スイス時計の謎 (講談社文庫)

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  • 講談社
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感想 : 185
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062753876

感想・レビュー・書評

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  • ロジックを重視した謎解きの短編集。表題が謎は単純だが本格派としてはいい出来かも。スイス時計のことに頭を集中させればいい。まあ、結構分かってしまったんだけど。ただ、物語を読む楽しさがなあ。はっきり言って、ストーリーテラーとしての面白さは薄い。有栖川有栖はそういう感じかな。

  • 作家アリス国名シリーズ短編3+中編2。トリックは手堅いが今回は全体的に印象が軽いのはこの形式で収録されているせいか。初めから読んでいる身としては以前にさらっと語られてた2人の出会いのエピソード「あるトリックの蹉跌」は嬉しい。原稿途中で犯人を当てる火村先生の組み上げ方が面白い。表題作は倒叙物で犯人視点が新鮮。「船長が死んだ夜」「トロッコの行方」は安定して綺麗に纏め上げられていて好み。最後に新たな視点が示される前者とある意味暴走の果てな後者。ある意味真逆なんだけど。

    • 111108さん
      おじょーさんさん、はじめまして。
      いつもレビュー楽しく拝見してます。
      これから読みたいミステリーの参考にさせてもらってます!

      フォローして...
      おじょーさんさん、はじめまして。
      いつもレビュー楽しく拝見してます。
      これから読みたいミステリーの参考にさせてもらってます!

      フォローしてる人のしかタイムラインで読めなくなったみたい?なので、今更ながらフォローさせていただきますね。
      よろしくおねがいします♪
      2021/08/07
    • おじょーさん
      初めまして。フォローありがとうございます。
      最近他の人のレビュー、見にくくなりましたよね。
      こちらこそ今更になりましたがフォローさせてい...
      初めまして。フォローありがとうございます。
      最近他の人のレビュー、見にくくなりましたよね。
      こちらこそ今更になりましたがフォローさせていただきました。
      よろしくお願いします。
      2021/08/07
  • 作家アリスと火村の国名シリーズ。
    短中編4編収録。

    この短編集の中では、やはり表題の「スイス時計の謎」が一番好き。
    推理物としてよくできているのはもちろん、アリスの高校時代が垣間見えて楽しい。美少女ネタは他でも読んだけれど、なんだったっけ。
    時間の流れ・人生のいろいろが切なさを感じさせるけれど、近頃すっかり火村センセイからアリスファンにシフトしたわたしにはアリスの失恋の思い出のほうが切なかったり。

    「あるYの悲劇」のYは何かというのは割とすぐにわかる。
    ただ、なぜその人物を指すのかは全くわからなかった。
    こういう雑学(というのも違う?ネタバレにならない表現が難しい…)は面白い!

    「女彫刻家の首」と「シャイロックの密室」。
    こちらの2編はあまり好みではないが、倒叙ものはたまに読むと新鮮。

    • takanatsuさん
      九月猫さん、こんにちは。
      先日は私の拙いレビュにコメント頂きありがとうございました!
      出来たら有栖川有栖さんの本をたくさん読まれている九...
      九月猫さん、こんにちは。
      先日は私の拙いレビュにコメント頂きありがとうございました!
      出来たら有栖川有栖さんの本をたくさん読まれている九月猫さんにお聞きしたいことがあるのです…。
      有栖川有栖さんの本はシリーズものが多いことを知って今少し困っています。
      これは作家アリスシリーズの1つですよね?それとは別に学生アリスシリーズなるものがあるようですが、続きものなのでしょうか?
      (学生アリスが作家アリスになった?)
      私はソラシリーズしか読んだことがないのですが、他のも読みたいなと思っていて、九月猫さんの1番好きな本やシリーズがあったら教えて頂けないでしょうか?
      2013/02/23
    • 九月猫さん
      takanatsuさん、こんばんはー♪

      有栖川有栖さん大好きなので、興味を持っていただいてすごく嬉しいです(^-^)

      >学生アリ...
      takanatsuさん、こんばんはー♪

      有栖川有栖さん大好きなので、興味を持っていただいてすごく嬉しいです(^-^)

      >学生アリスが作家アリスになった?

