神様ゲーム (ミステリーランド)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 967
感想 : 217
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062705769

感想・レビュー・書評

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  • 話題になっていたので気にはなっていたのですが、ようやくやっと読むことができました。いやはやこれは確かに問題作ですね。麻耶雄嵩らしいと言いますか。「少年少女のための」と謳っているミステリーランドでこれを書くのがすごいといいますか、らしいと言いますか。

    小学四年生の芳雄の住む街で起こる連続猫殺害事件。その犯人を名指しした転校生の鈴木くんは、自分のことを「神様」だと言うのだった。鈴木くんの話から芳雄たち探偵団は猫殺しの犯人を追跡するのだったが、殺人事件に遭遇することになったのだった。
    鈴木くんが神様である。だから何でも知っている。芳雄はゲームとして受け取るのだが、徐々に信じざるを得ない状況になっていく。鈴木くんの言葉には芳雄自身も知らなかった出生のこと、そして死のことまでもあった。
    これは怖いです。鈴木くんは神様と言えど慈悲の心から芳雄に真実を告げるのでなく、ただ聞かれたから答えるといった調子なのです。淡々と語られることが真実だと認めざるを得なかった時の芳雄の衝撃。それはその後起こる数々の事件の前触れであり、犯人に対して天誅を望んだ時の結果は衝撃を越えてただ受け取るしかできない虚無のような心持ちだったでしょう。
    そして訪れる驚愕の結果。何故? どうして? 今までの推理の流れは何だったのか。鈴木くんは神様だから間違うことはない。だとしたらこの結末が意味するものは何なのか? ぽーんと放り投げられたような結末に身震いします。

  • 小6くらいの時に初めて読んでゾッとした。それまで読んできた本は、推理小説でも何でも全て完全にハッピーエンドで終わる本だったので、もしこの本を読んでいなかったらバッドエンド好きな今の私はいないと思う。神様も不気味だし衝撃的な作品。

  • 小さな町で起きた連続猫殺し事件と、続けて起こった殺人事件を巡るミステリー小説。
    少年探偵団の一員である、小学四年生の「ぼく」を語り手に話は進むが、神様を自称する「鈴木太郎」の存在により、物語はメタ的な視点を帯びている。デビュー作で、著者は登場する探偵たちを次々と道化に変えているように感じられたが、決して誤らない(神の視点を持った)探偵を登場させるのに、神様そのものを配置するというのは、驚きながら頷けてもしまう。

    文体は整然としていて、構成も面白い(各章タイトルが鏡合わせになっており、たとえば第一章と最終章は同じタイトルになっている)。

    ラストは文字通り衝撃の結末だが、それでも論理が破綻していないのは圧巻。登場人物の紹介欄で「鈴木太郎」に「神様?」と疑問符を付けているのも、複数の思考の筋道を読者に与える仕掛けのひとつなのだろう。

  • 大人も楽しめる児童文学。児童文学なだけあり大変読みやすかった。普段読書をしない大人にも勧めたい。はじめから終わりまで引きつけられる内容で飽きずに読み終えられる。内容的に小さな子供に読ませるにはためらわれるかもしれない。

    目立たないクラスメイトの鈴木くんは神様だった?なんでも知っている自称神様との会話を「神様ゲーム」と称した主人公。
    少年探偵団の一員である僕は、近所のネコを殺した犯人を神様ゲームで知り、探偵団全員で捜査を開始。そして事件は起こってしまう。。。

  • 文字も大きめ、ふりがなも多く、読みやすくて子ども向けかと思いきや…。
    最後の章のゾワゾワと伏線が回収されていく感じ。
    なるほど、と納得したあと、クライマックスでまさかのどんでん返し。
    なになにどういうこと!?
    読了後、目が点になったのは初めて。
    いろんな人の解釈を知りたい。

  •  これ、YA向けでいいのかな。
     ラストの衝撃もスゴいけど、死に方とかも。主人公とか、小学生よ? いいの? ホントに?
     でも、最後の最後のところの真相は、やっぱ謎よね。

     てか、鈴木くんが神様なのは、もう確定なんだ?
     そこは絶対?

     あと、イラストが怖さを増幅させてる。

  • 子供が読むと衝撃度が凄そう。これをミステリーランドで出そうと思った麻耶先生はなかなかいい趣味ですね。

    蓋に隠れてみたぼくに対して言ったミチルの「運がよかったのね。わたしたち。」という言葉と
    中学生並みに体格の良い孝志がギリギリ隠れられるサイズの蓋、小さな身体という描写からやはり共犯は母なんでしょうか。救いのない終わりかたで好みです。

  • これが児童書だと…!?と読んだ人誰しもがきっと思う。でもすごい面白い!!どんでん返しだし推理もあって、一応児童書企画の小説だけに分かりやすい文章でありふれた少年視点で進んでってコレってのが余計恐ろしいです。挿絵も絶妙だし目次の中間から折り返していく構成は興奮するしなんか特撮オタだし(笑)、児童には読んでほしくないが大人には是非読んでほしい!!でも倫理観がしっかりした常識人にはオススメしない!!(笑)

  • これは凄い。凄すぎる。
    トリックも非常にわかりやすく、さらにどんでん返しがある。唸らされる本であった。

    小学四年生の芳雄がトイレ掃除当番で一緒になったのは、クラスメイトの鈴木太郎。
    鈴木は自分のことを神様だと名乗る。
    神様だからなんでも知っていて、天誅も与えられるわけで、猫殺しの犯人も、ダビレンジャーのスペシャルTシャツを着ていた英樹殺人事件の犯人も、その共犯もわかってしまう。
    あらすじについては、備忘録を書く必要がないくらい素晴らしいサイトを見つけたので(よなよな書房 さん、まさに完璧である)書かないが、この叙述トリックについては驚かされた。

    私は鈴木が神様なのを疑わないし、共犯者についても納得したが、さまざまな考察をする人がいるもので、やはり共犯者は父で、母がいなくなることが天誅なんだとか、父は母の犯行を知り、証拠隠滅を図ったのでは、などというのもあった。また、鈴木が神様ではなかった、という場合も考察されていたりして、驚かされた次第。

  • 麻耶雄嵩作品初読み。
    ジュブナイルだったらしく、文字大きい&漢字のふりがな多い&余白が多くて大人向けの小説の想定ならページ数の半分くらいの長さなんじゃないかと思った(笑)
    結末はえっΣ(゚Д゚)って感じなのですが面白く読めました。
    神様の「このクラスにも珍妙な名前の子がいるだろ。子どもの名前を見れば親の底が知れるよ。」の台詞は納得だわ(笑)

著者プロフィール

1969年三重県生まれ。京都大学工学部卒業。大学では推理小説研究会に所属。在学中の91年に『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』でデビューを果たす。2011年『隻眼の少女』で第64回日本推理作家協会賞と第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞。15年『さよなら神様』で第15回本格ミステリ大賞を受賞。

「2023年 『化石少女と七つの冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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