今はもうない (講談社文庫)

著者 : 森博嗣

• 講談社 (2001年3月15日発売)

感想・レビュー・書評

[ploughさんの感想 · 2023年12月17日]

理系ミステリとは何か。

思えば「夏のレプリカ」もそうだったが、これまでの作品に比べて理系要素が少なくなってきている。
今作の理系要素といえば、嵐で閉じ込められた屋敷から警察に無線機を用いて通信する所くらいだと思う。

しかし、今作は直接的な理系要素はないものの、仮説を立て実験/実証を行う考え方に理系的な思考があったのではないかと思う。
それぞれの登場人物が仮説1〜7を考え、今回の密室について思考していた。
ここで、どの辺りかは忘れたが仮説をもたない者に役割はないと文章があったように思う。
これは読者への挑戦かつ、メッセージだと思う。
ミステリに対して、また普段の日常/勉学の中でも思考せよというメッセージだと、私は受け止めた。

仮説→検証→考察→仮説…を答えが出るまで繰り返すことに楽しさを感じているのが犀川だと思う。
特異なキャラだと私は感じるが、思考することを止めないこのキャラクターに私は惹かれる。

なお、今回の密室についても明確な答えは出ずに終わる。最終的にキャラクター間で結論の出された内容は、正直にいうとインパクトに欠けて面白みはない。
しかし、そんなことだったの？と言わずにいられない内容であるにも関わらず、真相にたどり着けない自分がいて、負けたような気分になる。
考えれば考えるほどドツボにはまり、いくら思考しても答えに辿り着くのが難しいという点で、「ミステリ作品」していると思う。

あとがきの内容が的を射ていた。
ミステリ作家は詐欺師やマジシャンに近い。
読者が想定できないようなトリックを書くのがミステリ作家である。
今作の叙述トリックには少ししてやられたため、そういった部分も含めてこの作品もミステリ小説なのだと思う。

[かのんさんの感想 · 2023年11月17日]

【2023年147冊目】
面白いくらいにしてやられました。ずっと違和感というか、どこか居心地の悪さを感じていて、｢ちょっと思考がきつい｣って思ってたんですけど、真相が解明して理由がわかりましたし、安心しました。思えばヒントはいろいろ散らばっていた筈なのに……思い込みは判断を鈍らせますね。

[makotocupidさんの感想 · 2023年10月12日]

話の展開は好き！

[ayatsukaさんの感想 · 2023年10月3日]

再読。仕掛けを知ってて読むとわかるのにな。この本は事件より仕掛けの記憶が大きくて、事件についてはむしろ初見気分で楽しめたかも。

[ALPALEXさんの感想 · 2023年9月6日]

面白かったよ

[ogさんの感想 · 2023年8月24日]

巧みな叙述トリック的な部分が面白かった（ずっと萌絵だと思ってたら、その人は萌絵の叔母だった）

事件の真相を明確に解明せず、あやふやなまま終わらせるところも面白い。
（とはいえ、一応犀川による推察は読める）

シリーズの中で2番か3番目くらいに好き。

[rpaさんの感想 · 2023年8月17日]

面白かった。本当に面白かった。。。
今までのシリーズとは少し違うテイストで文量は多いが一気に読んでしまうくらい面白い内容だった。今作はネタバレになってしまうことが多く上手く言語化できないのだが、とにかく読んでほしい。。なんてゆうか、森ファンが多い理由が分かる一冊だった。

[woodさんの感想 · 2023年5月2日]

面白かった。
回りくどい笹木氏の文体は、海外文学の翻訳モノみたいだなぁと思った。

[コーヒー豆さんの感想 · 2023年3月30日]

シリーズの中の清涼剤というだけあって、いつものs&mシリーズとは一味違う作品でした。最後まで読むと、まぁびっくり！

[横さんの感想 · 2023年3月4日]

回想モノ。萌絵だと思い込んでハラハラドキドキしながら読んだけど…？？

著者プロフィール

工学博士。１９９６年『すべてがＦになる』で第１回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「Ｓ＆Ｍシリーズ」「Ｖシリーズ」（ともに講談社文庫）などのミステリィのほか「Ｗシリーズ」（講談社タイガ）や『スカイ・クロラ』（中公文庫）などのＳＦ作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓　Fool　Lie　Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」