      …って思いますよね(^-^;)
      でも、作家アリスと学生アリスは別設定=別人物です。

      探偵役も違っていて
      作家シリーズ→大学時代からの友人で今は母校の准教授・火村
      学生シリーズ→大学の先輩でミス研の部長の江神

      それぞれのアリスを別人物にしたのは、学生アリスが作家アリスになったとすると、アリスが探偵役を乗り換えた節操無しに見えるからだとか。

      たくさん作品が出ていて、短編集もあってバラエティに富んでいるのは作家アリスのほうです。
      がっ、個人的にはやっぱり氏のデビュー作である学生アリスの一作目から、できれば三作目まで読むのを推します。
      今読むと一作目は「…若いな」って感じなのですが(←エラそうですね。笑)。
      作家シリーズはどれからでも気軽に読めると思います。短編集は一冊の中にいろんなタイプの作品を収録したバラエティに富んだ作りになっているものが多いです。

      シリーズもの以外では、主人公が幽霊という設定が気にならなければ「幽霊刑事」あたりがとっつきがいいかも。
      わたしは「幻想運河」という作品も好きなのですが、コレ悲しいことにあまりファンの間では人気がないのですよねー。

      少しでもお役に立てればよいのですけれど…
      不人気作が好きだったり、まだ「ソラ」シリーズを読んでいなかったり、なので、takanatsuさんへのおススメが的をハズしたものになっていたらごめんなさいm(_ _;)m
      2013/02/23
    • takanatsuさん
      わぁ!ありがとうございます!
      学生アリスシリーズから読んでみます♪
      幽霊刑事も気になります!

      本当にありがとうございます!
      図々...
      わぁ!ありがとうございます!
      学生アリスシリーズから読んでみます♪
      幽霊刑事も気になります!

      本当にありがとうございます!
      図々しいお願いになってしまったかも…と心配だったので、こんなに早くお返事頂けてとても嬉しいです!
      2013/02/23
  • 4つの短編集。それぞれ本格推理で楽しめる作品である。二番煎じ感は否めないが、有栖川有栖らしい作品である。

    あるYの悲劇:有栖川有栖の小説を書き始めた理由が垣間見える。ダイイングメッセージもの。想像しやすい。

    女彫刻家の首:題名通り首の無い死体の謎、なぜ首が無いのか?動機と機会と共に明らかにされていく。火村が神に対していった言葉が印象深い。この点は奥行きが深く考えさせられた。

    シャイロックの密室:火村視点ではない作品。題名通り密室だ。シャイロックはベニスの商人に出てくる金貸しの名前で、職業は合致する。犯人の視点で新鮮だった。

    スイス時計の謎:2年に一度の同窓会で事件は起こる。社会思想研究会のメンバーの証であるスイス製の時計が遺体から消えている。なぜ持ち去ったのか?犯人に行きつくまでの論理的思考の展開は面白い。青春時代の勘違い野郎の集いに思えてしまう。自分の高校時代を思い出してしまった。

  • 作家アリスの国名シリーズ7作目。
    4編の短編からなる物語。
    結構本格派が多かった。
    動機は何であれ殺人は良くないよって話。

  • 「美少女」発言に惹かれて表題作だけ先に。わかりやすい私。アリスのトラウマが軽く解消されつつ、プチ同窓会で楽しく読めた。トリックも今まで読んだ有栖川作品で一、二を争う上手さなんじゃないか。最後だけ、なんか中途半端な感じが残るなあ。自白もあったし、まああれ以上書くこともないんだろうけども、無理やり終わらせた感じが。

  • ミステリーの王道ともいえる題材を扱った短篇・中篇が読める。
    表題作では火村の語る腕時計に纏わるロジックに感服した。
    被害者が遺したダイイングメッセージを解読したり、死体の頭部が彫刻の首とすげ替えられた理由を探るのも面白い。
    倒叙ミステリーもあり、盛り沢山な内容だった。

  • スイス時計の純度100%ロジックに完敗

  • 久しぶりに時間が取れたので一気読みできた~!うれしい!

