凍りのくじら (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062762007

感想・レビュー・書評

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  • 写真集のところ、泣けたー!

    郁也が無事で良かったー!

    郁也のところが一番ハラハラした

    あんないい子が酷い目に遭うなんて

    そして若尾が許せなかった

    別所については気づかず
    2週間いたっていうのもよくわからなかったのだが、
    失踪後か?

    別所にも父は不在で、残るように、
    と言われたというのはどういうこと?


    ふみちゃんが一年生の頃に気後れしていた
    ピアノめっちゃ上手い子って
    郁也のことかな

  • 昨今、あだ名をつけるという習慣がなくなってきたように思います。小学生なんかの会話を聞いていても、そのまま苗字で呼び合ったりしています。小学生でそうだから、その先に進学してもあだ名が登場する余地なんてありません。会社に入ってしまうと、今の時代下手な呼び方をしたらハラスメントにも繋がりかねません。あだ名は親しみの表現だと思いますが、理帆子のように一律に『スコシ・ナントカ』とつけるのは、レッテルであって親しみなんかじゃありません。しかもその人のマイナス面を鋭く突く表現は言葉の刃物にさえなりかねない。そんな表現を使えば使うほど、自身の存在がさらに高いところにあるように感じてしまい、結局人を見下すことになってしまう。こういう感覚って、増えてきているような気がします。でもヒトがヒトである限り、見下されている感覚ってどうしても伝わってしまうものだと思います。そしてそれは憎しみに変化して返ってくる。

    読み終わってすぐにプロローグを読み返しましたが、ここまでプロローグとエピローグが美しく繋がって、書名の存在が浮かび上がってくるものなのですね。読み終わって何とも言えない充足感に包まれました。すっかり見ることもなくなったドラえもんの世界、子供漫画、子供アニメと思っていた世界がこんなに深く、そして、子供の成長の課程に大切なものを絵と言葉を通して伝えていたんだ、自身の中にも刻まれていたんだということにとても感慨深くなりました。私が見た初めてのアドベンチャー映画って洋画のあの作品だとばかり思っていましたが、そうじゃなかった。もっと前にもっと純粋にワクワクする体験をしていたんだということ、そしてそれを見るために家族でいった映画館、その後の食事の光景なんかもあわせて思い出してしまいました。私もドラえもんには随分育ててもらったのだと思います。小説の内容的には小学生にはちょっと衝撃が大きすぎるかなと思いますが、ドラえもんに育ててもらったと感じる人は是非読むべき作品だと思いました。

    読書中は、中盤あたりまで今一つピンと来ないと感じていました。これは学園ものなのか、なんなのか。一方で、特に若尾の狂気には背筋がゾクッとする狂気漂う展開でした。ただ、そんな部分にも辻村さんはどんどん伏線を埋め込んでいたんだということに最後に気づかされました。そして、後半になって作品のテンポがどんどんあがって、バラバラだったパズルのピースが一気にそろっていく感覚にとても興奮しました。スッキリとした、それでいてあたたかい読後感。

    それにしても、残念なのは、ドラえもんが金曜夜7時に見れなくなってしまったこと、『タラララララ、タラララララ、タラララララ...』が聞けなくなってしまったこと、今後は本の最後に注意書きが欲しくなるかもしれません。

  • 一気に最後持ってかれました。ゆっくりと丁寧に話が進みます。

  • 辻村深月さんの本は何冊か読んできましたがこの本は特に印象に残る傑作のお話しでした。ページ数が長く、よりお話に入っていきやすかった。後半に入ってくるとどんどん読むペースが速くなってきました!ドラえもん好きの辻村さんらしい作品でした。

  • 辻村深月初期作品。三作目にしてすごい筆力。

    少しファンタジーな別所あきら、少し普通じゃない天才ピアニストの松永郁也、すごく不健全な若尾大紀、と出てくる男は軒並み変なのだが、辻村さんはこの手の男をとても好きなんだろうなあ、、と想像した。いや、流石に若尾はないのか。。 イケメンが堕ちていくところを見たい、救えるのは自分しかいないと思わせたい、という心理はわからなくは無い。

    全編ドラえもん愛に満ちた作品で、ドラえもんを読みたくなる。『天の川鉄道の夜』が『ミステリー』として紹介されるシーンがあり、そのラストシーンが気になったので検索して読んでみた。

    意味深なタイトルながら中身が想像しにくかったが、読めば納得のタイトルだった。

  • こんなに高評価が多いのに、このレビューは勇気が入りますが...。
    私の読解力がないからなのか、読むのに時間がかかったし、伝えたいことが分からなくて、凍りのくじらとドラえもんを結びつけるのが難しかった。

    主人公の里帆子の性格や考えにも共感できないところが多くて入り込めず。
    私ならもうあの時点で若尾とは関わらないなとか、関わる人を下に見てるところや、突然の早退、顔見知りの後をつけるとか...。
    ニュースの事故や若尾のこと、インパクトはあったけど特に深掘りはされてないし、それからどうなった!?と気になるところ。
    これがSF(少し・不思議)ということなのか?
    あまり納得がいっていないです。

    苦しかったり辛かったら周りに助けを求めていいんだよというラストにはぐっときた。

  • 名作。後半は涙が止まらなかった。


     主人公(理帆子)が、自分を「少し、不在」と思っているところに共感できた。

     彼女の様に優秀ではないけれど、人の中に居て、ちょっとした孤独を感じてしまう時がある。自分には本当の居場所があるのかな。と思うことがある。

     彼女が確かな人間関係を掴んでいく過程が嬉しくて仕方がなかった。自分も、ささやかであっても光が見えてくる時がくる。そう思えた。

     ドラえもんと絡めて物語は進んでいく。作品が懐かしさと優しい雰囲気に包まれている気がした。

     辻村深月は、心の闇と光を深く掘り下げて書くことができる素晴らしい作家さんだと思う。

  • このお話にとって、自分は少し老けてしまったのかも知れません。
    物語に入り込めないで読み進めた感じでした。
    自分自身、少し不在であまり感じたことの無い感覚でした。
    ドラえもん、久しぶりに読みたくなりました。

  • 女の子が自分の居場所を探す物語かな。
    主人公の心情が豊富な語彙で丁寧に描かれていて面白かった。10代なのに『達観している』と言われる主人公だけど、大切な人(母親や好きな人)に関しては理解できていない感じがして親近感が湧いた。


    最後の章ですべてが繋がって、不可解だった部分がすっきり。読後感も良かった。


    またドラえもんの道具が各章のタイトルになっていて、ドラえもん愛に溢れた作品になっている。
    読んでいてドラえもんの道具って思っていたより奥深いことに気づいた。現実世界を皮肉っていたりして…。
    ドラえもんを再読したくなった。

  • 主人公の人生の転換期を描いており、本当に素晴らしい作品でした。
    辻村さんの作品はとても分厚く、読み応えがあるため、一気読みが主である私からすると、なかなか手に取りづらい作品でしたが、読み始めると止まりませんでした。
    「凍りのクジラ」のタイトルも秀逸で、このタイトルが表す比喩が判明した時、きっと優しい気持ちに包まれること間違いないでしょう!

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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