国境 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 74
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  • Amazon.co.jp ・本 (848ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062738606

感想・レビュー・書評

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  • 2001年初版。疫病神シリーズは過去に2冊読んでいます。本作以外ですがドラマ・映画も観ました。解説も入れると850ページになろうとする長編。イメージとしてはスポーツ新聞に連載されているような若干下衆で暴力的な作品ではありますが、イケイケのヤクザ桑原と如何わしい建設コンサルタント二宮の悪を悪が裁くストーリー展開が面白く、テンポのいい大阪弁(ガラはよろしくないですが)に、ドンドンと読み進めます。北朝鮮の現状を描くシーンには、気持ちが重くなります。読後に心に残るものは少ないんですが、スカッとさせてくれる娯楽作です。北村一輝さんと濱田岳さんコンビでの映像化を希望します。ただ、北朝鮮が絡む作品だから難しいでしょうね。

  • 「疫病神」コンビの第2作。金絡みの腐れ縁と嘯きつつ底流にある2人の友情と矜持の物語は今作でより爽快感が増す。なぜなら下手をうてば一生日本の土地を踏めなくなるリアル魔境金正日政権下の北朝鮮に、逃亡した詐欺師を追いかけ潜入する本当に命がけのシノギだからだ。平壌、豆満江と2回の北朝鮮の描写が圧巻で、これまでも大阪の街を、ルートをどこをどう通ってと緻密に描写してきた筆者独自のスタイルが踏襲されている。照明のない闇につつまれた北朝鮮の都市、郊外、中国との国境の村などなどの描写は、いったいどれだけの取材をしたのだろうかと思うくらいの圧巻のリアリティである。北朝鮮という独裁国家における国民への管理と格差の社会の現実に直面し、極道で欲の権化のような主人公桑原が、そのあまりの酷さに憤りを露わにする場面には、作者自身の憤りも滲んでいるのだろう。北朝鮮帰国後の、詐欺師、敵対する2組の暴力団、マル暴刑事、議員秘書などが、三つ巴、四つ巴になって争うクライマックスは一気呵成の面白さである。「疫病神シリーズ」として再編された文春文庫版は上下2巻だが、830ページをしても上下巻に割らないのはさすが講談社文庫である笑。

  • 疫病神シリーズは全部面白いけど、その中でもこの「国境」が一番好き。傑作!
    金への執着と執念が凄すぎる二宮と桑原が最高。
    未読なら是非読んでみてほしい。

  • 衝撃だった。ここまで悲惨な状況だとは思ってもみなかった。それでもなお、この国は〝地上の楽園〟なのか。建設コンサルタント業の二宮と暴力団幹部・桑原の「疫病神コンビ」が、詐欺師を追って潜入した国・北朝鮮で目にしたものは、まるで想像を絶する世界だった――。読み出したら止まらないサスペンス超大作。
    (2001年)

  • 衝撃だった。ここまで悲惨な状況だとは思ってもみなかった。それでもなお、この国は“地上の楽園”なのか。建設コンサルタント業の二宮と暴力団幹部・桑原の「疫病神コンビ」が、詐欺師を追って潜入した国・北朝鮮で目にしたものは、まるで想像を絶する世界だった―。読み出したら止まらないサスペンス超大作。

    疫病神シリーズ第二弾。逃げた詐欺師の一人を追って北朝鮮に乗り込む。バトルありカーチェイスあり、ハラハラドキドキでアクション映画顔負けのエンターテイメント小説です。シリーズ第一作目の『疫病神』よりも、キャラがさらに生き生きしていて、コミカルな仕上がりになっていると感じました。結末も一発逆転……と思いきや、そこは『疫病神』なんですね。いやー面白かったー。

  • おもしろい。エッセイもおもしろいけど。桑原さんが最高。二宮さんも素敵。

  • <驚>
    本文庫の解説を今は亡き藤原伊織さんが書いているのを知って驚愕。そして読んで面白く読み終わったら涙した。『テロリストのパラソル』の藤原伊織。いつ亡くなったんだっけ。あまりに早く若かったよなぁ,とまた涙。一体どの本の感想書いてんだ!とは思うが僕の感想はいつもこんなのだから今回だってこれでいいのである。イオリン,あらためて冥福をお祈りします。

    そして今回黒川博行の諸々作品を調べたせいで僕にとっては誠に目からうろこのエライ事に気づいた。なぁんと黒川博行はチョッキ(直木)賞を三回も獲っている。僕はチョッキ賞は塵芥川賞と同じで一人の作家には一回しかとらせないものだと思っていた。いやはやまぢ驚いた。

    (あ,誠に余談なのですが僕はこの黒川博行の「疫病神シリーズ」を読み始めてまだ2週間足らずの初級者ですが既に全編読んだ様な先輩諸氏に質問です。このシリーズは初出はどこかの雑誌に「連載」されたものなのでしょうか。それとも書き下ろしですか?)

  • 疫病神シリーズの第二弾という事で買った一冊。

    分厚いく読むのが一瞬戸惑う外見だが、読み始めたら分厚さをあまり感じずスラスラ読めてしまった。

    20年くらい前の内容だから今の北朝鮮とは国内の事情は違うかもしれないが、酷い国だと改めて知ることができた。

    疫病神コンビはやっぱり面白い。
    やりとりが最高だ!

    中国や北朝鮮の地名や人の名前がいまちい頭に入ってこないのと、読み難かった。

    疫病神シリーズが楽しみになった小説であり、
    北朝鮮は本当に酷い国とよくわかった小説でもありました。

  • 厄介者第2弾

    北朝鮮の実情が緊迫感を持って描かれている。
    我々の知らないうちに北朝鮮の経済を牛耳られているのかもしれない。

  • 最初はちょっと冗長な感じがしたのですが、2度目の渡航あたりから一気に引き込まれページをめくるのがもどかしいほどぐいぐいとラストまで読み進めました。いくら闇世界のお話でもありえない、滅茶苦茶だなあ、と苦笑しながらなのですがこのページ数をラストまで一気に読ませるリーダビリティはさすがです。本当に現地で取材をされていたと読後知り、きっと現在も現地はこの詳しい描写と大差がないのだろうと悲しくなりました。二人の微妙な距離感と信頼度が何とも言えず好きです。ラスト1頁の描写で貰った優しい読後感にとても嬉しくなりました。

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著者プロフィール

黒川博行
1949年、愛媛県生まれ。京都市立芸術大学彫刻科卒業後、会社員、府立高校の美術教師として勤務するが、83年「二度のお別れ」でサントリミステリー大賞佳作を受賞し、翌年、同作でデビュー。86年「キャッツアイころがった」でサントリーミステリー大賞を受賞、96年『カウント・プラン』で推理作家協会賞を、2014年『破門』で直木賞、20年ミステリー文学大賞を受賞した。

「2022年 『連鎖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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