日本語必笑講座 (講談社文庫 し 31-31)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062739009

感想・レビュー・書評

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  • 楽しみながら、日本語についてもう一度考えたくなる本

  • 日本語の本をもっと読みたくなりました。

  • タイトルに偽りなし! 「必笑」である。
    ここそこに面白い日本語が転がっている一冊だった。
    清水氏の本を読むのはこれが初めて。パスティーシュを得意とする作家のようだ。それがよくわかる気がする。この方は「言葉・日本語」が大好きなのだろうなぁ。それを使って面白く遊んでいる。

    本書は「ことばの見本市」「流行語変遷史」「ヘンナ語みっけ!」「ことばのおしり」「ことばがらみ」「ことばめぐり(イアン・アーシー氏との対談)」で構成されている。

    「ことばの見本市」は、2年間にわたって新聞に掲載されていたものを収録。
    様々な分野の人々が使う独特な言葉遣い。「そう言えばヘンね(笑)」と気づかされる。最初は「ん?」と感じていたものも、繰り返し耳にしてしまうと慣れてしまう。こういう風に指摘されたものを読んで初めて最初に感じた気持ちを思い起こして、「ほぉ~」となるのだ。

    「日本語」という言語は本当に曖昧である。ほら、私は「言葉」と漢字で記しているが、清水氏の著書のなかでは「ことば」とひらがな表記になっている。ここからして受けるイメージは異なってくるだろう。どれが正しいとかどれが誤りとかというものではない。その表記を使う本人がどんなイメージでその言葉を捉えているか、なのだ。
    ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベット。いろんな表記方法があって、漢字だって一つの言葉にいろんな表記ができる。どの表現方法を選ぶか、それは書き手の好み次第であったり、どういう風に読み手に伝えたいかという気持ちが表れていたり。選択肢が多い、ということを「面倒だ」と嘆くか、「面白い!」と楽しむか。

    「流行語変遷史」では、戦後(1945年)から1900年代最後の年(1999年)までの流行語を並べている。中には解説付きで。そう言えばこんな言葉もあったねぇ・・・なんて懐かしく振り返ったりしながら愉しく読んだ。そう思わせるものは「流行語」で止まってしまった言葉たち。中にはその当時に作られてそのまま定着したものもあるはず。それはもう「流行語」とは呼ばれなくなるんだねぇ。

    「ヘンナ語みっけ!」。これは外出時に読まないようにオススメする。一人で本を読みながらニヤニヤ笑っているなんて、変な人扱いされてしまう。「ニヤニヤ」ですめばいいが、中には不意を突かれて大爆笑してしまうものもある。ここはまず、家の中で一人で楽しむことにしよう。この章こそ「必笑」だ。

    「ことばのおしり」では、「藪」「茶」「嘘」「虹」「鬼」「尻」という6つの言葉について語っている。一つの言葉でよくもまぁ、ここまで広げていけるものだ。
    それぞれの言葉が含まれている慣用語も多い。なぜそういう風な使われ方をするようになったのか。そういうようなことを中心に著者が解説(?)しているわけだけれど、何気なく使っていた慣用語も考えてみると不思議なものだなぁと気付く。全く関係なさそうなものなのになぜこの言葉が使われたのだろうかと思うのだ。
    「藪医者」はなんで”藪”なんだ?
    「無茶苦茶」はなんで”茶”なんだ?
    「うそ寒い」の”うそ”は”嘘”? 
    不思議だなぁ。

    「ことばがらみ」では「日本語」について書かれている、といって間違いはないだろう(というよりこの本全体が”日本語”について書かれているのだが・・・)。
    「日本語」って特別なんだろうか。
    こんなに曖昧で難しい言語はない。多くの日本人がそう思っているようだ。けれど、本当にそうなんだろうか。先に述べたことと矛盾するかもしれない。
    確かに日本語には一つの事象について様々な言い方があったり書き方がある。表現方法の選択肢が多い。誰に向かって発するのか。どういった場面で使うのか。それによって使い分けている。だから難しいといえば難しい。日本人だって論理的に「ここはこうだからこの言葉を使うんだ」なんて説明できる人は少ないだろう。何となくしっくりくる言葉を選んで使っている。日本語を感覚的に使っているから外国の方に説明することができないのだ。だから、「日本語は難しい」と多くの日本人が思う。日本語を上手に操っている外国の方に出逢うと「すごいですね!」と驚く。
    けれど、他の言語と比べて、「日本語」ってそんなに特別なのかな。ちょっといろんな国の方に聞いてみたい。

