黒と茶の幻想 (下) (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062753616

感想・レビュー・書評

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  • 上巻を読んだその日にそのまま勢いで下巻も読了。
    理瀬シリーズ、の一部として読むと麦海の後なのでなんとなく物足りなさはあるけど面白かった。中盤、ラスト直前まではめちゃくちゃ面白くてのめり込めるんだけど最後にパッと手を離されてしまうこの感じ、好き嫌い分かれそうですが私は最高に好きです。これぞ恩田陸。黄昏に行く前にもう一度麦海読み返そ〜〜!

  • 麦の海のように読んでいてハラハラする方が好みだった。これは淡々と進むのがちょっと辛い。

    上巻では利枝子のことは結構好きだったのに、下巻読んでなんだか無理になってしまった。蒔生の章を読んでいる時は蒔生が本気で無理だったが、節子の章ではその嫌悪感は少し和らいだ。
    蒔生は自分に正直なのはいいんだけど、その過程や結果で誰かを傷つけているというところが受け付けない。傷の付け方が生半可じゃないんだもの。一生かけても修復できない傷というところがたち悪いわ。
    それでもまだ好きだという利枝子が無理だ…そこが彼女を苦手になってしまった要因だな。

    憂理のその後をこんな形で知ることになるのが悲しい。実は生きてました、ならどれだけ救われることか…
    憂理、綺麗で闇に沈んでいきそうな危うい女の子が好きなのかな。理瀬にはそれがないもんな〜あの子は完全に自分が闇側だと理解してるしね。

  • 美しき謎と過去への思索の旅

    圧巻だった
    上下巻およそ750超Pあるが、特別なことは起こら
    ず、学生時代の親友4人が数日間をともにしたY島
    旅行での会話で綴られた物語

    各章ごとにストーリーテラーが代わるのがポイント

    ほぼ4人+1人の登場人物は下記で当ててみた

    利枝子…黒木華
    彰彦…加瀬亮
    蒔生…豊川悦司
    節子…木村佳乃
    憂理…蒼井優

    『三月は〜』の第一章と同じタイトル
    四人の親友が非日常の旅にきて、それぞれが心に
    引っかかっていた過去と対面し、ときに美しく、
    ときに残酷に謎を明かしていく

    利枝子は、親友の憂理の死の事実と最愛の蒔生が
    突然去った理由を…彰彦は、親友の死の真相と姉の
    歪んだ愛情を…蒔生は自分という存在と憂理との関係…
    節子は、自分の置かれた環境と過去…それぞれが内省
    したり会話の中から解答を導いていく

    たわいのない会話から生まれる真実
    4人ともに個性が違うけど、自分の中に4人のどっか
    しらに引っかかる面があるのが面白かった

    “愛を証明する”って出てきたけど、それは自分でも
    わからない

    「理瀬シリーズ」の憂理が出てきた
    利枝子、彰彦、蒔生とどこかで接点があり、憂理は
    利枝子を愛したために命を落としたことになっている…

    ここまで話せる幼なじみや親友がいないことに気づく
    と淋しい…まあ、それもひとつの森なのか

    これも恩田先生の中で大好きな作品

  • もう少し歳を重ねてから読みたい

  • 「夜のピクニック」の大人版のような感じがした。

    学生時代の友人と、日常を離れて旅をしたら、どんな気持ちになるのだろう?
    私も4人のような友人と同じような旅をしてみたくなった。

  • 2010-03-16 前回読了
    約10年前に読んだ時が、4人の登場人物と同じくらいの歳の時
    再読がその約10年後。
    またもう3,4年したら再読するとおもう。

  • 蒔生の語りに引き込まれた。魅力的なのがよく分かる。
    生と死を大きな尺度で捉えていて、一人一人の中には森のように奥行きがあり人に見えているのはその一部であり、一人で歩いていくことは寂しくないと教えてくれた節子が、このメンバーの中では一番大人だなぁと思った。最後のまとめ役に最適。
    それぞれの独白で進むこの本は、他の3人の真意がどこにあるのか考えるのも楽しい。大人の距離感として「言わなかったこと」に隠した感情があるのではと想像が膨らむ。

  • 読み始めた時、最後の章が節子になっているのが、不思議だった。でも、ジェットコースターが乗り場にゆっくりと戻ってくるような、騒ついた心を沈める構成は、これはこれで素敵だった。高校生の時、M岳を登った経験があるが、下山した時の開放感というか、安堵感は今も記憶の片隅で座っている。構成はその感覚にも似ている。安堵の先にあるものは、次は、ゆっくりと観察しながら歩きたいという感覚だった。
    何故、図書館の下巻は上巻よりきれいなままだったのか、恩田さんの本を上巻でやめられる人は少ないだろう。でも、下巻を読みながら、あるいは、下巻を読み終わった後に、上巻を観察したくなる気持ちを抑えきれないのではあるまいか。

  • 下巻は、蒔生と節子の章。上巻から引き続き、Y島の森の中を4人で登山する様子が描かれている。4人とも普通の大人だが、森の中の神秘的な力のせいか、非日常的で特別な空気が終始、漂っているのが感じ取れる。何か事件が起こるか、過去の事件が露呈して深刻な展開になるかと思いきや、それほどのこともなく、Y島の4人の旅行の終わり、つまり物語が幕を閉じると同時にホッとして穏やかな気分にもなった。この4人は、幸せだと思う。Y島、私も行ってみたい。友情、自然の力は偉大だ。

  • 旅という非日常的な時間によって、繰り広げられる胸の内。
    この4人で旅に出ることが出来たということは、ある意味奇跡だと思う。
    この年齢だからこそ理解できることが沢山あり、不思議とどの人物にも共感することができた。

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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