将棋の子 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062737388

感想・レビュー・書評

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  • 「成田英二」という人をはじめとする羽生善治と同世代の人間が、夢に敗れながらも奨励会で切磋琢磨した思い出を糧に残りの人生を生きていく物語。
    羽生善治といった「本当にすごい人」ばかりが有名になるが、その裏で多くの人が、実力や運に恵まれず挫折する現実を突きつけられる。
    ノンフィクションならではのままならなさを実感するが、だからこそ勝者の物語よりもむしろ感情移入して読めた。

  • プロの棋士を目指すが夢やぶれていった人たちの、その後を追った話ってところでしょうか。

    将棋に打ち込んで、天才と呼ばれた人でもプロの棋士になるのは難しいんですね。

    自分が信じた道が閉ざされた時の挫折感を感じながらも、それでもどうにか前に進んでいく人達のドラマに胸を打たれました。

  • プロ棋士になれなかった若者達の人生を描くノンフィクション。将棋界に対する解像度が上がった。プロ棋士になる前に在籍する奨励会には年齢制限があり、一定の年齢に達するまでに四段になれなければ引退しなければならない。ただの人になってしまう、夢を諦めなくてはならない、という残酷なタイムリミットが迫る。プロになれなかった若者のそれぞれの人生が刺さる。

  • 奨励会について認識を新たにした。厳しい世界なのは聞いていたし、元奨の人達をなんとなく応援する気持ちがあったけど、そういう微温い気持ちは吹っ飛んだ。どこか判官贔屓的に見ていたのは見当違いで、本当に突き抜けて何事かを成し遂げた人達なんだと。

  • 強烈な一冊。
    ニワカの観る将レベルだけどひきこまれました。奨励会の厳しさを感じる一方、セカンドキャリア(?)への配慮や対応も必要ではないかなー、時代的にもね、なんて思いながら。

    2022年70冊目。

  • 奨励会の仕組みについては多少知っていたが、20を過ぎて挫折していった若者たちのことについて、深く思いを馳せたことはなかった。
    筆者の最後の主張・問題提起については共感できるものではなかったが(時代の流れ?)、退会していった者達のその後の人生と、その後彼らがどう将棋に向き合っているのかは、とても胸を打たれるものだった。
    自分は将棋ファンというほどではないが、恐らくは将棋ファンは知っておくべき内容であり、必読と言って良いでしょう。

  • うー最高、何回も心が震えた…将棋を通して色んな人の人生を覗かせてもらった。将棋の世界かっこいい。人が生きるのって美しい…

  • 「聖の青春」よりも独りよがりな印象を受けた。読む順序次第で評価は変わる

  • 胸が熱くなる/ 将棋という悪魔のゲームに関わってしまった人たちの物語/ 小学生の頃からその街どころか近隣都市一番の大天才も、奨励会に入れば普通の人/ その大天才の集まりの中でどうやって頭一つ抜けるか/ みんな一生懸命闘っているが、必ず敗者も存在する/ 将棋以外になにも知らない青年たちのその後/ 成田英二という人を軸に話は動いていく/ 定跡なんか勉強しない、自分は自分の将棋で勝ちたい、そうじゃなきゃ意味がない/ 結果棋士になれずタコ部屋で手取り1万円の過酷労働者/ 小学生の頃は有段者しか上がってはいけない和室でぱたぱたとセンスを扇ぎそこにいる大人全員を屈服させていたという、その対比が泣ける/ また、羽生という人間がどれほどの天才なのか、感じられるのじゃないか/ 序盤は凡でも終盤は鬼、指し方にこだわりが強くて負けが込むと言えば加藤一二三もそうだと思うが、加藤は最年少プロ棋士になった/ そういう意味では腕力の問題だったのではないかという気もする/ 江戸時代の指し方とか言われてるし、でも斯界の大人を蹴散らしてまっすぐ18で8段だし/ 毎日闘っている人は泣いてしまうだろうね/

  •  年齢と段位によりプロになれるか、なれないかが決まる世界あって、なれなかった人達の人生を追った作品である。
     
     作者は
     「将棋は厳しくはなく、その本質はやさしいものなのである。アマであろうとプロであろうと奨励会員であろうと、将棋はそれをやるものに何かを与え続けるばかりで、決して何も奪うことはない。しかも、それに打ちこみ夢を目指した少年の日の努力や鍛錬は、多きな自信となって彼らの胸のなかに生き続けているのだ。」  と言う。

     プロになろうとする者は、始めた頃は年齢も幼く、未成年から始められる場合がほとんどである。それは、両親にとって子供に対する未来への希望と、現実の苦労を受け止め子供の好きなことをさせると言う親心である。
    子供にとってプロになれない時の気持ちは、計り知れなに挫折感があると思う。
     だが、作者の言うとおり、自信となって彼らの胸のなかに生き続けており、進む道が将棋のプロであろうが、他の職業であろうが、自己形成の場が奨励会という場であったというだけである。

     面白い小説ではあるが、
    自分ならどの様に行動するのか~~、考えさせられる内容である。

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著者プロフィール

1957年、札幌市生まれ。大学卒業後、日本将棋連盟に入り、「将棋世界」編集長などを務める。2000年、『聖の青春』で新潮学芸賞、翌年、『将棋の子』で講談社ノンフィクション賞を受賞。さらには、初めての小説作品となる『パイロットフィッシュ』で吉川英治文学新人賞を受賞。

「2019年 『いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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