- Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062754804
感想・レビュー・書評
-
図書館で何も考えずパッと手に取った本を借りる!という遊びの第一弾。
題材はプロレス×ミステリ
プロレスに全く興味がない私…。不安でしたが、とりあえず読んでみることに。
私はプロレスに「わざと技を避けないのはなんで?やらせなの?」という印象を持っていたけど、だからこそこの本を楽しめたと言ってもいいと思います。知らなかったプロレスの世界を覗くことができました。とても興味深かった!適当に本を借りるとこういう経験もできるんだなぁ。
でもプロレスに詳しい方が読んでもきっと楽しいだろうなと思います。技名や専門用語を知っていたら試合の場景が頭に浮かんでくるだろうし。楽しそう。
1週目の読後感は…普通。裏表紙には「感動の涙が…」とあるので、あれ?はずしたかなと思いましたが、なんとなく最初に戻って数ページ読み直したらこれが面白い。
なるほど!ここはこういうことだったのか!とミステリの醍醐味を味わいながら二週目も結局読破しました。二週目は、少し泣きました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
プロレスとミステリーを掛け合わせたストーリー。
正直言うとプロレスには1ミリも興味が無かったのですが、この本を読むと一転、一度プロレスを観てみたいという気持ちになりました。他の方の感想を読み、実在する人物とリンクさせて描かれていると知って更に興味が湧いてしまいます。
プロレスを知らない者としてはまずプロレスの世界観を理解するのに精一杯で、ミステリーとしての世界になかなか入り込めずにいました。しかし後半は登場人物の個性が詳細に描かれているので、ミステリーを解きたい気持ちで常にドキドキハラハラしていました。
物語が進んで行く中で、主人公のリアルな感情の変化が面白かったです。主人公はプロレスを愛する気持ちや強くなることに関しての想いが強く、私個人としては遠い世界にいるように感じていました。しかし数々の事件に翻弄され続ける姿はとてもリアル。感情移入して一緒に翻弄されてしまった結果読み終わった時にはなぜか近い存在のように感じてしまいます。男性女性でも感想が違うかもしれません。
こんな機会でもないと知らないかもしれない新しい世界感を知ることの出来る、面白い1冊だと思います! -
あらすじ(転記)
プロレス団体の総帥ダリウス佐々木が対戦直後に急死した。額の傷からは蛇毒が。大観衆の見つめる中、何が起こったのか? 新人レスラー山田聡は同期の本庄と謎を追い始めるが、それが第二の悲劇を生む。プロレスに全てを懸けた者が決して許せなかったこととは? 感涙がとまらない第49回江戸川乱歩賞受賞作
新人の山田聡は柔道でそれなりの成績は残したものの、突き抜けた所が無い。いつかはスター選手にと練習に雑用にと勤しんでいた。
事件の起こったダブルメインイベントの試合に臨む総帥「ダリウス佐々木」は聡に、これを最後に引退すると告げる。聡は何故自分にそんなことを告げたのか戸惑った。
外国人レスラーのガンジーと因縁の対決の最中、ダリウス佐々木は倒れ帰らぬ人となる。
死因は蛇の毒によるものであった。
ダリウスの衣装のポケットから小さなカッターが見つかり、その歯から毒が検出され自殺ではないかと取りざたされる。
プロレスでは流血を演出する為に、隠れて自ら額に傷を付ける事があるのだ。そのカッターに毒が付いていた以上、ダリウスの自殺と判断されるのも止む無しだった。
所が聡はダリウスがリングに上がる直前にそのカッターに触れて手を傷つけているのだ、あの時には絶対に毒は付いていなかった。あの時に控室に居たレスラーの誰かがすり替えたのか。
密かに聡は同期の本庄と犯人探しを始めるが、それにより更なる事件が発生し悲嘆に暮れるのだった。
何でしょうか、この消化不良感は。これで乱歩賞かよなんて思いが湧いてしまうのです。ミステリーの部分が弱いなあと思います。プロレスの世界の物語として読めば結構楽しめるのですが、そこに関しても夢枕獏というパイオニアが居るのでちと弱いなあ・・・。
そんな中でも、万年前座の丹下というレスラーが、実は道場破り対策の為に鍛え上げられた組織最強のレスラーで、「門番」として絶対に負けられない使命を帯びていたというくだりはかっこよくて惚れました。いかついおっさんなのですが、結婚を控えていて子供が大好き、猫大好きという人物なのに最強。いいなあこういうキャラクターは。
この丹下の跡継ぎの門番として聡が指名されて鍛えられるのですが、こっちを話のメインに据えた方がいい本になったような気がします。
あ、僕プロレス物好きですがプロレス自体は全然見た事有りません。本先行の耳年増なのです。 -
面白かった
-
プロレスが好きなことが幸いだった。
ミステリーとしては今一歩だが、プロレス本としては良かった。 -
ミステリとしてよりはプロレス礼賛の話として読んでしまったような気がする。
白いマットの上での舞台芸術。プロレスを嗤うことはワーグナーを否定する、甘ったるいイタリアオペラに指を立てるに等しい。 -
若手レスラーである主人公の、プロレスに対する情熱や若者らしい単純さなどがよく描けていて好感が持てます。丹下という「門番」も魅力的に描かれていますし、試合やトレーニングのシーンに躍動感があり魅力的です。
ただ、先がミエミエの展開ですし、被害者の立場や脱税疑惑などといった伏線があまり活かされていないので、ミステリーとして不満が残りました。 -
第49回江戸川乱歩賞受賞作。プロレスとミステリーの融合という奇抜なアイディア。登場するレスラーやエピソードはプロレスファンならニヤリとするものばかり。
プロレス団体の総帥が試合直後に急死する。自殺なのか、他殺なのか…新人レスラーの山田と本庄が真相に迫る。
プロレスの裏側をかなり詳細に描いており、それなりに真実味があるのだが、登場するレスラーが実在の複数レスラーをモデルにしているためか、人物像が今一つ希薄に感じた。ミステリーとしても、今一つの仕上がりかな。