    最後の「ことばめぐり」はカナダ人の翻訳家であり日本語研究家あるイアン・アーシー氏と清水氏との対談である。アーシー氏からみた日本語もまた興味深い。彼の著書も要チェックだ。ぜひ読んでみたい。

    さて・・・。
    日本語に限らず「言葉」というものは面白いなぁと常々思っている。それぞれの国の言葉の繋がりなども調べてみると面白いだろう。本書の中でも「茶」という言葉について、清水氏が試みているように。「tea」だって元をたどってみれば「ちゃ」から来ているというのは本当だろうか。「チャイ」もまた。
    自分で調べるのは骨が折れる。だからこうして様々な人が書かれた本を読む。そうしてまた「言葉」について考える。「やめられない、とまらない♪」である。

  • 日本語って、変だww

    借り物。

  • 笠提供。

  • 「ツナ缶」「鮭缶」「鯖のみそ煮缶」「猫缶」
    猫缶の原材料はねこ??
    日本語につっこみを入れているので、暇つぶしに最適。

  • 「うん、あるある」っていう発言がこの本には書いてある。例えば、政治家の言う、「大変遺憾な事です」やスポーツ解説者の言う、「そうですねー」などマニュアルがあるかのように、人は同じ言葉を使う。(政治家のマニュアルは実際にあるらしい)<BR>表紙のかわいさとは逆に、著者は結構辛口な突っ込み。でも、それが的を得ているので面白い。<BR>さらに、「古い言葉を守ろう」ではなく、「言葉は変わっていくものである」という、著者の考え方にも好感を持てる。

  • 勉強になる。そして面白い。

  • これは面白い。<BR>
    日本語についてのエッセイで中身はかなり濃いのだが、この作者にかかると、笑ひながら考へさせられるといふ、奇妙な經驗をすることができる。<BR>
    私は通勤電車の車内で讀んでゐたのだが、笑ひを堪へるのに往生した。<BR>
    聲はなんとか出さずに濟んだが、横隔膜や腹筋の小刻みな振動を押さへることは不可能であつた。<BR>
    <BR>
    第?室から第?室までの6部構成となつているが、その第?室。<BR>
    「ヘンナ語みつけ」と題されてゐて、街で見つけたおかしな日本語が集められてゐる。<BR>
    たとへば、<BR>
    「シロアリ・ゴキブリ・ダニ・ねずみ等の相談を受けてをります」<BR>
    私の頭の中では、殺蟲劑による被害に困つたゴキブリやねずみが相談を持ち掛けてゐる映像がイメージされてしまつた。<BR>
    「このままでは我々は全滅だ、どうしたものか」<BR>
    「さうだ、こないだ貼り紙があつたぞ、あそこで相談してみやう」<BR>
    なんて・・・。<BR>
    <BR>
    2003年11月19日讀了

  • 清水氏による、日本語への突っ込み本。彼の日本語論は面白いなと思う。たとえが良い。「お夜分どうもすみません」には状況を想像して爆笑した。
    ちょっとつまらない章もあった。

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著者プロフィール

1947年愛知県生まれ。愛知教育大学教育学部国語学科卒業。1981年『昭和御前試合』でデビュー。1986年『蕎麦ときしめん』が話題となり、独自のパスティーシュ文学を確立する。1988年『国語入試問題必勝法』で第9回吉川英治文学新人賞を受賞。2009年、名古屋文化の神髄紹介とユーモアあふれる作風により第62回中日文化賞受賞。『永遠のジャック&ベティ』『金鯱の夢』『虚構市立不条理中学校』『朦朧戦記』等著書多数。また西原理恵子との共著として『おもしろくても理科』『どうころんでも社会科』『いやでも楽しめる算数』『はじめてわかる国語』などがある。

「2021年 『MONEY 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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