    「あるYの悲劇」
    怪しい人はなんとなくわかったけど、Yの意味が分からなかったので、種明かしのときはおお~ってなった。
    お父さんが書いたタイトルが衝撃的すぎてそれが一番記憶に残ってる(笑)
    絶対話が合ったのにね……。

    「女彫刻家の首」
    これが一番好きなので、やっぱり私は余韻が残る終わり方が好きみたい。首を切った訳も納得。
    最後の火村の悪態がとても心に残ってる。

    「シャイロックの密室」
    犯人視点だと火村の恐ろしさが分かるね。
    ちょっと間抜けな展開にそんなのあり~!?ってなっちゃった。

    「スイス時計の謎」
    インテリたちが鼻についてしょうがないですね。
    ロジックの展開は見事だけど、理解するのに一番時間がかかった。美少女って言われてたの笑った。
    最後のアリスの言葉が印象的。よかったね…!

  • 作家アリスシリーズの短編集の中でも、この作品は割と正統派のミステリだった。
    4話入ってるけど、表題作の「スイス時計の謎」がほぼ半分を占める中編。
    やっぱり当たり前のようにアリスにお誘いの電話を掛けてくる火村センセは謎。ほとんど精神安定剤なんじゃないか。

    有栖川さんの短編はいつも質が高いとは思うんだけど、短編として成立させるべくミステリの不可欠要素を最優先で残して構成されていて、でも省略したであろう一見無駄な描写(アリスと火村の下らないやりとりとか)が物語に豊穣をもたらすのだから、つまり、長編読みたい!(笑)

    ・あるYの悲劇…Yと読めるダイイングメッセージが鍵となった話。書き順と書かれた場所からの類推は非常に論理的で気持ち良かった。
    「山崎」で「ヤマモト」と読む名字は知らなかった。
    冒頭で、アリスが街で目にしたティッシュ配りの若者から事件を思い出した訳だけど、その思い出す要因となったエピソード(犯行時間浜本がティッシュ配りのバイトをしてたのにアリバイを立証できなかった)が薄すぎて笑った。

    ・女彫刻家の首…首無し死体は大抵、首に何か犯人を仄めかす証拠が残ってるから持ち去られたと考えるのがセオリーで、凶器や死因を探られないためじゃなければ何なのか、ってところが見どころ。
    あとがきにあるように、彫刻家でなければならない理由が弱いかも。
    あと、被害者がイマイチどんな素材の彫刻作ってたのかよく分からなかったけど、住宅地にアトリエを構えるのは近所への気遣いが足りないかなぁと思った。

    ・シャイロックの密室…倒叙モノ。強力な磁石は扱いが難しそう(昔指を挟んで痛い思いをしたことがある)。
    関係ないけど犯人の性別が最後まで分からなかった。

    ・スイス時計の謎…撲殺事件の現場に(火村に呼ばれて)駆けつけたアリスは、被害者が高校の同級生だったことに気付く。目立つ存在だった6人が卒業後も定期的に会っていて、被害者が殺されたのはそのプチ同窓会の催された日だった。
    事件解決の糸口は、例によって火村の重箱の隅をつつくような細かすぎる推理なんだけど、容疑者でもある彼ら同級生とアリスとが再会することで絡んでくる高校時代のエピソードの方を面白く読んだ。
    高校時代のアリスの想い人が恋文を渡したその日に自殺未遂を起こしたという話はここが初出じゃないけど、大人しくてパーソナルスペースの広い今のアリスの人格を形成した重要な挿話だと改めて思う。小説家になったアリスへの同級生の反応なんかもリアルだったし、アリスの小説家という仕事への思いも知れて、キャラ好きには楽しい作品だった。彼女が自分の小説を読んでたことが分かって、アリスの傷心もちょっとは癒やされたみたいで、良かった。

著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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