佐藤さん (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 62
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062757515

作品紹介・あらすじ

僕は、「佐藤さん」が怖い。ナイフを持っているわけではないし、不良でもない。ごく普通のクラスメイトの女の子を僕が怖がる理由は、彼女に憑いているアレのせい-。気弱な高校生の僕と、佐藤さんの不思議な関係は幽霊から始まった。青春時代のみずみずしさがあふれる第44回講談社児童文学新人賞入選作。

感想・レビュー・書評

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  • 小さい頃から幽霊が見える佐伯くん。隣の席の佐藤妙子さんには、いつも何らかの霊がついているのでとても苦手だった。ある日、その霊から「見えているのか?」と話しかけられ、成仏に協力することにする。しかし、安土と名乗る霊は成仏する気配もなく、佐藤さんの守護霊になると宣言する。

    子供向けのお話という感じの本で、特に取り立ててなにか面白いことが起こるわけでもなくというストーリー。そこに佐伯くんの過去や佐藤さんの過去が交差してきたり、志村くんや田川さんと行った同級生が絡んだり協力したりという、やっぱり子供向けのお話だ。

    霊が見えるという部分を早々に安土さんという霊に固定してしまったり、他には一切霊が出てこなかったりするあたり、色々ともったいないことをするなあというストーリー。遊園地に行ったとか、同級生とともに高原学習という泊まりの話が広がるチャンスの話が2行で終わる。

    全体に書きたいことのプロットをあれこれ羅列したような文章で、前のめり前のめりにたどたどしく綴られているため、結局誰がどうしたの?と問いたくなるような部分が多い。

    最後のその文が書きたかったんだよねというところはわかるし、でもそこに読者を無理やり引っ張っていくには無理がない?という話。全体にアニメのストーリーっぽいものが消化不良の状態で羅列されている。

    いやいやこれはちょっと、お金出して買う本じゃないでしょ?と思ったが、作者が中学3年の時に書いて、児童文学賞で佳作になったものとのこと。中3の文として、☆はおまけしてもまあ2つってとこ。本人の記念なのはともかく、買って読む本じゃない。

  • 再読

  • 自分の学生の頃を思い出して、いろいろ悩んでたなぁと思いました。テンポも良く、登場人物も好感が持てて、読後も爽やかな気持ちになりました。

  • 面白かった。疲れない本もいい。クスッと笑いたくなるような微笑ましくてかわいい作品。安土さんのような守護霊なら、私も欲しいくらい。たまたま身近に佐藤さんという子がいるので彼女を重ねて読んだので、演劇にならないかと思いながら楽しんで読むこともできた。

  • ・幽霊を背負っている佐藤さんのことが「僕」は怖い。
    ・ついでに佐藤さんは猫もかぶってた。
    ・霊が見えるけど憑かれにくい体質の「僕」と、見えないけど憑かれやすい体質の佐藤さんの、霊がいなくても成立しそうな、少しずつ歩む物語。
    ・とはいえ霊はうまいこと隙間埋め、潤滑剤の役は果たしている。彼がいなければこの話、倍ぐらいの量にするしかなかったかもしんない。
    ・「僕」は気弱だが天然ボケ系なとこもあってそれなりに魅力的には見える。若干イライラするやろうけど。
    ・「僕」のまわりには自己主張の強い人が集まる。
    ・読んでて、ずっと中学生の話だと思ってたが途中で高校生だと気づいた。ちょっと子どもっぽい感じ。
    ・妙にぶっきらぼうな語り口が味になってる。
    ・最後に著者のことに気づいた。以前、たぶんこの作品やったと思うけど、けっこう話題になった人やねえ、たしか。読んでみたいとは思ってたんや、当時。先日、図書館の本棚の端っこにあってつい手にしたんやけど。

  • 可愛らしく、ホッとする内容。
    中学生の時にこんな発想が浮かんで作品に出来るのは素直に凄い。

  • 単純に肌に合わなかったといった感じ。

    一旦著者が中学のときの作品ということは置いておく。
    導入部分の引き込みも良く、キャラ設定も良かったが、頭一話以降は主人公のその才も意味をなくし、ただの意気地無しだった主人公が意気地無しで無くなっていく。
    出会うきっかけでしか、ヒロインの憑かれやすい体質を使えなかったのはもったいなかった。もっとそれ関係で事件起こる系かと思ってしまっていたので。

  • 読み終わってから、中学生のときに書かれた作品なんだと知った。そう思うと、なんか納得。
    簡単な話で、大して面白くない。でも同学年とかなら、なんかもっと素直に感じれるのではないかと。
    もっとどんどん霊がついて、成仏させていくのかとおもったけど、そんな大して憑かず。いい守護霊ついて、めっちゃみんなと仲良くしてるし。え?
    虐待の話も後半でてきたけど、他の方も書かれていたけど、
    虐待⇒心が病む⇒霊がつく 虐待されてたから霊が憑いたっていう表現は私もなんか附に落ちなかったな。
    薄い本ですぐ読めた。でも本当に平坦に読めた、何の感情の(私の)起伏もなく。恋愛も大して・・・。中学のときパシリにされてたやつに会いに行き、あんな簡単に済むものなのか、あっさりしすぎてて。

    こんなそんなんで、中学生が書いてたのかってわかって納得。

  • 僕は「佐藤さん」が怖い。
    から始まる、気弱な佐伯くんの話。
    佐伯くんは憑かれる体質の佐藤さんの幽霊が見えてしまう。から、佐藤さんを怖がる。
    憑かれる佐藤さんには幽霊は見えない。

    これだけ読むとなんのこっちゃの話なのだけど、幽霊を使って気弱な男子と猫をかぶっていた女子、彼らを取り巻く友人たちの様子を描いている青春小説。

    子どもの気持ちのもやもや具合がとってもよく表現されているのは、作者が中学生のときに書いたものだから。
    だから設定はちょっと稚拙というか、想像しずらいところもあるように思う。

    そして現在の彼女は獣医さんを目指す学生らしい。
    弱い者に対してやさしい気持ちでいられる人なので、ぴったりだと思う。

  • 中学生が書いたんなら、上手い。
    しかし、中学生が書いたにしては、あるいは中学生だから、ちょっとありきたりなまとめ方がつまらない。
    あんまり読まない中学生には面白いかもしれないが、大して面白くない。
    書き出しは勢いがあってなかなかいいのだが、次々と幽霊が憑くはずの佐藤さん、物語が始まると、途端に面倒見のいい兄ちゃんみたいな霊しか憑かなくなる。そうでないと物語が進まないんだろうけど、だったら最初から兄ちゃんの霊が憑いてれば良くない?
    そこは大目に見るとしても、高校生の恋愛ものとして、まあまあかなと思っていたら、急に虐待という問題をごく軽く、物語の整合性のために持ってくる。
    他にやりようがあるでしょ。
    虐待されたら霊が憑くなんて何だか不愉快。こういうところに虐待を使ってほしくない。作者は絶対に虐待を受けてないことはよくわかった。

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著者プロフィール

作家、獣医師。15歳の時に書いた『佐藤さん』で、第44回講談社児童文学新人賞佳作を受賞し、作家デビュー。一方で、麻布大学大学院獣医学研究科で博士号を取得し、現在は獣医師兼作家として活動している。著書『ぼくとニケ』は青少年読書感想文全国コンクール課題図書に選出された。他に『ただいまラボ』(以上講談社)などがある。

「2023年 『おはなしサイエンス 未来の医学 これからも、リッキーといっしょ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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