」と呼ぶ。三十代半ばに見えるおばさんの「りっちゃん」がやってるオープンしたばかりの和風カフェでアルバイトしている。将来自動車大学校に行き車のプロ、八十年代の国産車専門にメンテナンスするアトリエを持ちたい。
    【みーた】一淋だけは亜吉良のことを「みーた」と呼んでいる。
    【三田亜吉良/みた・あきら】→亜吉良
    【目黒志津香/めぐろ・しづか】希子と同じ高校の上級生。通称メグシー。夏休みモードでは金髪ロングでインパクト抜群のファッション。二巻目の表紙に出ている人物だろう。母親が世界的なファッションブランドのデザイナー。マイペースだが意外と人をよく見ている。かつてはいじめられて引きこもり状態になったらしいがファッション系のブログを始め海外のブロガーに取り上げられたこともあり今や原宿では有名人。四巻目にして初めてノーマルバージョンのメグシー先輩を見る。
    【門限】希子の門限は夜七時。目黒先輩の門限は・・・意外に早かったように記憶している。

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著者プロフィール

『ユリエルとグレン』で第48回講談社児童文学新人賞佳作、日本児童文学者協会新人賞受賞。おもな作品に「お面屋たまよし」シリーズ、「死神うどんカフェ1号店」シリーズ、『メイド イン 十四歳』(以上、講談社)『墓守りのレオ』(小学館)など。「少年Nの長い長い旅」(YA! ENTERTAINMENT)と「少年Nのいない世界」(講談社タイガ)両シリーズを同時刊行して話題となった。『拝啓 パンクスノットデッドさま』(くもん出版)で日本児童文学者協会賞を受賞。

「2023年 『化け之島初恋さがし三つ巴 2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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